ドラフトマスターは誰?

 日記ならぬ週記である。
 
 Liar Gameは、多分休み。それにしても今回の連載は長いな。
 
 NFLでは毎年Football OutsidersがやっているNFL Draft Report Card Report"http://www.footballoutsiders.com/nfl-draft/2010/2010-nfl-draft-report-card-report"が掲載された。あちらではなぜかドラフト直後に「どのチームのドラフトがどれだけ上手く行ったか」を勝手にランク付けしている。正直言ってまだ1つのプレイもしていない状態でよくそんなランク付けができるものだと思うが、そういうことをするDraft Specialistが複数いるのでそれを集めて彼らが今回のドラフトをどう見ているかをまとめているのが上の記事だ。
 で、今回評価が高いトップ5はSeattle、Baltimore、San Francisco、Oakland、New England。いつものメンバー(Baltimore)と意外なメンバー(Oakland)がいる。逆にワースト5はJacksonville、Chicago、Washington、Buffalo、Indianapolis。こちらはIndyが予想外か。標準偏差の大きな順で見ると3番手にDenverが入っており、Tebowの評価が割れていることも分かる。
 問題は彼らDraft Specialistの評価がどの程度正しいのか。正直それをきちんと調べない限り彼らのやっているランク付けに意味があるとは思えないのだが、かといって実際に調べた人を見かけたことはない。5年ほど前の記事を引っ張り出して調べるのが面倒だからなんだろう。ただ、Football Outsidersのこの記事は5年ほど前まで遡れるのでちょっと調べてみることはできるだろう。実際に2005年の記事"http://www.footballoutsiders.com/nfl-draft/2005/2005-report-card-report"を見ると評価トップはDallas。8人指名のうち7人は実際にプレイし、6人がまだ現役を続けている。その中にはDeMarcus Wareもいる。確かにいいドラフトでありSpecialistの評価も合っている。
 でも他チームになると首をかしげる例も。例えばこの年のNew EnglandはMankins、Hobbs、Casselなど少ない人数ながら結構いい選手をかき集めているのだが、Draft Specialistによるランキング平均はB-。全体の真ん中以下の評価でしかない。一方、7人指名したうち現役が1人しか残っていないArizona、1巡指名がTroy WilliamsonだったMinnesotaがいずれもA-とDallasに次ぐ高い評価だったりする。個人的にDraft Specialistなる連中の存在意義には疑問を持っているのだが、それを払拭できるだけの内容とは思えないデータだ。
 
 それよりも面白かったのは、コメントで紹介されていたこちら"http://www.bloggingtheboys.com/2010/4/20/1430373/the-nfl-draft-by-numbers-do-drafts"のblog記事。過去10年、または過去5年のドラフトでどのチームがもっとも成功していたかを調べてみたものだ。使ったデータはPro Football Reference"http://www.pro-football-reference.com/"のApproximate Value"http://www.pro-football-reference.com/blog/?page_id=518"、略してAV。名前の通り非常に大雑把に選手の能力を数値化したもので、プレイの機会がなければ0、殿堂入り選手などは100を超えている。
 上記のblog主は、1980年から2008年までにドラフトされた選手たちについて、指名順ごとにどの程度の生涯AVを記録しているかを算出"http://www.bloggingtheboys.com/2010/4/19/1416930/the-nfl-draft-by-numbers-do-the"。それを元にドラフト順位ごとの期待値を出し、実際に指名した選手がどの程度その期待値に答えているかを調べてみたそうだ。実際には絶対値の比較ではなく、特定年にドラフトされた選手たち相互の相対的な比較を行っている模様。相対期待値を何%上回る/下回るかを調べ、その結果をDraft Successという数値にしている。
 途中に載っているグラフを見れば分かるように、Draft Successと平均的な年間勝利数は大雑把に比例している。もちろんチームごとに違いはあり、例えばドラフトが上手いといわれるIndyやBaltimoreなどは、平均的なチーム(グラフの左下から右上に伸びている線)より上にある。つまり、実際の成績よりDraft Successの方が高い。上手いドラフトの割りに結果がついてきていないと言うこともできる(特にBaltimore)。逆にドラフトは大して上手くないが成績はいいのがNew EnglandやPhiladelphiaだ。
 期間を最近5年に絞ると、IndyはDraft Successと成績が大体リーグ平均並になる。Draft Successが高くなるのはSan Diego、Giants、Dallas、Atlanta、Jetsなど。逆にNew EnglandはさらにDraft Successが低下してマイナスに。Philadelphiaもほぼゼロ近辺だ。5年でも10年でも冴えないのがDetroit、Oakland、Tampa Bay、Clevelandなど。Tampaを除けば毎年ドアマットと化しているチームばかりだ。
 blog主はDallasファンのようで、分析もDallas及びNFC東が中心になっている。私の関心からすると、当然興味深いのはNew Englandだ。実は最初に紹介したDraft Specialistたちは"Bill Belichick is a draft master. Period."などと書いているのだが、それに対する異論がコメント欄で噴出している。その論拠として提示されているのが上記のblogだ。
 「Patriotsは他のGMたちを騙くらかして最悪のトレードをやらせ、やたらと沢山の指名権をゲットするのは上手い。けど彼らはその指名権を凡庸なTEとセーフティどもに無駄遣いしてしまう。ここ5年で本当に成功した指名はJerod Mayoだけだ」との指摘があるように、New EnglandのDraft Successは冴えない。特に2006年以降はずっとマイナスばかり。2000年代前半はまだよかったし、05年にも大豊作を記録しているが、最近は確かに無残な状態が続いている。トータルで直近10年のうち、Draft Successがプラスになったのは実は4年しかない。
 このデータは私の抱いていた疑念を見事に数値化してくれた。Belichickは実はそんなにドラフトが上手くないのではないか、という疑念だ。前にも言ったが、ラインやディフェンス側の選手では比較的マシな指名をしているものの、オフェンスのバックスは正直ドラフトが下手。そしてディフェンスバックについても怪しいと思われていることが分かった。New England同様にトレードダウン好きなPhiladelphiaも同じようにDraft Successが低いのも面白い。やはりこの2チームは似たもの同士なのだろう。
 逆に脅威となりそうなのはJetsだ。特に最近5年のDraft Successは高い。09シーズンの躍進はたまたま運が良かった面があるのではと思っていたのだが、もしかしたらAFC東の覇権が入れ替わる前兆だった、ということになる可能性もある。個人的にはSanchezが今のまま足を引っ張ってくれれば少しは時間が稼げるのではないかと思っているが、彼が成長したりすると手がつけられなくなるかも。一方、MiamiとBuffaloはマイナスのNew Englandよりも下なので、当面そう心配する必要はなさそうだ。
 あと面白いと思ったのが、指名順25位から50位まではほとんどAVが変わらないというあたり。1巡下位指名から2巡の後半までは、どの順位で指名しても期待値はほぼ同じという訳だ。ちなみにそれで見るとWatson(32位指名)の現時点でのAV29は大体期待値通りとなる。凡庸ではあってもbustとまでは言えないだろう。bustの例としてあげるのなら、彼よりもChad Jackson(36位指名でAV2)やBethel Johnson(45位指名でAV8)の名を出すべきか。
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