NFL week5

 今週もNew Englandは圧勝した。終わり…ではさすがにつまらない。ここはむしろ自分自身を引き締め直す意味で、今週の試合をできるだけ悲観的に振り返ってみる。

 まずランオフェンスだが、シーズン前から指摘されていたデプスの薄さがここにきて大きな懸念材料に成長した。確かにMorrisは2週連続で100ヤード超を走ったが、MaroneyがいないためRBとして機能しているのが事実上彼1人の状態になっている。Faulkは3キャリーでたった6ヤード、Evansはそもそも走る機会すらなく、後はゲーム終盤の時間潰しで出てきたEckelが6回16ヤードにとどまったのみ。Maroneyはもともと怪我がちな選手だし、Morrisに何かあると一気にヤバくなりそう。
 パスオフェンスでは無敵を誇ったBrady-Mossのホットラインに亀裂が。これまでパスの9割以上をレシーブしていたのに、この試合は8回中3回しか取れなかった。ディープパスのターゲットに4回なりながらも取ったのが1回17ヤードだったのが特に課題か。Bradyのディープパス全体は9回中5回レシーブ119ヤードであり、Mossのレシーブ率の低さが目立つ。思えはOaklandにいた時期のMossはこんな成績続きだった。彼があの頃に戻ってしまうととんでもないことになる。
 MossよりはマシだったがStallworthも今一つ。7回中4回レシーブ65ヤードという数字では、Mossに代わって活躍したとはとても言えない。Welkerは6回中4回レシーブ19ヤードと3番手らしい結果に落ち着き、結果としてこの試合はWatsonがリーディングレシーバーになるという昨シーズンをリプレイしたかのような状態に終わった。昨シーズンとの唯一の違いはWatsonが7回中6回レシーブ、特にディープで3回中3回レシーブ82ヤードを記録したことか。
 プレイ選択では昨シーズンの悪いところをそのままなぞった展開。前半にあれだけ大きなリードを奪ったのに、後半はラン16回、パス20回とパスの方が多い。そもそも前半に18回しか投げなかったパスをなぜ後半に20回も投げる必要があるのか、それもディープパスを何度も放ったのは一体どんな狙いなのか。もしRBのデプスが薄く、時間潰しができないからパスに頼ったのだとすれば、問題は構造的になり一段と悲観的な材料が増えてしまう。
 ディフェンスでは10ヤード超を3回も許したランディフェンスが気になる。ニールダウンを除いて20回のランプレイ中の数値だからいくら何でも高すぎ。それも前半に立て続けにやられたところが大きな問題だ。Seauもインターセプトよりきっちりランを止めることに力を注いでほしいものだ。
 パスディフェンスは相変わらずディープの守りがちと甘い。Andersonごときに5回中3回成功75ヤード取られたのはいかがなものか。もっと有能なQBを相手にした時が不安だ。本来きっちり抑えることが多い一番手WR(Edwards)に11回中6回レシーブ110ヤード、ディープは2回中2回レシーブ54ヤードも奪われたのも気になるところ。今年のCB陣には昨年ほどの圧倒的な強さを感じない。TEのWinslowを12回中4回レシーブ49ヤードに抑えたのは評価できる点であり、Harrison復活の効果かもしれないが、全体的には課題の目立つディフェンスだった。
 STではHansonが平均35.8ヤードと無残な数字。シーズンを通じても11回のパントで平均が36.3ヤード、TB2回で20ヤード以内に落としたのは5試合目にしてようやく1回(10ヤード以内はゼロ)しかない。パント回数が少ないから目立っていないが、こいつただのダメパンターじゃねえのか。Gostkowskiは相変わらず至近距離からのFGばかりで実力を測るのが難しい状態。リターンやカバーにはそれほどの問題がないだけに、キッキング絡みの課題が気になる。

 リーグ全体を見るとAFC東は晴れて最低地区に就任。地区全体の勝敗は7勝13敗とNFC南(7勝12敗)の勝率をきっちり下回った。今週の試合も勝ったのはNew Englandだけ。地区内対戦以外で勝利しているのもNew Englandだけだ。総得点を総失点で割った簡易パワーランキングはJetsが25位、Miamiが27位、Buffaloは30位と惨憺たる有様。一方、AFC西では驚いたことにOaklandが首位に立ってしまった。NFC西でArizonaとSeattleが首位争いをしているのも興味深い現象だ。
 けが人は相変わらず多く、今週はArizonaのLeinartが鎖骨をやられ、MiamiのGreenは怪しげなタックルをした後で脳震盪で倒れた。前々から痛めていた肘の手術に踏み切ったCarolinaのDelhommeはシーズンエンド。Tampa Bayでは今度はPittmanが壊れ、SeattleのStrongは引退を決意した。他にもけが人は大勢出ており、Maroney程度で済んでいるNew Englandはもしかしたら被害が少ない方かもしれない。
 次週相手をするDallasは5勝目をきわどい試合で達成した。Dallasについてはこちら"http://www.footballoutsiders.com/2007/10/05/extra-points/5568/"に面白い指摘が載っている。4週目までの成績だが、Dallasは1st、2nd downに比べて3rd downの成績が突出していい、という話だ。3rd downのプレイ回数は一般的に1st downや2nd downに比べて少なく、それだけに極端な数字が出やすい。ただし、それは実力というより運に左右されている側面が強いのだ。従って3rd downだけが極端にいいチームの場合はいずれ成績が下向きになる可能性が高い。そういう指摘が出た直後にあの無様な試合だ。なかなか鋭い指摘だと言えるだろう。
 MNFでのDallasの3rd downオフェンスはどんな成績だったのだろうか。15回あった3rd downに対してDallasは14回をRomoのパスで、1回はJonesのランで対処。ランプレイの時は残り1ヤードだったが2ヤードをゲインしてFDを更新した。問題はパスプレイを選択した14回。このうちパスの成功は9回で、うち8回はFDを更新した。57%の3rd down conversionはかなりよさそうに見えるが、パスが通らなかった5回のうち2回はインターセプトリターンTDを食らっている。非常に不安定な3rd downだったことが分かる。

 お互い絶好調だったオフェンスがここに来てもたついているNew EnglandとDallas。果たして両者の勝負はどうなるのか、多分第6週で最も注目度の高い試合になるだろう。

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック