ブルボーン

 今月のナポレオン漫画は、まあやはりスタール夫人がメーンになってしまうのかなあ。さらに作者のサイトにある池田理代子先生リスペクト"http://mekauma.web.fc2.com/"も(漫画を読んだ後で見ると)傑作。スタール夫人の元ネタ画像は、漫画の中で描かれていた帽子を見てもおそらくこちら"http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Madame_de_Sta%C3%ABl.jpg"なんだろう。デフォルメしすぎて本来の姿はほとんど面影すら残っていないけど。
 華々しく登場した夫人に対し、ベルナドットは姿を見せず。デュマ将軍版「長坂橋」もないまま、一気にレオーベンまで話がすっ飛んだ。イタリア戦役の描写もかなり長くなったから、このあたりでそろそろ政治劇に話を切り替えようとしているのかもしれない。それにフリウリ戦役がイタリア遠征の中でも最も地味であることは確かだ。フランス軍が窮地に陥る場面もないし、バッサノ戦役のような予想外の機動も存在しない。省いていいと判断するのもアリだろう。
 ただ、ベルナドットを出さなかったのは英断というか蛮勇というか。ここで出しておかないと登場させるタイミングがかなり難しいような気がする。この際ポジティブシンキングってことで、どんな長谷川マジックを使いながら彼を登場させるか楽しみに待つとしよう。
 あと笑ったのが、「ボンジュール」と「ブルボーン」しか言わない王党派。フランス人に喧嘩売っているようなシーンだ。でも個人的に一番ウケたのはタレイランの「お金、貸してくれませんか?」という台詞だったりする。なぜか分からないがツボに嵌った。
 それにしても同じ漫画とはいえアメフト漫画の凋落ぶりに比べればこちらは圧倒的に面白い。あちらが脳内設定暴走路線に入り込んでいるのに対し、こちらは(脳内ではなく史実の)設定からどれだけ外してウケを取るかという点で工夫を怠らないところがいいんだろう。よくあるパターンのお話にはまり込んでしまえば、たとえ私が興味を持っている時代をテーマにしたものでも読み続けることはできない。実際、池田版ナポレオンの方は展開が予想通りすぎたため途中で放り出してしまったし。

 という訳で(何がという訳なのか分からないが)今月は史実との比較はパス。来月は表紙&巻頭カラーになるらしい。話の中心はフリュクティドールか、レオーベンでの交渉シーンか、それとも戦報に書かれていたようなプライベート関連の描写になるのか。正直、予想がつきにくい。

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