ナポレオンと元帥たち・17

 ナポレオンの元帥評。今回は長身のモルティエ元帥だ。デルダフィールド曰く「大柄で陽気」「誰からも好意を持たれていた」「ほとんど敵がいなかった」人物である。ティエボーによれば彼の身長は6ピエ(革命前の1ピエは0.324839385メートルに相当する"http://fr.wikipedia.org/wiki/Pied_(unit%C3%A9)")、つまり195センチくらいあったそうで、これは現代の基準からしてもかなりでかい。
 ちなみに余談であるがナポレオンの身長は5ピエ2プース、即ち168センチになる("http://www.napoleon-series.org/faq/c_tall.html"参照)。165センチのサルコジ大統領が「ナポレオンより背が低い」と言われるのはそれが理由。
 話を戻してモルティエだが、フランス語でmortierというと迫撃砲の意味になる"http://fr.wikipedia.org/wiki/Mortier_(arme)"。そのため、ティエボーなどはモルティエについて「巨大な迫撃砲、でも射程は短い」(Memoires du general Bon Thiebault, III"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k2015490"のp156)と評している。その身長で目立っていたが、仕事の能力は限定的だったという訳だ。
 実際、モルティエの人格的な面については特に言及していないナポレオンだが、軍事能力に関してはかなり辛辣なことを言っている。

「モルティエは最もレベルの低い将軍だ」
Cahiers de Sainte-Helene: journal 1818-1819."http://books.google.com/books?id=8as7AAAAMAAJ" p115

 また、ナポレオンにとってほとんどトラウマと化しているワーテルロー戦役に関連して、モルティエを批判するようなことも言っている。

「親衛隊司令官であったモルティエ元帥は15日、ちょうど戦闘行為が始まろうとする瞬間にボーモンで指揮を断念した。そして彼の代理には誰も任命されず、それがいくつかの不都合な結果をもたらした」
Memorial de Sainte-Helene, Tome Cinquieme"http://books.google.com/books?id=GHMuAAAAMAAJ" p439-440

「モルティエは親衛隊の指揮をボーモンに[ボーモンで]譲ったところで、私に甚大な損害を与えた。私はロボーを彼の代わりにするべきだった」
Talk of Napoleon at St. Helena"http://www.archive.org/details/talkofnapoleonat007678mbp" p186

 何度もモルティエを親衛隊の指揮官に任命したナポレオンだが、その評価を見る限り軍事面ではあまり彼を信用していなかったようだ。

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