ナポレオンの元帥評。今回は夫人の方が有名かもしれないルフェーブル元帥だ。ソフィア・ローレン主役で映画にもなっている"http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD13191/"が、妻はともかく夫の方はデルダフィールドの手によって純朴ながら少し間の抜けた人物として描かれている。
ルフェーブルは元帥たちの中では6番目の高齢者だったが、その割にナポレオン戦争期になってももよく戦場へ担ぎ出されていた。ロシア遠征まで付き合わされた元帥たちの中で、彼より年寄りだったのはベルティエだけだ。彼があくまで現場で活躍するタイプの人材であったことについては、ナポレオンも認識していた。
「そなたにはとても愚かに見えているルフェーブルがダンツィヒ包囲の司令部にいた時、何の危険もない時期には繰り返し馬鹿げたことを書いて寄越した。しかし敵が上陸するや否や、彼は完全に明瞭な報告を送るようになり、その作戦は素晴らしいものだった」
Sainte-Helene, Tome Second"http://www.archive.org/details/saintehelene02gourmiss" p187
そして、そうしたタイプの軍人が持つ危険性も指摘している。
「フルーリュスの勝利はルフェーブルのおかげだ。彼はとても勇敢な男で、右翼や左翼側で行われている移動には注意を払わなかった。彼が考えていたのは真正面でいかに戦うかだけだった。彼は死ぬことを恐れていなかった。それはいいことだが、時にそうした人物は危険な状況に入り込み、敵に包囲される。そして降伏し、その後は永遠に勇気を失ってしまうのだ」
Talk of Napoleon at St. Helena "http://www.archive.org/details/talkofnapoleonat007678mbp" p229
デルダフィールドがルフェーブルを、あやしげな会社を立ち上げる際にパンフレットの上段に印刷する「社会的に信用されている人物」に譬えたのは上手い表現かもしれない。実際、ナポレオンは以下のようなことを言っている。
「[貴族制を復活したことについて]ナポレオンが最初の称号を、かつての兵士でパリの誰もがフランス衛兵隊の軍曹として記憶しているルフェーブル元帥に与えたのは、[旧制度下の貴族と革命のリーダーの融合を図るという]意図のためだった」
Memoires pour servir a l'histoire de France sous Napoleon, Melanges Historiques. Tome Deuxieme"http://books.google.com/books?id=Fy1fvScgZ0MC" p247-248
ナポレオンにとってルフェーブルは、政治的に利用しやすく、加えて戦場でもそこそこ役立つ人物だったようだ。
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