2010年ドラフト

 日記ならぬ週記である。
 
 NFLではドラフトが始まった。今年は3日にわたって繰り広げられるようで、春の一大イベントをさらに盛り上げようとする魂胆がはっきりと見える。実際、ドラフトの視聴率がNBAのプレーオフを上回った"http://content.usatoday.com/communities/gameon/post/2010/04/nfl-draft-topped-nba-playoffs-in-tv-ratings/"のだから、このもくろみは上手く行っているのだろう。まったく、大した商人ぶりではないか。もちろんファンも盛り上がっているのだから何の問題もないのだが、チームにとってはどうなんだろう。
 たとえば私が今年の全体1位指名権を持つSt.Louisなら、その指名権を差し出してRoethlisbergerの獲得を模索しただろう。フィールド外のトラブルが多いし、今年は開幕から6試合の出場停止が決まっている"http://www.nikkansports.com/sports/nfl/news/f-sp-tp4-20100422-621088.html"が、それでも彼をチームに加えるメリットはある。何しろ前に調べた修正QBレーティングの同時代比較ではRoethlisbergerはプラス7.70%を記録。彼より後(つまり2005年から09年までの5年間)に指名されたQBでこの数値を超えているのはRodgers(16.99%)しかいない。年齢もまだ20代だし、5年に1度のQBを一回の全体1位指名で入手できるなら大儲けだと思うのだが。
 実際にSt.Louisが指名したのは大方の予想通りSam Bradford。以前の記事"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50249554.html"では彼の大学時代の成績から「上手くいけばNFLでも一流に、駄目でもDVOAでゼロを上回れる程度のQB」になると予想しているので、St.LouisがRoethlisbergerでなく彼を選んだのも一概にダメだとは言えない。が、リスクは大きいと思う。ちなみにドラフトQBの能力予想では本家本元であるLewinの記事"http://www.footballoutsiders.com/fo-espn-feature-columns/2010/espn-lewin-career-forecast-2010-qb-class"は登録しないと読めないので、彼がどう判断しているのかは分からない。気になる。
 Bradfordを含め、ドラフト上位は大方の予想通りの選択が続いたようだ。初日、最初に驚きの声が上がったのはJacksonvilleが全体10番目で指名したDEのAlualu。もともと2巡レベルと見られていたようで、この判断はどうだろうと指摘する声がネットでは目立つ。しかし、初日の最大の驚愕はDenverによるTebow指名だろう。しかもトレードアップまでしている。逆に指名されなかったことでびっくりされていたのがNotre DameのJimmy Clausen。Denverは彼やMcCoyが残っているにもかかわらずTebowを指名した訳で、そう考えるとこれは実に大胆な選択だ、と思われている。
 実際に大胆なのだろうか。前に私が調べたTebowの大学時代先発試合数とパス成功率はいずれもかなり高く、そこから合計偏差値を算出すると121.6という極めて高い数値になる。これは現役QBトップのRivers(126.1)に次ぐ数字であり、Peyton Manning(117.1)やRoethlisberger(116.2)を上回る。ただし、この計算方法でいくなら1巡どころか3巡指名まで滑り落ちたMcCoyの方が高くなる(142.8)のだが、まあLewinの計算式はあくまでドラフト1、2巡指名のQBに適用されるものなのでMcCoyは対象外と見なしておこう。つまり、Tebowは今年のドラフト上位指名の中では最も将来が期待できるQBということになる。
 そう考えるならDenverの大胆に見える選択も実はそう間違いではない、ことになりそう。しかし一般的な認識ではTebowの評価は「1巡では高すぎる」だ。実際、高い偏差値でもNFLではあまり実績を積み上げ切れていない選手は実在する(たとえば115.7のLeinart)。でもこの偏差値が高い選手たちとして、上に挙げたRivers、Manning、Roethlisbergerらの名前があることもまた事実だ。となると問題は、Tebowの大学時代の成績のうちどれだけが本人の実力で、どれだけがチームのシステムで上積みされた部分なのかを見極めることだろう。
 Tebowが所属していたFlorida GatorsのコーチUrban Meyer"http://en.wikipedia.org/wiki/Urban_Meyer"は、この手のシステムを作るのに優れたHCだと思われている。その分だけTebow個人の能力に対する評価が下がってしまっているのが実態であろう。そして、NFLの多くのスカウトたちがTebowの能力を2巡並と評価していたこともまた無視はできない。また、トレードアップしてまで全体25位で指名しなくても、2巡まで待って指名することが十分に可能だったのではないかとの声もある(実はBelichickが1巡で狙っていた、との説もある)。
 いずれにせよドラフトが当たりかどうかなど、現時点では判断できないことは確かだ。数年後に振り返ってみて、初めてこの決断が正しかったかどうかが分かる。ただその前にLewinの評価を聞いてみたいのは確かだ。もし偏差値通りの評価ならDenverは正しい選択をしたことになるし、それより何より3巡でMcCoyを取ったClevelandこそ最大のstealをやったことになる。
 あとドラフトで特に2日目に話題になっていたのがPhiladelphiaとNew Englandによるトレードダウン合戦。いつものことだが、この2チームは本当にトレードダウンが大好き。Philadelphiaは3日目に9つもの指名権を残しているそうだし、New Englandは7巡に5つもの指名権を抱えたうえにCarolinaの2011年の2巡指名権も手に入れた。11年については既にOaklandの1巡指名権をSeymourの代わりに入手しているので、来年は1巡と2巡を2つずつ持っている計算だ。もちろん、来年もこの指名権を使ってトレードダウンするんだろうけどな。
 
 あとLiar Gameはちょっとしたクライマックスに。ただ、ヨコヤがどうやって作務衣の手持ちのコインを推計したのかが不明だ。実に絶妙な申し出になっているが、推計を間違えればあっさり断られかねない提案でもある。
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コメント

No title

SLEEP
Roethlisbergerはそれこそ全体1位指名権とトレードしてもよいぐらい凄いQBだとは思います。ただ、今回の性的トラブルというのはちょっとシャレにならない部分があります。以前にもバイク事故とかやってますよね。六試合で済めばいいですが、もしもう一回あったらそれこそVickをしのぐ永久追放だって今のNFLの風潮だとありえると思います。
大好きな選手ですけどね、あの弱体OLでようやっとるなと感心します。
Tebowは素質は抜群でしょう。ただNFLに順応するかどうか、時間はかかりそうです。本人はマジメみたいですから三年ぐらいは辛抱できるでしょう、Elwayの再来になれるかもしれませんね。

No title

desaixjp
おっしゃる通り、もう一度トラブルを起こすことまで考えると確かにリスクは大きいでしょうね。上に書いたのもあくまでこれ以上のトラブルがないことが前提です。Randy Mossを押さえ込んでいるNew EnglandのようにSt.LouisもRoethlisbergerの私生活をコントロールすることが必須でしょう。
あと、私がSt.Louisのファンではないことも理由です。もし私がSt.Louisのファンだったなら、メリットもデメリットも分かりきっているRoethlisbergerより、夢を抱くことができるBradfordの方がいいと思うかもしれません。

No title

desaixjp
TebowとMcCoyに関してはLewinの予測がどれだけ当たるのかを測るサンプルとして注目していきたいと思います。あと今年注目しているのはスターターになるKolbとLeinart。この二人もLewinの指標では高い評価が得られていますし、またRodgersのように長いこと一流QBの控えをしてきた上位指名選手が花開く事例となるのかも知りたいところです。
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