NFL week17

 最終週は酷い試合であった。相手が本気を出してきたのはある意味当然だし、同じプロチームなのだから接戦になっても別に不思議はない。問題は内容が悪いこと。シーズン終盤によくなってきた部分が消え、悪い部分がそのまま残った試合だ。正直、プレイオフへの不安が募る。

 まずランオフェンス。一時期Maroneyのランはロングゲインもないがゼロヤード以下もあまりなく、安定して前進する展開が見られた。ところがこの試合はゼロヤード以下が19キャリー中7回。boom or bustではなくbust and bustになってしまった。10ヤード超が2回あったといってもこれでは話にならないし、ラインのスターター2人欠場で言い訳できるレベルの成績ではない。Faulkも2回走って2回ともゼロヤード以下。ランオフェンスに関する懸念が深まる。
 パスオフェンスについてはBradyはまだいい。ディープパスも8試投4成功129ヤードというのはちと物足りないが体感温度で華氏40度を割った天候においては許容範囲だろう。ショートに至っては久しぶりに高い成功率を達成。問題は前半が22試投17成功158ヤード、後半が20試投15成功227ヤードとシーズン中盤までの調子のいい時期とは逆になっている点だ。前半に距離を稼ぎ、後半は効率よくパスを投げるというスタイルになっていないのは問題である。
 もっとよくないというかダメなのはMoss。この試合もディープを5回投げられながら取ったのは1回65ヤードだけ。2試合合計でディープパスのレシーブは11回中1回と酷い有様だ。ショートの7回中5成功35ヤードはまだしも、ディープでは彼をターゲットにするのは考え直した方がいい。少なくともプレイオフではカバーされまくっているMossはもっとデコイに徹するべきだろう。
 Mossが酷かったおかげでこの試合はなぜかWatsonがディープで2回中2成功36ヤード。もっともトータルでは6回パスを投げられて38ヤードしか稼いでいないのでMossの代わりにはならない。あくまで他の選手の影に隠れて活躍するタイプである。WatsonはTEだから別にそれでもかまわないのだが、問題はStallworth。この試合は3回中3成功32ヤード、ディープパスに至ってはそもそもターゲットにすらなっていない。まるでGaffneyのような成績だ。本気で存在意義が問われている。
 結局頼りになるのはWelker(12回中11成功122ヤード)とFaulk(8回中8成功64ヤード)といういつもの展開。彼らはあくまでショートゾーンが専門だ。本来ならMossがDBをひきつけている間にもっとディープを攻める他のレシーバーが目立たなければいけないのだが、満足のいく状態とは言えない状況でシーズンが終わってしまった。プレイオフでより強力なディフェンスを相手にした時が不安である。

 ディフェンスについてはこの数試合よかったレッドゾーンがまたダメになってしまったのが困りもの。4回あったドライブが全部TDに結び付けられてしまった。せっかく粘りが出てきたと思ったらこれだ。やはり今シーズンのディフェンスは今一つと言うしかなさそうだ。
 それでもランディフェンスはましだった。Jacobsには10ヤード超を2回やられたものの、ゼロヤード以下も3回あり、特に前半はよく抑えていた。後半悪くなったのはパスディフェンスのヤバさに気づいてそちらを重視するようになったためだろう。そう、この試合でおそらく最大の課題はパスディフェンス、特にディープパスのディフェンスである。
 Manningのディープパスは6試投4成功113ヤード。Bradyより成功率が高いし、何より問題なのはそれをWRにやられたことだ。Burresのディープは3回中2成功71ヤード、Toomerは2回中1成功19ヤード。彼らのトータルでのパス成功率は低い(Burresは8回中4成功、Toomerは7回中4成功)のだが、ショートを止めてもディープを通されていたのでは話にならない。何よりEliにここまで好き放題にやられるともの凄く不安。こんな調子でGarrardやBenやPeytonが止められるのだろうか。ディープへの一発でパスディフェンスが崩壊した2005年が思い出される。
 STが酷かったのは言うまでもない。リターンTDがなければこれまた試合としてはもう少し落ち着いた展開だっただろう。カバーチームの駒不足はやはり何とかして埋めないとこれまた一発でやられる可能性がある。
 もちろん、問題があるとはいえ去年よりはずっとマシ。それでもシーズン序盤に比べればオフェンスは明らかに迫力不足だし、ディフェンスはよくなってきた流れが止まってしまった印象が強い。前から言っていたように、私にとってはBradyやMossの個人記録はおろか、レギュラーシーズン16戦全勝も意味はない。プレイオフに勝たなければ全て無意味である。贅沢な悩みかもしれないが、きちんと問題点を修正してプレイオフに臨むべきだ。

 そのプレイオフレースは先週の順番のままゴールになだれ込んだ。AFCの第3シードはSan Diegoに、第4シードはPittsburghになり、第6シードには選手を休ませたIndianapolisに勝利したTennesseeが滑り込んだ。正直今年のTennesseeよりはClevelandの方がプレイオフに値するチームだと思うが仕方ない。それにしてもAFC南は全チーム勝率5割以上か。ご立派。
 NFCでは同じく手を抜いた(Romoは本気で調子が悪かったのかもしれないが)Dallas相手に勝利したWashingtonが最後の椅子をゲット。それにしてもプレイオフ出場チーム以外に勝ち越したのがClevelandだけとは、やはりチーム間格差が拡大していることの証明だろうか。
 プレイオフ一回戦はWashington @ Seattle、Jacksonville @ Pittsburgh、New York Giants @ Tampa Bay、Tennessee @ San Diegoの組み合わせだ。New Englandの相手はSan Diego以外なら全部ありうるが、個人的にはJacksonvilleの可能性が高そうに思える。あのチームは今シーズンGarrardが絶好調。Taylor、Jones-Drewのワンツーパンチも強い。となるとやはりオフェンス、それもBrady頼りで何とかしなければならない事態に陥るのではなかろうか。Mossへの無理やりパス一辺倒にならないことを祈っている。

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