NFL week9

 11月のスーパーボウルだの第41.5回スーパーボウルだのGame of the DecadeだのCenturyだの言いたい放題言われていたゲームが終了。私が事前にあげた3つの予想(シュートアウト、渋いディフェンス合戦、一方的展開)のどれにもならず、平均的な得点での接戦が展開された。終わった後で今度はColtsgate疑惑なるものまで出てくるあたり、あちらの当事者、関係者、ファンがいささか過剰反応し過ぎている様子が窺える。たかがアメフトのゲームなんだからそこまでヒートアップしなくても良さそうなものだ(こんなことが言えるのもNew Englandが勝ったからではあるのだが)。
 ゲームの中身はともかくTV局とNFLにとっては実にいい試合だった。視聴率は22.5%で午後の試合としては記録の残っている1987年以来の最高。多額の契約料をTV局からせしめているリーグにとって、この実績は将来の契約更改時の武器になりうるだろう。TV局にとってはNew Englandのゲームが金の卵を生む鶏に見えてきたようで、フレキシブルスケジュールが使えるようになる第11週のat Buffalo戦がさっそくプライムタイムへ移動。おかげでbye明けの7試合のうち実に4試合がプライムタイム開催となってしまった。やれやれ。

 試合の中身だが、まず特徴的なのは前半にパスよりランの方が多かったこと。ランはMaroneyの9回をはじめとして計14回、一方Bradyのパスは12回だった。前半にパスを投げまくり得点を重ねまくって後半はランを増やしつつパスは効率アップを図る、というのがNew Englandの今シーズンのやり方。だがこの試合ではその原則を崩してきた。前半獲得ヤードも(サックも含めるなら)パス49ヤードに対しラン65ヤードと、特に前半のランが効果的だったことが分かる。
 Football Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"のAudibles at the LineではNew Englandが他チームに対するのと同じようなやり方でゲームを始め、それを修正するのに長い時間を要したと指摘している。確かにNew Englandの採用したフォーメーションはそうだったかもしれないが、プレイ選択はそうではなかった。Indianapolisの両DEに対処するため、New Englandはいつもよりランプレイを増やしてすれ違いによるゲインを狙った。後半になってBradyに圧力がかからなくなったのはTEなどによるパスプロを増やしたことに加えて、前半に行ったドロー中心のランプレイが少しずつ効果を上げていたためだとも考えられる。
 実際、Addaiのランばかりが目立った試合だったがチーム全体のランで比較するとNew EnglandもIndianapolisもYPCは3.8ヤードと同じ。New Englandのランプレイからニールダウン4回マイナス5ヤードを除けばYPCは4.6ヤードとなり、Addaiの個人成績(4.3ヤード)より良くなる。ランプレイのうちロスしたものはNew Englandが2回マイナス3ヤードでIndianapolis(5回マイナス19ヤード)より安定してランプレイでゲインを得ていたことも分かる。前半だけに絞ればNew EnglandのYPC(除くニールダウン)は5.1ヤード。Indianapolisディフェンスにとってはパスよりこちらの方が脅威に見えたとしても不思議ではない。こうした前半の「餌まき」があったからこそ、後半のパスオフェンスが効率よく進んだのではないだろうか。
 個々の選手を見ると前半はMaroney(48ヤード)もFaulk(3回15ヤード)も頑張った。後半はパス主体となったためMaroneyが6回11ヤードFaulkが4回14ヤードにとどまった。Bradyのスクランブルを除くと10ヤード以上をゲインしたランはなし。ハイライトフィルムには映らないがいいプレイをしていたという点で、このチームらしい活躍だったと言えるのではないだろうか。New Englandのランオフェンスをこんなに誉めたのは初めてかもしれない。
 ランとは逆の成績だったのがパス。Bradyの成績も前後半で大きな落差がある。前半は12試投8成功59ヤードでレーティング71.2。これが後半になると20試投13成功196ヤードでレーティング109.6に急上昇した。前半は1つも成功しなかったディープパスも後半はMossとStallworthにそれぞれ通し、トータル5試投2成功88ヤード。Washington相手にあれだけディープが成功したのに比べると悪い成績だが、何とか合格点には達しているだろう。
 レシーバーでは相変わらずMossが14回中9成功145ヤードと馬車馬の如く働いている。特にキャッチアップを図った後半はパス全体の半数を占める10回もターゲットになった。こういうオフェンスは去年まではできなかっただろう。前半に使用を控えていたWelkerも後半は4回中4成功26ヤードを得ており、相変わらずこの2人がパスオフェンスの主役だ。主役を後半まで取っておいたところを見ても、前半のパスオフェンスは「死んだふり」だったのではないかという気がしてならない。
 復活したWatsonは3回中2成功10ヤードとまずは地味な使い方。前半はGaffneyを使っていたもう一方のワイドアウトには後半になってStallworthが回されたようだが、彼に投げられたパスは前半が2回(1成功9ヤード)、後半が1回(1成功33ヤード)となっており、この試合では囮に徹していたようだ。FaulkはTDを取って目立っていたが、5回中3成功20ヤードといつもよりレシーブ率が低かったのが気になる。

 一方のディフェンスだが、ランはダメだったとの評価がもっぱら。特にAddaiは止まらなかった…と言われているが、彼のこの試合の成績がかなりBoom or Bustであったことも確かだ。10ヤード以上のゲインが5回あった一方、0ヤード以下も5回。Indianapolis側から見ればドライブしにくいランプレイをされたことは間違いない。特に後半はAddaiに対してもきっちりアジャストしており、前半が15回80ヤードだったのに後半は11回32ヤードまで成績急低下。もともとAddaiは耐久性に疑問がある選手だけに本来ならKeithがもっと仕事を負担すべきだったが、前半3回4ヤード、後半1回2ヤードと全く使えなかった。このあたりはIndianapolisにとって今後の課題だろう。
 ManningのパスはBradyの鏡像だ。前半は15試投9成功145ヤード、後半は12試投7成功80ヤード。ただ前半のAddaiによるYACを除けば前後半とも二桁のパスヤードになってしまう。Manningとしてはあり得ないほど低い成績だと見なすべきだろう。Wayneが8回中5成功62ヤード、Clarkが4回中2成功15ヤードに対してHarrisonの代わりに出てきたMooreheadが6回中2成功13ヤードと悲惨な成績に終わったのがおそらく最大の理由。Harrisonの存在の大きさがよく分かる。
 New Englandから見ればディープパスを通さなかったのが大きな勝因だろう。この試合、Manningのディープ成績は7試投1成功24ヤード。Wayneに3回中1回通っただけで、ClarkとMooreheadはそれぞれ2回のディープパスがいずれも不成功となった(パスインターフェアを入れればもっと成績は良くなる)。ディープを通さないディフェンスは今シーズンのNew Englandを特徴づけるものだが、これもまたHarrison不在の効果があったと見ておくべきだろう。
 Indianapolisのプレイコールで疑問なのは、後半になってManningが12試投のうち5回もディープパスを投げたこと。リードした後半になぜこんなドライブを断ち切るようなプレイ選択をしたのか、私には分からない。去年のAFCCSでNew Englandが後半パスを投げまくったのを見た時以来の不思議なプレイコールだ。さらにパスインターフェアを重ねることを期待していたのか、それともプレイオフでの再戦をにらんでディープへの脅威を印象付けていたのか。HFA喪失のリスクを犯してまでそんなことをするとは考えにくいのだが。
 STではNew Englandが圧倒。まずキックオフではGostkowskiが5回中2回をTBとしたのに対しVinatieriは全部リターンされた。パントはHansonが3回中2回を20ヤード以内に落としたのに対してSmithは3回中1回。キックオフリターンはNew Englandの平均24.4ヤードに対しIndianapolisが15.3ヤード、パントリターンはWelkerの20ヤードに対しRushingが11ヤードとほぼ全てのデータでNew Englandが勝っている。一方でNew Englandは反則が多すぎたことは多くの人が指摘済み。ターンオーバーは双方2回ずつだった。

 とにかくこれでbye前は全勝で終了。けが人も何人か出てきていた局面だけにここで休みはありがたい。Morrisの脱落は残念だったが、他は何とか回っており、この数年では負傷者の状態はかなりいい方だろう。むしろPUPリストに残っていたBrownと2人のJacksonをどうするつもりなのかが気になるほど。この調子でポストシーズン終了まで行ってほしいものだ。

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