日記ならぬ週記である。
今週もアメフト漫画の早売りネタバレありだが、その前にナポレオン漫画。ようやく旧光栄のゲーム「ランペルール」シナリオ1の冒頭場面にたどり着いた。アベル・ガンスの映画「ナポレオン」では最後の場面になってしまうのだが、とにかくイタリア遠征開始である。
その前に母親と会う場面があり、ちゃっかりカロリーヌも登場しているが、これが史実かどうかは不明。その場でウジェーヌを副官にしているような話も出ているが、Epsteinによればこの時期ウジェーヌはまだパリで勉強中だった。次いで将軍たちとニースでまとめて出会っている。これが史実と異なるのはこちら"http://www.asahi-net.or.jp/~uq9h-mzgc/g_armee/nice.html"に書いた通りだ。漫画としては手紙のやり取りより直接顔を合わせた方が面白いのは確かだし、初登場となったセリュリエの顔に大きな傷跡があるあたりは逆に史実通り。
次に兵士たちに布告を出す場面が来るが、こちらはガンスの映画に影響を受けた構図であることがうかがえる。Boycott-Brownによると実際の布告はニースの街中で出したそうだし、その内容も広く伝えられているものとは異なる可能性が高い(諸君を世界一の沃野に云々というあのフレーズは、実はセント=ヘレナでナポレオンが語ったものをそのまま引用している)。で、予想通りそれだけでは終わらず、見開きで「革命軍は地上最強」のフレーズ使用。うーむ、個人的にはデュゴミエの方が決まっていた気がする。ボナパルト将軍にはなお一層の精進を期待したい。
最後にマセナが「明日からは地獄」ときれいに締めている。実際、進軍を始めたフランス軍は物資不足に苦しんだようで、それがデゴやサン=ミケーレでの略奪騒ぎとその後の連合軍による逆襲につながった。ボナパルト自身は進軍開始前にかなり必死になって物資調達に相務めていたようだが、それでもやっぱり兵士は地獄を味わったのだった。
あと巻末に著者のインタビューがあった。「シャレにならない陰惨な戦場シーンは全てカットし、皆が楽しく戦っているかのように編集してあります」。この人のギャグセンスはFootball Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"と通じるものがあるような気がする。
でアメフト漫画…なのだが……何というか、子供向け特撮が途中からシリアス展開になり、意外と考察もしっかりしていて「こりゃ侮れん」と思っていたら、最後に「ぼくのかんがえたウルトラかいじゅう」みたいなのが出てきて腰が抜ける。今の私の心境をたとえればそんなところだ。
はっきり言って2ポイントコンバージョンでやるプレイではなかろう。いやそもそも人間にできるプレイではない。人間はあんなに高く飛べません(全盛期のマイケル・ジョーダンなら可能かもしれないけど)。手に持ったボールを真上に放り上げ、それを上空でキャッチさせるなど、カラス相手に要求するプレイとしか思えない。
WBの位置にいた選手が(インモーションではなくプレイ開始後に)バックフィールドに戻って改めてスクリメージ中央の混みあったところにダイブするというのも意味不明。わざわざ人の多いところでプレイせずともそのままコフィンコーナーにでも走ってホルダーからのパスをレシーブすればいいだろうに。フェイクFGからのプレイとしては当たり前すぎて面白くないかもしれないが、実際に漫画で描かれたプレイよりは遙かにマシだ。
それにしてもここまで机上の空論っぽいプレイが出てきたのは久しぶり。オンサイドキック3連発以来だろうか。Cの選手にスポットライトを当てるためにこんな無理なプレイを描いたのだろうが、そんなことをするくらいなら素直にスクリメージ勝負に持ち込んだ方がまだ良かったような気がする。といっても同じ手をもう何度も使っているので、読者に飽きられるリスクはあるが。
そこで、この際だから「ぼくがかんがえたつーぽいんとこんばーじょんぷれい」を書いておこう。原作者があれだけ妄想に走っているのだから読者が別方向へ暴走しても問題はあるまい。といっても私の妄想力は原作者ほど豊かではないので、実際にあったプレイを参考にさせてもらう。2004シーズンのNew EnglandがSt.Louis戦で見せたフェイクFGからのパスだ。この時はTroy Brownがあたかもサイドラインに下がるように見せて途中で止まり、すぐスナップを受け取ったAdam VinatieriがBrownにパスを投げた。Brownはプレイから外れるものと思いこんでいたSt.Louisは彼を全くカバーしていなかったため、このパスはノーマークのBrownに軽々と通り、あっさりTDを決めたのである。
漫画に応用するなら、膝に負担がかかっているRBが限界に達したふりをしてサイドラインへ下がろうとする。他の選手は「エースRBなしては2ポイントは無理」というふりをしてキックのフォーメーションを取る。そしていきなりスナップし、ノーカバーのRBへパスを決めるという方法だ。漫画的に盛り上げるならプレイ開始直前に相手選手が気づき、あわててRBのカバーに走るという場面を入れる手もあるだろう。少なくとも実際に描かれたよりはまともなプレイになっている。アメフトを知らない大半の読者にとってどちらが面白いか、というと話は別だが。
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