週記・はやぶさ続報

 日記ならぬ週記である。

 以前"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/49699945.html"に述べた探査機はやぶさの不調だが、どうやら問題が解決したらしい"http://www.jaxa.jp/press/2009/11/20091119_hayabusa_j.html"。スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合わせるという、実に裏技っぽいやり方で十分な推進力を確保することができたようだ。
 スラスタAは元々動作が不安定だったということであまり使っておらず、中和器の損耗はほとんどない。逆にスラスタBは中和器の電圧上昇が理由で運用を止めたエンジンであり、イオン源の方はまだ大丈夫。その意味ではこの組み合わせは確かにアリなのだが、それにしても凄いのは予めこうした事態も想定して回路を組んでいたことだろう。臨機応変な対応もさることながら、事前の準備がどれほど重要であるかを示す一例だ。
 もっとも、この話を単に凄い物語として、あるいは感動的なお話として受け取っている人間は出世できないような気がする(私のように)。事前に様々な事態を想定して準備を重ね、いざという時に対処できるようにしておくこと。決して諦めずに方策を考えること(エンジンが不調でも2013年帰還という別のオプションを検討済みであったことがこちら"http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2009/11/post-1cd1.html"を見ると分かる)。探査機運用だけでなく、誰にとっても仕事を進めるうえで重要な話だ。他人事と思っていてはいけないのだろう。
 それにしても、この探査機は運がいいのか悪いのかよく分からない機体だ。一連のトラブルを見る限りは「運の悪い機体」のように思えるが、そうしたトラブルに何らかの解決策が存在し、その解決策を見出すチームがいるという点では「運のいい機体」にも見える。実際、運用担当者も言っているが、故障がスラスタでなくリアクションホイールだったら「致命的」になっていたかもしれないのだ(そして今後もなりうるのだ)。この間一髪の幸運がどこまで続くのか、実に興味深い。

 その間一髪の幸運に恵まれていないのが最近のNew England。2000年代前半には恵まれまくっていたが、最近は逆の目が出ることが多い。今週も最終局面で逆転を食らい、あちこちで「疑問のプレイコール」と言われている。ちなみにFootball OutsidersがBill Belichick Fourth-and-2 Calculator"http://belichick-decision.heroku.com/"なるものを紹介しているので、実際にBelichickの判断がどうだったかを見てみるのも面白いだろう。
 以前にも述べたことがあるが、数字のうえではいついかなる時もgo for itをする方が実は合理的だとの説がある。今回の局面でも数字を見る限り、Belichickの判断を批判するのは難しい。今のNew Englandで、オフェンスを信頼してgo for itをするか、ディフェンスを信じてパントを蹴るかの選択を迫られれば、そりゃgo for itしたくなるのもよく分かる。単純にあの選択が間違いだったと非難したくはない。
 同時にヘッドコーチという仕事は結果を出してなんぼであることもまた事実。はやぶさの担当者も「ずっと前にダメになるのも、ぎりぎりまで粘ってダメになるのも同じ、帰ってこれるか、これないか。それが問題です」と言っている。結果を出せなかったからダメな判断だった、という見解にも一理ある。そういう仕事なのだと割り切るしかないだろう。

 あとLiar Gameは予想通りに裏切りが出てきた模様。「多数派工作」やら「裏切り」やら、とても椅子取りゲームをやっているとは思えない話が出てきているのは、冷静に考えればかなり笑える状態なのではなかろうか。こちらの本"http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480425997/"に似ているとも言える。
 ドラマの方は順調に17ポーカーへ話が進んだ。原作が原作だけにシナリオについては安心してみていられる。問われるのは演出のみで、その演出が無駄に過剰なのはいつものことだからこれでいいのだろう。一方でさりげなくディーラーの見事なカードさばきが映し出されているのは良かった。何しろこの話ではそこか最大のキモだからなあ。

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