週記・山岳遭難

 日記ならぬ週記である。

 Football Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"にAlmanac 2009を注文したのだが、まだ届いていない。pdfファイルだから簡単に送られてくるはずなんだけどなあ。どうなっているのか、そろそろ問い合わせた方がいいかもしれん。それにしても来月にはもうプレシーズンか。最近はオフシーズンも時間経過も早くなっているような気が。単に私が年を食っただけか。
 NFLではKansas CityのHC、McDanielsがいきなり批判を浴びている。マスコミや選手との信頼関係を構築し切れていないとの説が。これまでのところ、Belichick配下のコーチたちで、HCになって成功した人物は皆無。CrennellとManginiはクビになったし、Weisもノートルダムを見事に低迷させている。もちろんBelichick自身のように、一回目は失敗しても二回目で成功する可能性もあるから皆ダメだとは言えないが、正直不作なのは確かだ。McDanielsもその轍を踏んでしまうのかどうか、気になるところ。

 続いて漫画。Liar Gameでは「残された4人の取り合い」という展開に。これは上手い。確かに、この局面では勝ち抜き条件を満たしていないヨコヤグループの方が仲間を必要としているのは間違いないし、それを誘い水として残り4人を呼び込む手はアリだろう。もちろん、漫画としてはここから一発逆転の展開に持っていくことになるんだろうが。
 逆転するにはどうしたらいいのか。ヨコヤグループ6人の中からもう一度誰かを引き抜くしかない。問題はその「誰か」を「どのように」引き抜くか。誰かについては判断は難しいが、「どのように」に関しては予想を立てることはできる。「ヨコヤグループにいても勝ち抜くことはできない」と信じさせることができればいいのだ。ヨコヤグループ自身が生き残るためにも、新たに加わった3人のうち少なくとも2人とは接触する必要がある。だが、最後の1人とは接触不要。特にその1人が感染者の場合は。
 感染者はどちらに走ったか。普通に考えればヨコヤグループの方だろう。人数の多い方に行けばそれだけ助かる可能性が高いと判断し、そちらに走ったと思われる。だが、実は6人グループだと感染者を助けることはできないのだ。例えばヨコヤが感染者と接触し、自らワクチンも使ったとする。その時点でワクチンは0。その後で残り3人と接触してもワクチン3にしかならず、勝ち抜き条件を満たせない。ヨコヤグループは感染者との接触は望まないはずだ。
 一方、主人公グループ(現在4人)なら、感染者を助けることができる。主人公グループのワクチン保有数は4が2人、2が1人、0が1人。ワクチン4の1人が感染者と接触し、ワクチンを使えばワクチン2になる。その後で、今回の話で加わった1人と、非感染になった元感染者に接触すれば、ワクチンは4になる。それ以外の人物も、皆ワクチン4の条件は達成できる。
 もし、今回の話で「残された4人」が全員ヨコヤグループに走っていれば、こうはならない。ヨコヤグループで感染者も含めて全員を勝ち抜けさせることが可能になるからだ。1人だけ主人公グループに残る、という展開になったのは、主人公グループに逆転勝利の芽を残すためだろう。

 もう一つ、16日に起きた北海道大雪山系の遭難事故について。昔、山登りをしていただけに今回の話はとても気になった。いくら北海道とはいえ、7月に天候悪化で2桁の死者を出すような遭難事故が起きるのは異常ではないだろうか。報道をいくつか見て、気になったところをまとめてみたい。
 まず一つ目は、16日の天候が7月の大雪山系ではどの程度珍しいものだったのか、という点だ。過去にも7月に疲労凍死事故が起きていることを見ても、低温に見舞われること自体は珍しくはないのだろう。しかし、過去の疲労凍死事例は今回ほど大規模にはなっていない。例えば2002年7月の事例("http://www.ne.jp/asahi/slowly-hike/daisetsuzan/02taisetudata/04sonanjiko/20020711-13tomuraushi.html"参照)では、低体温による脳梗塞や凍死で2パーティ12人中2人が死亡している。割合で言えば17%だ。
 一方、今回は単独行も含めた3パーティ25人中10人が死亡、その割合は40%と極めて高い水準に達している。2002年も今回も亡くなった人は50代後半以上で、中高年主体だったことに変わりはない。2002年はツアーと私的なグループ山行、今回はツアーが中心と微妙な違いはあるが、今回の事故で最大の被害を出したトムラウシのパーティは全員が過去に別のツアーに参加したことのある経験者だったことまで考えると、経験値に大きな差があったと考えるのも難しいだろう。
 なのに、2002年に比べて今回の方がより高い割合で低体温症に陥った人が出ている。その原因がどこにあるかを考えるなら、装備の違いか天候の違いに行き着く。経験値が似ており、どちらの年も同じような装備で山に登っていたのだとしたら、後は天候の違いが最大の要因だろう。今回は日中でも山頂付近の気温は10度未満で、加えて風速が20メートルを超えていたという。体感気温は氷点下と思われる。2002年の時の気象条件は不明だが、もしかしたら今回の方が厳しかったのではなかろうか。このあたりをきちんと検証するためにも、気象条件がどの程度珍しいものだったかを調べることが必要だろう。
 次に知りたいのは、生死を分けた違い、特に装備品だ。トムラウシのパーティでは5人が自力で下山し、13人は救助隊に運ばれた。ただこの13人のうち、生き延びたのは5人だけ。そしてその5人のうちおそらく3人はテントのある場所にいたと思われるのだ。テント付近で最終的に発見されたのは7人なので、ここでの死亡率は半分強。一方、テントのない場所で一晩明かしたメンバーは6人のうち2人しか生き残れなかった(うち1人は30代のガイドと思われるので、中高年の生存率だけに絞ると5分の1まで下がる)。
 ガイドの1人がテントを張る決断をする前に、既に2人の女性が動けなくなっており、うち1人は意識不明だったという。亡くなった人は、テントを張る以前から低体温症に陥っていた人か、あるいはそういうツアー客を助けようとしたか、もしくは狭いテントに入りきれずに外で過ごしたガイドだったのではないか。風避けになるテントの中で体温低下を避け、一晩サバイバルすることができた人がいたことは確かだ。
 一方、下山を決断した11人のうち、自力で下りられた5人のように体力がある者は生き延びることができた。だが、途中で体力が尽きた6人は、風を避ける手段もないまま、どんどん体温を失っていったのだろう。この11人については、特にどのような衣類を着用していたかが問われる。ツアーの参加条件には防寒具の用意があったと報じられているが、実際にどの程度の防寒具をどれだけ用意し、どのように着用していたか、替えの渇いた下着などはあったのか、そういった細部を検証することが必要だ。どう考えても不十分な装備だったとしたらツアー参加者の準備不足となるし、夏の大雪山なら充分と思われる装備にも関わらず疲労凍死していたのだとしたらやはり気象条件が異常だったということになる。
 装備という点では、テントやツェルトがパーティ全体でどのくらいあったかも問題。最悪18人全員を収容できるだけのテントやツェルトはあったのか、誰がそれを持ち運んでいたのか。ガイドだけがテントやツェルトを持ち、ツアー客は持っていないとしたら、おそらく18人全員分を用意するのは困難だろう。そうなると登山ツアーの組み方自体が問題ということになる。
 もちろん、以上の条件を調べて「通常ならば考えられない気象条件だった」ことが立証されたとしても、それでツアー会社やガイドの責任がなくなる訳ではない。今回の惨劇を避けるうえで最も簡単なやり方は、16日の登山を諦めること。トムラウシのパーティも、美瑛岳のパーティも、単独行で亡くなった登山者にしても、あの日に登らなければ死なずに済んだだろう。登る決断をしたガイド(単独行の場合は本人)の責任は、決して逃れることはできない。美瑛岳のパーティのように、ガイドとツアー客が同数なのに凍死が出ている事例の場合は、よりガイドの判断ミスの可能性が高まりそうだ。
 それでも、ガイドだけ、ツアー会社だけを責めて終わりにするのでは意味がない。それでは同じような悲劇を繰り返すことになりかねない。今回の事故で亡くなった人だって、もう一段性能のいい防寒具を用意していれば、あるいはツェルトを持っていてそれを被って一晩やり過ごしていれば、助かっていたかもしれないのだ。夏の大雪山系に登るにあたり、万が一に備えてどの程度の装備を用意すべきなのか、その基準作りのためにも今回の事故はきちんと調べるべきだろう。
 最後に、亡くなった方のご冥福をお祈りします。

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