前に「21世紀の銃剣突撃」"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/30062051.html"を紹介した際に、21世紀になっても騎兵突撃があったらしいということにも触れていた。で、今回は少しその件を調べてみた。どうやらこの件についてはDoug StantonのHorse Soldiers"http://www.amazon.com/dp/1416580514"(p152-155)に詳しく記してあるらしい。こちらのサイト"http://www.indepthinfo.com/afghanistan/horse-soldiers.htm"にそのあたりの状況が書かれている。
突撃を行ったのはアフガニスタンでタリバン相手に戦っていた北部同盟の兵士たちであり、それを米陸軍特殊部隊(所謂グリーン・ベレー)が支援していた。アフガニスタンの急峻な地形では車両より馬匹の方が使い勝手がいいこともあって、米軍の指導下で騎兵の活用が行われていたらしい。そしてある時、その騎兵が戦車を含むタリバン兵に攻撃をしかけた。以下は上記サイトの文章を引用する。
「北部同盟の騎兵は、タリバンの塹壕から約1マイル離れた場所で、丘の背後にそれぞれ150人からなる2列横隊を組んだ。騎兵はAK47やRPG(対戦車ロケット)を含む武器を持っていた。北部同盟騎兵とタリバン陣地の間にはおよそ7つの稜線があり、それぞれの稜線は高さ約50フィートで、各稜線間の距離は約200ヤードだった。『彼らが馬を進めるに従い、騎兵は丘を上って下りることになり、姿を見せては消していた』。
タリバンに約半マイルまで迫ったところで、北部同盟兵に気付いた彼らは機関銃と戦車で騎兵の最初の横隊に向かって射撃を始めた。スタントンが述べるところによれば『鞍に跨った兵は、まるでぐいと引っ張られたかのように後ろに飛び、地面に転がり落ちて倒れ、動かなくなった。多くの馬が後方から接近し、それらを跳び越え、射撃してくる敵に向かって突撃した』。騎兵は手綱を口にくわえ、あたかも敵との直接対決にのみ彼らの安全がかかっているかのようにできるだけ早く馬を駆けた。彼らは銃にとって、分けても戦車にとって正確な狙いをつけるのが困難な波打つ稜線に助けられた。
タリバンの陣地前にある最後の稜線で、北部同盟兵は馬から飛び下り、馬の手綱を地面に置き、馬が勝手に動かぬよう片足をそれに乗せた。そして彼らは塹壕に向かって怒り狂った射撃を解き放った。その間、居合わせた米陸軍特殊部隊は戦車への精密爆撃を要請した。騎兵第一線が射撃をしている間に、第二線が追いつき『一瞬にして通り過ぎ、雄叫びを上げながらタリバンの陣地へ真っ直ぐ突っ込んだ。下馬して戦っていた戦士たちも鞍に戻り、[味方に]追いつくため馬に鞭を入れた』。2つの横隊は今や1つのまとまった攻撃になった。タリバンの戦線は崩れ、多くのタリバン兵は武器を投げ出して逃げた。
しかし、最後の瞬間になって、米空軍は(燃料が少なかったため)基地へ戻らなければならず、そして多くのタリバン戦車が戦場にやって来た。塹壕陣地を奪った後で、北部同盟騎兵は退却を強いられた。たとえそうであっても、精密爆撃に騎兵突撃を組み合わせたこの戦術は、米陸軍特殊部隊が爆弾を使うのにより熟達すればそれだけ非常に効果的であることを証明した。後に、米陸軍特殊部隊は、ある機会に騎兵そのものにすら参加した」
米軍の特殊部隊も突撃に参加したという話はこちら"http://www.freerepublic.com/focus/f-news/571498/posts"にあるウォルフォヴィッツの発言が論拠のようだ。ウォルフォヴィッツはそこで「驚くべき我らが陸軍特殊部隊員の一人は、ある北部同盟指揮官と伴に騎兵突撃を行った」と話したそうだ。
ただ、上のStantonの本にせよ、このウォルフォヴィッツの発言にせよ、いささか話を盛り上げようとし過ぎている印象が強い。できることなら参加した米軍特殊部隊の報告書そのものを見てみたいものだが、どうやれば見られるのかは不明。アジア歴史資料センターサイトのようなものが米国にもあるかもしれんが、わざわざそれを探すのも大変だしなあ。
あと、アフガンで活動してきた騎兵部隊の姿を撮影した写真もネット上にあったのでご参照まで"http://en.wikipedia.org/wiki/File:US_forces_Operation_Enduring_Freedom.jpg"。
コメント
No title
突撃するからには、何らかの白兵戦用の武器を装備したと思うのですが、何を使ったのでしょうか。
アパルトヘイトの時代だったと思いますが、南アの白人の過激組織の戦闘訓練のシーンを見たのですが、馬に乗って、棍棒のようなもので標的を打撃していました。現代でも、デモ隊を鎮圧するのに騎馬も有効だと言われていますが。
2010/02/06 URL 編集
No title
ただ、相手に心理的な恐怖感を与えるのは銃器より白刃だとの説もあります。だとしたら、何らかの白兵戦用の武器を携えた方が効果は大きいかもしれません。いずれにせよ答えを知るにはこの突撃についてもっときちんと調べなければならないでしょう。
2010/02/06 URL 編集
No title
こちらはご存知でしたでしょうか?
2015/11/08 URL 編集
No title
中世の「騎兵優位」についてはこちら"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/54938483.html"で少し触れたことがあります。
2015/11/08 URL 編集
No title
意外と近代まで騎兵ってあるらしいですね、日本にはサーベルとか銃とかですがロシアにはやり騎兵とかが日露戦争のころまであったみたいですね。
近代の置いても車両の使えに無いような場所では騎兵というのも必要なのかもしれませんね。
2015/12/06 URL 編集
No title
とはいえエネルギー効率ではやはり石油の高さにはなかなか勝てないのが実情だと思います。馬匹利用はあくまで限定的にならざるを得ないのではないでしょうか。
2015/12/08 URL 編集