週記

 日記ならぬ週記である。
 
 Liar Gameはとりあえず三つ巴継続。残る椅子の数も減ってきたのでそろそろどれかが脱落しそうなのだが、まだしばらくは駆け引き話でつないでいくつもりだろう。それにしてもよく考えればこのゲーム、勝者はおそらく一人だけ。それってつまり次のゲームに進めるのは一人だけってことなのか? まあその前にいつものように敗者復活が控えているのかもしれないが。
 
 NFLではOaklandがJaMarcus Russellを解雇した"http://www.nfl.com/news/story?id=09000d5d817fd5ba&template=with-video-with-comments&confirm=true"。Campbellを手に入れた時点で規定路線だったと思われるが、それにしてもネットを見てみると彼がRyan Leafよりも酷いbustだったとの意見を時々見かける。本当に彼はそんなに酷かったのだろうか。
 Football OutsidersのDYAR"http://www.footballoutsiders.com/player/16823/jamarcus-russell"で見る限り、彼は最悪ではない。同じ実質3年のキャリアだった選手たちの中で、Russellの累計DYARは-1021。Akili Smithの-1249、Ryan Leafの-1563に比べればまだかわいいものである。さらにパス回数(パス試投+サック-スパイク)で見ればRussellは757回とLeaf(738回)、Smith(519回)より多い。パス1回あたりのパフォーマンスは1998年の全体2位や99年の全体3位より上回っていたと言えるだろう。
 ただ、成績だけでなくコストパフォーマンスを見ると話は変わってくる。Russellは3900万ドル以上のサラリーをOaklandから支払われているが、Leafの場合保証契約額は1125万ドル。Russellには実にLeafの4倍近いコストがかかっているのである。費用対効果で見るのならRussellは過去最悪のbustと言われても仕方がないだろう。それもこれも、最近の異様なドラフト上位選手の契約額高騰が要因。この部分についてはやはり見直しが必要なのでは。
 Russellはもともとドラフト全体1位指名に値するような選手ではなかったし活躍も期待しにくい、ということは彼がドラフトされた直後に書いている"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/31989589.html"。もっともこの年にドラフトされた選手は、今年ようやく先発の機会が与えられるKolbを除いて基本bustばかり。当時、一番うまい指名をしたのではと書いたMiamiのBeck"http://www.footballoutsiders.com/player/15400/john-beck"にしても、少ないプレイ回数だが見事なbustっぷりを発揮している。要するにこの年も2000年代後半によく見られるQB不作の年だったのだ。
 
 どの年のドラフトQBが優秀かというのは前にまとめたが、個別のQBで最も優秀だったのは誰だったかについても少し述べておこう。前に使った修正QBレーティングが同時代の平均をどのくらい上回ったかという指標について、選手別に見てみる。対象はパス回数が1000回以上の選手だ。トップ10は以下の通り。
 
Joe Montana +27.4%
Steve Young +26.7%
Peyton Manning +24.5%
Dan Marino +20.2%
Philip Rivers +19.3%
Dan Fouts +18.4%
Tom Brady +18.4%
Ken Anderson +17.8%
Drew Brees +17.7%
Aaron Rodgers +17.0%
 
 QBレーティングの絶対値からは見えないものが見えてくるのではなかろうか。絶対値ではPeyton Manningがトップだが、同時代との比較で見れば誰よりも突出度が高かったのはMontana。そのMontanaについでYoungを先発QBにしていたあの時代のSan FranciscoがいかにQBに恵まれていたかがよく分かる。殿堂入りはしていないが、Ken Andersonが実は凄いQBだったことも判明する。
 もう一つの特徴は、時代による修正を加えてもなお現時点でのQB成績がインフレを起こしていることだ。トップ10のうち実に5人が現役QB。もちろん彼らの成績はこのあといくらでも上下するだろうが、かなり大きく下がらない限り現在11位のDanny White(+15.0%)や12位のBert Jones(+14.1%)がトップ10に入ってくる可能性は限られる。さらに13位にはMatt Schaub(+13.6%)15位にはChad Pennington(+12.5%)も控えている。
 
 パス回数1000回以上という基準からは離れてしまうが、個人的に関心を持ったのがGreg Cook"http://en.wikipedia.org/wiki/Greg_Cook"。彼は229回のパスで+26.8%というMontanaの次に高い数値を叩き出した。これだけの選手になぜそれだけしかプレイする機会が与えられなかったのか。答えは「怪我」だ。1969年ドラフトでCincinnatiにドラフトされた彼はいきなり先発となりチームを開幕3連勝に導く。だが、3試合目で彼は肩の回旋筋腱板を損傷。当時の医学ではその事実が分からず、怪我を抱えたまま彼はプレイを続けた。
 1年目のCookの成績はパス成功率53.8%、15TDの11Int。レーティング88.3はAFLとNFLあわせてトップ(2番手はNFLのFran Tarkentonで87.2)だった。yard per pass attemptの9.411とyard per completionの17.5はいずれも現在に至るまで新人記録となっている。だが彼のキャリアは実質この年で終了。怪我は悪化し、彼は引退を強いられた。1973年に一度復帰を期するものの失敗。ビル・ウォルシュなどは、もし怪我がなければ彼はあらゆる時代を通じて最も偉大なQBの一人になりえたと言っている。
 彼についてはNFL.comに紹介ビデオもある"http://www.nfl.com/videos/nfl-network-top-ten/09000d5d807434bc/Top-Ten-One-Shot-Wonders-Greg-Cook"。もし怪我がなければ、たとえあったとしても現代並みにスポーツ医学が発達していれば、彼はどこまで行ったのだろうか。
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