日記ならぬ週記である。
アメフト漫画早売りネタバレの前に、まずパソコンは無事帰還。今のところはきちんと動いている。それとNFLなんだが大きなニュースと言えばAtlantaのPetrinoがプロ13試合であっさりHCの職を投げ打ってカレッジへ戻ったことくらいか。オーナーも選手もファンもさすがに怒っている模様。去年のSabanに続いての「敵前逃亡」だが、カレッジのHCにとってNFLの仕事はあまり魅力的ではないのだろうか。後はMiamiのオーナーがチームを売却しようとしているとの報道もあったようだ。逆パーフェクトの末に売っぱらったりしたらこれまた「敵前逃亡」と言われそうだな。
フィクションに求められる「リアリティ」にも色々とある。読者によっても異なるだろうし、同じ読者でも作品ごとに求めるリアルさは違ってくるだろう。「おお振り」に見られるような捕手のインサイドワークに関する話がいきなりアストロ球団に出てきても違和感だらけ。リアルであればいいというものではない。
またジャンプ系の作品においては、時期によってリアリティが変化することも珍しくない。初期の「リンかけ」を見るととても中盤以降と同じ話だとは思えない。テニスの王子様にしても連載開始当初はもう少しまっとうなテニスシーンを描いていたような記憶がある。これまた一律にリアリティを求めても仕方ないという事例だ。
だからアメフト漫画のリアリティ喪失も許容しろ、という意見はあるだろう。確かにそれは一理あるのだが、残念ながらこの作品はリアリティの喪失度においてあまりに中途半端である。今週もまさにその通りで、先週までの変なワンオンワン格闘技路線からいきなりディフェンスの動きを見た対処というアメフトっぽい話を展開。素っ頓狂路線を突き詰める訳でもないし、かといってかつては存在した「右サイドへのランプレイを印象づけたうえでカウンターをしたらディフェンス選手がブロッカーの動きを見てそれに反応」というようなレベルのリアリティはもはやない。実に爽快さに欠ける展開となっている。
漫画内展開ではこの試合が関東大会決勝。その後に残るのはクリスマスボウルのみだ。おそらくこのまま異次元世界にも突入しきれず、一方で現実からは遊離してしまい戻ることもできなくなった状態のまま、妙なゲームを続けてラストに至るのだろう。残した効果はアメフトに関心がなかった層にある程度アメフトを印象づけた部分のみ。これで多少はミーハーなファンが増えればラッキーと考えておくべきなのかもしれない。だが、現実にNHKBSのゴールデンタイムにおけるNFL放送時間短縮を見る限り、その効果も限定的なのだろう。
もう一つ、走るQBは現代アメフトの産物ではない。むしろ話は逆で、走るQBは古い時代の方が一般的だった。Otto Graham"http://www.nfl.com/players/ottograham/profile?id=GRA229104"はNFLの6年間にパス試投1565回、ラン306回を記録している。パス/ランの数値は5.1倍だ。一方、現代NFLを代表するPeyton Manning"http://www.nfl.com/players/peytonmanning/profile?id=MAN515097"は現時点まででキャリアのパス試投5315回、ラン286回でパス/ランは実に18.6倍に達している。Grahamの3倍以上である。
そもそも昔のアメフトではバックスは皆走っていた。フォワードパスが認められるようになってからQBがパス専門職になるまでには30年以上の時間がかかっている。大雑把な傾向としてはむしろ現代に近いほどQBは走らなくなってきたと言っていい。
最近になってHeismanを獲得したTebowのように走るQBも目立つようになってきたが、それはディフェンスがQB=パス専門職という前提でプレイする流れが強まったためだろう。相手の裏をかくのに、走るQBは役立つのだ。だが、それが通用するのも通常カレッジまで。桁外れのアスリートが揃っているプロのディフェンス相手にラン中心のQBが通用することはない。通用しているのは「パス能力が高く走ることもできるQB」であって「パスを投げられるRB」は所詮Vickレベルにしかならないのである。
まあ高校生レベルならパスも投げるRBの方が役に立つというのは十分ありうる話なので、その点はリアルだと言ってもいいかもしれない。逆にあり得ないのはあんな酷いパスを軽々とレシーブしているMossレベルの能力を持ったレシーバーたち。とても現実の光景とは思われない。
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