化け物

 Football Outsidersが新指標DYARを使った過去のQB成績記録をアップした。しかも1995シーズンから13年分だ。以前は2000シーズン以降の分しか見られなかったのだが、90年代後半までカバーされたことでより長期的視点でQBの成績を調べてみることができる。という訳で自分なりにその成績をひっくり返してみたのだが、結論は「IndyのQBは化け物か!」
 とにかく何が凄いといってDYARでリーグトップの成績を収めた回数が6回。10年のキャリアで6回ですぜ奥さん。おまけにこちら"http://www.footballoutsiders.com/2008/07/21/ramblings/dvoa-ratings/6381/"を見れば分かるのだが、シーズンごとの最多DYARを並べてみたらトップ7のうち5つまでヤツが独占してしまっている。確かに全体1位の座こそ昨シーズンのBradyに握られているが、それを別にすればWarnerもFavreも敵ではないのだ。
 1シーズンごとの成績だけでなく、累計で見ても驚愕。13年分を積み重ねているFavreの累計DYARを、10年分しかないヤツが40%も上回っているのである。もちろんキャリアを通じた年平均DYARでも2位以下を大きく引き離している。冷静に考えればキャリアたった4年で3回のシーズン1000DYAR超えを達成したPalmerとか、4年連続1000DYAR超を成し遂げたBradyとかはヤツさえいなければとんでもない化け物と呼ばれていたであろうに、ヤツのせいで普通の化け物に降格である。
 正直、同時代でここまで他のQBをdominateしていた選手というのは思い浮かばない。敢えて上げるならOtto-maticあたりかなという気もするが、彼の記録はCleveland Brownsという先進的チームにいたからこそ達成できた面はあるだろう。サラリーキャップ時代にここまで笑えるデータを毎年のように叩き出す選手のことを、一体どう評価すればいいのだろうか。そして、全米の優秀なアスリートたちの間から選び出されてきた超一流が集まっているはずのNFLでここまで他者との差がついてしまう理由は何なのだろうか。
 何にしても、一つ確実に言えることがある。Peyton Manningを見ることは、多分歴史を目撃することである。彼がプレシーズンゲームで東京に来た時にドームまで見に行ったのは正解だった。

 ついでにPeytonの凄さを示すため、シーズン1000DYAR超を何シーズンの間に何回成し遂げたかについて一覧表を示しておこう。あくまで1995シーズン以降のデータなのでElwayとかMarinoがしょぼい数字になってしまっているが、それは諦めてもらうしかない。

Peyton Manning 8/10
Carson Palmer 3/4
Tom Brady 4/7
John Elway 2/4
Tony Romo 1/2
Drew Brees 3/7
Trent Green 4/9
Steve Young 2/5
Mark Bulger 2/6
Jim Everett 1/3
Rich Gannon 3/10
Daunte Culpepper 2/8
Brett Favre 3/13
Jake Plummer 2/10
Kurt Warner 2/10
Warren Moon 1/5
Dan Marino 1/5
Eric Kramer 1/5
Troy Aikman 1/6
Randall Cunningham 1/6
David Garrard 1/6
Steve McNair 2/13
Scott Mitchell 1/7
Jeff George 1/7
Elvis Grbac 1/7
Chad Pennington 1/7
Brian Griese 1/9
Jeff Garcia 1/9
Donovan McNabb 1/9
Matt Hasselbeck 1/9
Vinny Testaverde 1/12
Mark Brunell 1/12
Kelly Collins 1/13

 とりあえず1995年以降ではPeytonこそが最強のQBであることは間違いない。

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コメント

No title

rot*on*li*ht
いるんですよね。偶に時代と才能に愛される人間離れした人物って。
一番の理由は天賦の才とたゆまぬ努力なのでしょうが。

No title

desaixjp
努力したからといって成功する保証はないが、成功したヤツは必ず努力している、という言葉を思い出します。Peytonは努力と才能の両方が類稀なレベルで均衡している世にも珍しい選手なのでしょう。

No title

HAL
いやTom様も充分化け物だと思いますよ?
なんといっても06年までの彼のターゲットはブラウン・ブランチ・コールドウェルだったんですから(笑)。マニングやパーマーとは前提が違うわけで。
01年以降のNFLはPayton vs Tomの時代といっても過言ではないのかもしれません。意味のない仮定ですが、01-02年間のリーグ再編時にSEAじゃなくてINDがNFCに行ってたら、今世紀のSBの半分以上はNEvsINDになってた可能性も……。

No title

desaixjp
チームメイトの影響まで話し始めると切りがなくなってしまうのが問題なんですよね。たとえばPlummerのDYARはArizona時代の7年間に5回もマイナスを記録したのに、Denverにいた4年間は全部プラス。うち3回はArizona時代のどの年より高い数値をたたき出し、2回は1000DYAR超えを達成しているんです。彼が11年のキャリアをずっとDenverで過ごしていたら、実はBradyより凄い成績を出していたかもしれません。あくまで仮定の話ですが。
仮定の議論はそれはそれで面白いんですけど、どこまで行っても立証できないのが最大の課題ですかね。今世紀のSBが1950年代のChampionshipのように「いつも同じ組み合わせ」(50年代はClevelandとDetroit)になっていたかどうか、それは神のみぞ知るってことで。
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