同地区他チーム

 筐体の異音は継続中。しかしまだ生きている。

 NY JetsのQB、Penningtonの擁護をしたい。最近の海外サイトを見るとJetsの敗北は全てPenningtonの責任であるかのような論調がまかり通っており、第6週の試合ではQBスニークの失敗まで取り上げられて叩かれていた。"Chad Must Go"の声が日本にまで聞こえてくるかのようである。でも、本当に彼の成績はそんなに悪いのだろうか。
 まず現在のJetsの成績そのものをFootball Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"のデータで見てみよう。DVOAは第6週時点で-33.8とリーグ30位に低迷している。同地区のMiami(-22.0の26位)、Buffalo(-19.2の23位)に比べても低く、Jetsファンが抱いている危機感自体は正しい。何しろJetsより下にはOaklandとSan Franciscoしかいないのだ。おまけに今後のスケジュールはリーグ4位の厳しさ。確かに絶望的だ。
 しかしそれだけでQBが悪いという結論にはならない。もっと詳しく中身を見なければ。まずオフェンスのDVOAは-8.5でリーグ24位。ディフェンスは28.6でリーグ32位。確かにオフェンスは悪い。下から数えた方が早いくらいだ。けど、これはどう見てもディフェンスの方がもっと悪い。何しろ最下位。ディフェンスの成績の悪さについて、Penningtonには一切責任がない。
 オフェンスの中を分けてみるとパスは-3.8の21位、ランは-13.6の20位。何のことはない、どちらも似たような悪さ(中の下から下の上)なのだ。これがMiamiのファンならランオフェンス(10.2の7位)に比べてパスオフェンス(-3.3の20位)が悪いと文句をつけることもできるだろうが、Jetsファンがそれをやるのは違和感がありすぎる。
 Pennington個人の成績に注目するとその印象はさらに強まる。第6週(除くMNF)までのPenningtonのDPARは14.7でリーグ18位、DVOAも9.5の18位だ。もちろんBrady(80.1と74.2)などに比べれば全然冴えないのは確かだが、DVOA30位のチームにしてはよく頑張っていると言えるだろう。同地区の他のQBと比べてもBrady以外にPenningtonよりいい成績の選手はいない。彼のバックアップであるClemensのDPAR-4.6(36位)、DVOA-34.6(37位)よりもずっとマシなのだ。
 一般的なスタッツ、たとえばQBレーティングで見ても83.6でやはりリーグ18位。パス試投に対するFD率になると38.1%と試投数の少ない選手を除けばリーグ9位に位置している。20ヤード以上のパスは9回と肩の弱さは隠すべくもないが、ドライブを続ける力は十分に残っているのだ。
 RBのJonesはDPAR1.6(32位)、DVOA-11.1(35位)。こちらはPenningtonほどチームに貢献している様子はない。総獲得ヤードはリーグ10位だがYPCは3.8ヤードと低水準。FD率も18.8%と低く、リーグのトップ30位にも入らない。要するにJetsオフェンスで本当に頑張っていると言っていいのはPenningtonと一部のレシーバー(特にCotchery、Baker、Coles)のみ。一方、思いっきり足を引っ張っているのがディフェンスだ。
 ディフェンスでも特に酷いのがパスディフェンスでDVOAが44.5(32位)。ランディフェンスも13.5の30位とやっぱり酷い成績。この責任ははっきり言ってManginiにある。4-3向きの人材で無理に3-4をやらせているという批判は前からあるが、その批判こそが的を射ていると考えていいだろう。今のPenningtonは、Manginiとディフェンスチームの失敗まで背負わされているように見えてならない。
 そもそもManginiの存在はディフェンスにとって災厄でしかない。彼が来る以前と以後のJetsのディフェンス成績を一覧表にしてみよう。左からディフェンストータルのDOVA、パスディフェンスDVOA、ランディフェンスDVOAでカッコ内はリーグ内順位だ。

2005 0.6(18) -10.1(8) 9.4(28)
2006 10.7(26) 5.9(21) 16.0(32)
2007 28.6(32) 44.5(32) 13.5(30)

 リーグの中堅を維持していたディフェンス成績がつるべ落としだ。特に酷いのがパスディフェンス。かつてリーグ8位に位置していたJetsのパスディフェンスがここまで落ち込んだ理由がPenningtonにある訳がない。
 Manginiの災厄に遭ったのはJetsだけではない。2005年に彼をDCにしたNew Englandのディフェンス成績の推移を見てみよう。

2004 -11.3(6) -10.8(6) -12.0(6)
2005 10.5(27) 26.9(29) -7.7(15)
2006 -8.4(8) -9.9(7) -6.5(10)

 Manginiのいる間だけディフェンスが崩壊していたことが実によく分かる。彼がいなくなるや否や、ディフェンス成績は以前の水準まできっちり戻った。
 一方、Penningtonは過去にもJetsの勝利に貢献してきた。彼が先発の座についた2002年以降の彼のシーズン出場試合数とJetsの最終成績を記しておこう。

2002 15 9-7
2003 10 6-10
2004 13 10-6
2005 3 4-12
2006 16 10-6

 彼の出場試合数の多いシーズンにはJetsは勝ち越し、少ないシーズンには負け越すというのがこの5年間続いている。もちろん出場できない一流選手より出場する三流選手の方が偉いので、その意味で彼がファンの期待を裏切ってきたことは間違いない。いつまた負傷で出られなくなるか分からない選手を使うよりClemensに経験を積ませるべきだという議論であれば、私も反対はしないだろう。だが、敗北の責任をPenningtonに負わせるのでは、問題は解決しない。

 もう一つ、同地区の話題を。ChambersのSan Diegoへのトレードが決まったが、Football OutsidersではMiamiファンが欣喜雀躍していた。確かにDPARやレシーブ率を見る限り、彼がドラ2に化けるなら大歓迎であろう。もっともSan Diegoも損したとばかりは言えない。何しろあのCaldwellですらチームを変われば一応一番手WRらしき成績は残せたのだ。環境が変化すればChambersだって上手くやれる、かもしれない。

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