hubris

 相変わらず仕事が忙しいのだがどうにかSuperbowlのスタッツは見ることができた。で、結論としてはこれはどう見てもNew Englandのオフェンスが悪い。第4Qに一応逆転したから最低限の仕事はしたかもしれないが、それでもディフェンスの頑張りをほとんど無にするような有様だったことは確かだ。敢えてディフェンスの問題を挙げるなら後半のパスディフェンス崩壊だが、高齢者主体のチーム作りをしている以上それは覚悟のうえの事態。最後までもつれる展開になった時点でゲームプラン失敗と言えるだろう。

 ランディフェンスではJacobsもBradshawもそれなりに抑えた。Bradshawに1回10ヤード以上を許したのがまずかったくらいで、Jacobsはむしろ0ヤード以下を1回ときちんと抑えている。
 パスもトータルでは成功率6割未満だし、ディープも9試投3成功と抑えている。問題はその3回の成功で115ヤードも稼がれてしまったこと。ディープを通された後のフォローがダメだったわけで、その責任はセーフティーにあると考えられる。レシーバー別に見るとToomerに6回中6成功84ヤードを許したのは言い訳できないが、あとはそれなりに頑張っている。特にBurresは9回中2成功27ヤード、ディープは3回中0成功とほぼ完璧に抑えていた。CBは完璧とはいえないがそれなりに仕事をしたのではないだろうか。課題がセーフティーというところも、チームディフェンス高齢化の影響が出ている。
 で、問題のオフェンス。まずランの機能不全が酷い。Maroneyは14回のキャリーのうち0以下が実に6回。最も大事な試合でboom or bustどころかbust and bustになってしまった。1st downでランをやっても全然進まず、その分だけBradyに負担がかかり、OLの低調ぶりも重なっていよいよオフェンスが進まなくなったようだ。
 パスのプレイコールも酷い。Mossへのディープがシーズン後半から機能していないことは分かっていたにもかかわらず、前半のMossへのパスは3回ともディープ(1成功18ヤード)。後半になってもMossへの1回目と3回目のパスはやっぱりディープ(失敗)だ。2回目と4―7回目に投げたショートは5回中4成功44ヤードとそれなりにMossが武器として活用できていたのを見ると、もっと早いタイミングでMossにもショートを走らせる手があったのではないだろうか。
 もちろんMossはデコイでショートの専門家にパスを投げ続けるプレイを最初から選んでいたのなら問題ない。だが前半のプレイではWelkerへのパスは2回、Faulkは3回と決して多くない。一方でStallworthへは2回、WatsonとGaffneyに各1回とどちらかといえばディープ向けの選手へのパスが多かった。あれだけサックを食らいまくっていたのにそれに対処してショートゾーンを使い始めたのは後半から。しかも(Reiss' Piecesによれば)後半には2TE、3TEの利用度を上げるなどMossがデコイになりにくい状況を自ら作り上げたうえでのプレイ選択となっている。
 OL低迷、Maroney不振、Brady自身の乱調にこのMcDanielsの逆噴射があいまってオフェンスが進まなくなった。それに止めを刺したのがSTだ。余計な反則やパントのネットヤード不振などでドライブ開始は平均してGiantsが自陣37ヤードだったのに対しNew Englandは23ヤード。ドライブ回数を合わせれば140ヤード近く損している計算になる。ただでさえオフェンスヤードで負けているのにSTでの損がそれだけ積みあがれば、そりゃ勝てない。むしろよく最終局面までもつれ込んだものだと感心するほどだ。
 昨シーズンと同じくリードを守れずにシーズンが終わった点では、課題はディフェンスにあるように見える。高齢化したディフェンスが最後にこらえきれなくなったと見ることもできるだろう。だがこの試合は去年のAFCCGとは異なり、やっぱりオフェンスこそが敗因。選手個々の不調に加えてアジャストが遅れがちになるという去年と同じミスをMcDanielsが犯した。正直、私は彼に不信感を抱いている。シーズンとプレイオフを通じて絶好調だったオフェンスが最後にいきなり崩壊したのなら同情の余地もあるが今年はそうではない。シーズン後半から明らかだった問題点を改善できないまま試合が進み、最後の最後にそれが爆発した印象が強いのだ。

 今年のNew Englandを見て私が思い出したのがPete Carroll時代だ。あの頃は個々の選手の高い能力を生かして開幕ダッシュを決めるものの、他チームのアジャストが進むシーズン中盤からもたつきが始まるのが例年のことだった。今年のNew Englandはもたつきが始まったのがシーズン後半。それでもBelichickならアジャストすると思っていたのだが、結果は見ての通りだ。Baltimore戦で苦労したあたりからNew Englandのプレイ選択を自信過剰と指摘する声が海外サイトで出ていたが、その指摘はどうやら正しかった。

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