1795年ライン 追撃4

 1795年のライン戦役に関するSchelsのDie Operazionen der Oestreicher am linken Rheinufer im Spätherbst 1795(p159-196)の続き。地図は今回もこちらのReymann's Special-Karte(20万分の1)と、Old Map OnlineにあるMesstischeblattの2万5000分の1地図などを参照のこと。
 11月12日朝、ラトゥールは再びカールバッハを渡ってフランケンタールに向かい、町の反対側のエディヒハイムとオッパウにとどまっているフランス軍後衛部隊を追い払おうとした。だがオーストリア軍がフランケンタールに到着した時、ドゼーがこの町を激しく攻撃した。マンハイム橋頭堡への敵の前進を食い止めたかったピシュグリュは、ドゼー支援のためボーピュイ師団を割り当てた。1万人から1万2000人に達したこの部隊は午後に前進を行い、右翼のフランケンタール運河、左翼のマンハイム門へと向かってきた。それぞれの地域を守っていたオーストリア軍は何回かの攻撃を撃退。だが夕方には運河を守っていた1個大隊が数の優位を前にそこから追い払われ、ライン門を通じて町へと逃げ込むと、追撃してきたフランス軍とヴォルムス門で戦った。マンハイム門で戦っていた部隊は背後を遮断された。
 その時、オーストリアの胸甲騎兵がヴォルムス門を通過した敵部隊を攻撃し、フランス兵80人を捕虜として残りを押し戻した。さらに孤立していたマンハイム門の部隊と町に突入した軽騎兵がフランス軍を攻撃し、多大な損害を与えてフランケンタールから追い出した。ラトゥールはフーフスバッハ(ランプスハイム東の小川)に大砲を配置してそこから敵に砲撃を浴びせ、日没もあって両軍のそれ以上の行動は行われなかった。ドゼーとボーピュイは町と運河からほど近い場所にとどまった。フランス軍の損害はおよそ1500人で、オーストリア軍は300人強だったという。
 今や右側面に対するジュールダンの攻撃に対する懸念がなくなり、監視部隊がきちんと布陣したため、クレルフェは邪魔されることなくピシュグリュへの攻撃を続けてマンハイム橋頭堡への道を力づくで切り開く決断をした、とSchelsは書いている。ラトゥールによれば彼はここで3度目の手の平返しをやりかけていたはずだが、これまたSchelsの文章にはそうした記述は見当たらない。クレルフェが見せた躊躇いについて、Schelsはほぼスルーしている。
 ピシュグリュがフランケンタールとマンハイム橋頭堡の間に配置していた部隊(第5、第8、第9、前衛師団)は13日時点で以下のように配置されていた。右翼はライン河畔のオッパウ、フリーゼンハイム、オガースハイムに、中央はフーフスバッハとイゼンバッハ(フランケンタール南方の川)沿いにフロマースハイム、ランプスハイム、ヴァイゼンハイム=アム=ザンデ、フラインスハイムからテュルクハイム=アン=デア=ハルトまで戦線を延ばした。左翼はテュルクハイムの他にその北方のライシュタット、カルシュタット、ウンクシュタイン、そして左翼の山地のいくつかの拠点を保持していた。右翼はフリーゼンハイム森や水路で守られ、中央の正面は上に述べた河沿いの沼地が障害物となり、フランス軍が占領している村以外に通れる場所はなかった。フランス軍はさらに橋を破壊して進軍を防ごうとしていた。
 クレルフェは以下のような攻撃を命じたという。ラトゥールは左翼でフロマースハイム、オッパウ、オガースハイムを攻撃。中央のシュターダーはランプスハイムを、右翼のヴァ―ネックはヴァイゼンハイムを攻撃し、攻撃部隊の前衛であるクライは最右翼のテュルクハイム方面に前進することになった。12日にカイザースラウターン北東のアルゼンボルンとエンケンバッハをグーヴィオン=サン=シールの後衛から奪った監視部隊の第2前衛部隊(ナウエンドルフ)は、カイザースラウターン、フランケンシュタイン、ハルテンブルク(ハルデンブルク)方面の山地に偵察隊を送り、攻撃部隊の右側面を守り、これらの地域にいるラボルド師団とサン=シール師団を牽制する。
 13日、クレルフェはフランス軍左翼をクライとナウエンドルフに攻撃させた。クライはライシュタット、カルシュタット、ウンクシュタインの敵前衛を追い払い、テュルクハイムにいたルノー師団を警戒させて夜にはついに彼らを町から撤収させた。エルスニッツ大佐の部隊はヴァッテンハイム(グリュンシュタット南西)と、ルノー師団から奪ったハルテンブルクにいて、クライの右側面を守った。
 ナウエンドルフはラボルド師団と戦ったが、フランス軍の左翼旅団はエンケンバッハからオーストリア軍を押し出した。一方、フランケンシュタインにいた右翼旅団はナウエンドルフの別の分遣隊に攻撃されてテュルクハイムとの連絡を遮断された。サン=シールとラボルドは翌朝に大軍で攻撃されるのを恐れ、前者はカイザースラウターンの保持を、後者はホッホシュパイアーとフランケンシュタインの線をできるだけ保持し、最悪の場合にのみトリップシュタット(カイザースラウターン南方)へ退却することにした。かくしてこの2個師団はピシュグリュへの本格的攻撃が行われるタイミングで、完全に無為にとどまることになった。この日のフランス軍の損害は不明で、オーストリア軍は200人ちょっとだった。

 14日朝、攻撃軍は敵に向かって前進した。中央ではシュターダーがゲロルスハイムを越えて進み、両側面の部隊は彼らのランプスハイム攻撃が成功するのを待つよう命じられた。シュターダーはこのフェリーノ師団が守っている町に対する攻撃をバイエの旅団に命じた。同時に工兵がこの町の上流でフーフスバッハに架橋。完成と同時に1個大隊がそこを渡り、2個大隊は町の城壁に突撃した。守備隊は迂回されるのを恐れて町を撤収し、前衛師団主力に合流した。
 一部はイゼンバッハの氾濫で覆われていたこの町の背後にはドゼーが布陣していた。バイエの部隊は前進を試みたが、困難な地形と敵の射撃によって足止めされた。それでも彼らは町の正面で踏みとどまり、シュターダーの残りの部隊が展開するのをカバーした。オーストリア軍はランプスハイムの町中を苦労して進んだが、この地形では歩兵も騎兵もさらに前進するのは不可能だと判断し、大砲を配置して敵の砲兵を沈黙させるだけにとどめた。
 右翼のヴァ―ネックはヴァイゼンハイムからフランス軍前衛の分遣隊を追い払うとフーフスバッハへと進んでドゼーの兵をフラインスハイムへと追撃し、アースハイム(アイアースハイム)の水車にいたフェリーノの分遣隊を敗走させた。中央がランプスハイムを奪った後でヴァ―ネックは砲撃を受けながらもアーポルスハイム(アーポルツハイム)近くでイゼンバッハに橋を架け、一部の部隊にそこを渡らせた。だがここも中央同様にとても分断された地形であり、フランス軍はオーストリア軍の前進を邪魔し、砲撃のみにとどめさせた。砲撃戦は日没まで終わらなかった。
 だが中央と右翼が得た優位もあって左翼の移動は大いに楽になった。中央で戦闘が始まった時、ラトゥールは部隊をフランケンタールの背後で3つの縦隊に分けた。ランプスハイムを奪うや否や、彼らは前進を始めた。リリエンの第1縦隊は右翼、カラクツァイの第2縦隊は中央、オットの第3縦隊は左翼を担当し、ラインに沿って進んだ。
 リリエンはフロマースハイムに向けて移動した。フランス軍はそこから追い出されてエプシュタインへと後退、壕に囲まれ堡塁にカバーされていたこの村にボーピュイは師団の主力を配置しており、リリエンの最初の2個大隊による攻撃は失敗した。正面攻撃では損害が大きいと判断したオーストリア軍は、その両翼を迂回することを決断。シュターダーが中央から兵の一部をエプシュタイン付近のボーピュイの左側面へと差し向け、リリエンは一部の部隊にイゼンバッハを渡らせて敵の右側面へと向かわせた。両翼を迂回されそうになったボーピュイはエプシュタインを撤収し、オガースハイムとルークハイム(ルーフハイム)に後退した。
 一方、カラクツァイ率いる第2縦隊はフランケンタールの町を通ってマンハイム門の正面に布陣した。ラトゥール自身もこの縦隊に加わり、兵の配置が終わるや一部をシュタダーンハイム(シュトゥダーンハイム)に向けて前進させ、擲弾兵大隊を支援につけた。この道筋には堡塁があってオーストリア軍の前進を阻んだが、大隊砲兵が砲撃を浴びせている間に歩兵1個大隊が右翼を、ユサール1個大隊が左翼を迂回し、同時に背後から堡塁に突入した。フランス兵の多くは倒され、大砲3門と車両が奪われた。彼らはそのままシュタダーンハイムへと前進した。
 リリエンは騎兵のためにイゼンバッハに橋を架けるのに時間を取られたが、ようやくシュタダーンハイムと並ぶところまで前進してきたところでラトゥールはカイム将軍にオガースハイムへの前進を命じた。ここもボーピュイの軍勢が塹壕を掘っていたが、兵たちは抵抗を試みることなく逃げ出した。オーストリア軍は大量の弾薬を奪い、さらに59隻の架橋用船舶と多数の架橋装備も手に入れた。
 一方、オットの第3縦隊は、カラクツァイの中央部隊が前進した後になってようやくフランケンタール運河を渡った。彼はライン河畔の牧草と灌木地帯からフランス軍を追い払い、エディヒハイムとオッパウも奪った。彼らはさらにフリーゼンハイムとそこの森に自発的に布陣した。ラトゥールは確保した地域に哨戒線を敷いた後で、3つの縦隊をオガースハイムとルークハイムの間の宿営地に集めた。シュターダーとヴァ―ネックはフーフスバッハとイゼンバッハで足を止めた。クレルフェの司令部はフランケンタールに置かれた。
 以下次回。
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