パスとラン

 Football Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"に1993シーズンのDVOAデータが新たに加わっていた。これでデータは93から2009までの17年分がそろったことになる。具体的に言えばNew EnglandのHCにParcellsが就任した年からとなる、って言ってもNew Englandファン以外にはピンとこないだろうけど。もう少し一般的に言えばサラリーキャップ導入直前のシーズンまで遡ったことになる。
 時系列データが取れるようになったので、前"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50180117.html"にも述べた「NFLのパスハッピー度昂進」が事実かどうかを少し調べてみた。まずざっと眺めた結果だが、90年代のシーズンパスオフェンスDVOAで最も高いのは95シーズンにDallasが記録した52.4%。他に5割超えを記録しているのは94シーズンのSan Francisco(50.3%)だけで、それ以外は軒並み低い数字にとどまっている。圧倒的なパスオフェンスを展開したと思われている99シーズンのSt.Louisも、DVOAで見るとたったの35.0%しかない。
 2000年代の初頭もそうした流れは変わらないが、変化が強まるのは03シーズンから。この年、TennesseeはDallas以来となるパスオフェンスDVOA5割超え(52.1%)を達成。もっと凄いのは04シーズンのIndianapolisで、いきなり69.1%というとんでもない数字を叩き出している。以後、05シーズンを除いてトップチームのパスオフェンスDVOAは50%超が当たり前になり、07シーズンにはNew Englandが75.4%という現時点での最高記録を打ち立てている。09年には初めて複数のチーム(San DiegoとNew England)が50%超えを記録した。
 93―02シーズンの10年間、パスオフェンスDVOAが最も高いチームの平均DVOAは42.9%だった。それが03―09シーズンになると59.8%に跳ね上がる。トップのチームにおいてパスオフェンスの効率性が一気に高まったことが分かるだろう。シーズン1チームではなく上位5チームに絞っても、90年代には98シーズンの44.1%が最高だったのに対し、03シーズン以降では04シーズン(50.9%)、07(48.7%)、09(50.3%)の3回で90年代の最高値を上回っている。
 全チームのシーズン毎の平均で見ると、大きな変わり目はむしろ04シーズンだ。それまで、平均DVOAは高いときで9%台(94シーズンの9.9%、95の9.7%、02の9.1%)だったが、04には10.6%と初の二桁を記録。この年はManningだけでなく、他のQBたちも好調だったことが分かる。その後、平均値が8%を割ることはなくなり、直近3年間は11.2%、14.0%、11.9%と連続で二桁の数字を叩き出している。確かにNFLは最近になってパスハッピーの傾向が強まっているのだ。
 一方、どうしようもないほどパスの酷いチームも00年代に集まっている。パスオフェンスDVOAがマイナス50%を下回ったチームはこれまで2つしかないが、どちらも00年代だ(04シーズンのChicagoが-51.2%、05のSan Franciscoが-57.9%)。3番目に酷いチームも06のOakland(-44.2%)であり、90年代で最もパスオフェンスが駄目だったチーム(97のNew Orleansで-43.6%)を上回っている。00年代は全体のパスレベル上昇と同時に格差が拡大した時期でもある。

 面白いのは、パスハッピーになったからと言ってランが低調だとは言い切れないところにある。確かに09シーズンは最もランオフェンスDVOAの高いチーム(New Orleans)でも17.5%にとどまっており、パスに比べれば随分と低い印象がある。しかし、00年代を通してみるとランオフェンスは決して悪くない。00年代の10年間でランオフェンスDVOAトップのチームが20%を超えたのは8回。93―99の7年間に4回しかなかったのに比べると全然いい数字だ。ランオフェンスDVOAで最高値を記録したのは00シーズンのSt.Louis(34.4%)。04シーズン以降でも06のSan Diego(27.5%)のようなチームがある。
 平均値を見ればもっとはっきりする。ランオフェンスDVOAの平均が最も高かったのは02シーズン(4.4%)で、2番目が08(4.0%)だ。逆に最も低いのは94シーズン(-5.4%)で、次が99(-5.2%)。03シーズン以降で平均値がマイナスになったのは1回(05)しかないが、90年代にはそもそもプラスになったこと自体がない。
 現実問題として、パスオフェンスが好調になればディフェンスはよりパスに集中して守るようになるし、その結果としてランが出やすくなるのも確かだろう。00年代、特に半ば以降のオフェンスがパス主導であることは事実だが、パスに引っ張られるようにしてランもレベルアップしていると見てよさそうだ。つまり、オフェンス全体の効率が高まっていることになる。00年代に入って最も不幸度が高まっているのはディフェンスコーディネーターかもしれない。

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