前回、1945年以降なら平均パス獲得ヤードはほとんど変わらないということを指摘した。また、この指標が点数との相関性が高いことも。となると、この指標を使えば1945年以降に活躍したパッサー間の比較も可能になるかもしれない。早速やってみた。
対象にしたのは名誉の殿堂"http://www.profootballhof.com/"入りしている選手たちのうち、Modern Era: Quarterbacksに分類されている23人。全員殿堂入りQBなのだからいずれも平均よりは高い成績を収めていると思われるが、その中でも特に傑出しているのが誰なのかを調べてみよう。
まず23位だが、実はこれは少し例外的人物の名があがる。
23位 George Blanda (1949-58, 60-75) 6.72yard
どう見ても同時代のQBより低い成績なのだが、それはある意味仕方がない。名誉の殿堂にある彼のポジションを正確に記すとQuarterback-Kicker。つまり、Kとしての能力も加味しての選出だったのだ。QBとしての成績自体は正直言って大したことはない。というわけで彼が最下位なのは別に不思議ではないが、ブービーの名前にはちょっとびっくりする。
22位 Troy Aikman (1989-2000) 6.99yard
90年代、Dallasの黄金時代を築いたQBがなぜこんなに低いのだ、と驚愕してしまうような数値だ。ちなみに年ごとに見ると彼はキャリア12年のうち7ヤードを超えた年が6回ある一方、それ以外の年はかなり低水準。特にルーキーイヤー(5.97)と最終年(6.23)は目も当てられない数値だ。彼が絶好調だった時期にちょうどチームも全盛期を迎え、結果としてスーパーボウル3勝をあげられたのは彼にとって幸運だった。
21位 John Elway (1983-98) 7.10yard
これもびっくりと思う人がいるかもしれないが、よく考えればさほど不思議な数字でもない。Elwayはキャリアの中盤に明らかに成績が伸び悩んでいた時期があった。それを反映した結果がこれだろう。20位から11位まではまとめて書いておく。
20位 Terry Bradshaw (1970-83) 7.17yard
19位 Warren Moon (1984-2000) 7.23yard
18位 Bobby Layne (1948-62) 7.23yard
17位 Fran Tarkenton (1961-78) 7.27yard
16位 Bob Griese (1967-80) 7.32yard
15位 Bob Waterfield (1945-52) 7.33yard
14位 Dan Marino (1983-99) 7.34yard
13位 Joe Namath (1965-77) 7.35yard
12位 Jim Kelly (1986-96) 7.42yard
11位 Y.A. Tittle (1948-64) 7.42yard
72年のPerfect Dolphinsを率いたGriese、40年代から50年代にかけてRamsで2度のチャンピオンになったWaterfield、そしてあのMarinoがほぼ同水準で並ぶところなど壮観である。この中で個人的に驚きだったのはNamathの意外な高さ。「保証する」発言だけで殿堂入りを果たした彼の数値はてっきり最下位近辺になると睨んでいたのだが、どうやらそこまでひどいQBでもなかったようだ。おみそれしました。
続いて10位から6位まで。
10位 Joe Montana (1979-94) 7.52yard
9位 Sonny Jurgensen (1957-74) 7.56yard
8位 Roger Staubach (1969-79) 7.67yard
7位 Len Dawson (1957-75) 7.67yard
6位 Dan Fouts (1973-87) 7.68yard
JurgensenやFoutsといったチャンピオンシップとは縁がなかったが個人成績だけで殿堂入りになった選手たちがかなり上位にいることが分かる。一般の知名度とはかなり違う並び方であることは確かだ。ついで5位から3位まで。
5位 Johnny Unitas (1956-73) 7.76yard
4位 Bart Starr (1956-71) 7.85yard
3位 Steve Young (1985-99) 7.98yard
レーティングでは歴代トップのYoungはこのスタッツでも順位が高く、3位に入っている。一方、UnitasやStarrはレーティングではトップ10にも入っていない。だが、Starrはチャンピオン5回という記録を持っているし、Unitasは47試合連続TDパスというNFL記録の持ち主。いずれも一流のQBであることは間違いない。続いていよいよ第2位。
2位 Norm Van Brocklin (1949-60) 8.16yard
オランダ人すげー。というかなぜVan Brocklinの数値がこんなに高いのか理解できない。いやまあ普通の人はそもそも「Van Brocklinって誰?」状態だと思うが。一応、彼の特徴としては異なる2チーム(1951年のRamsと60年のEagles)で優勝経験がある珍しいQBの一人、とか、1試合554ヤードパスを記録した、などがあるのだが。気を取り直して1位(ドラムロール)。
1位 Otto Graham (1946-55) 8.98yard
Otto-matic"http://espn.go.com/nfl/s/epstein/browns.html"すげー。さすがは10年連続でチャンピオンシップゲームに出場した男。はっきり言って他の殿堂入りQBと比べても突出しまくっている。ちなみにこの数値はAAFC時代も含めたもの。NFLだけなら少し数値も下がるのだが、それでも平均8.63ヤードを稼いでいるのだ。彼の所属したCleveland Brownsが他チームより数年先を行っていたのは確かだが、それにしてもすげー。
以上が殿堂入りQBだが、ここでもう一人、現役選手の成績を紹介しよう。まだキャリアは短いのだが、その数字を見れば驚くこと請け合いだ。
Ben Roethlisberger (2004-05) 8.89yard
Big Benすげー。
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