2023NFL week11

 NFLは第11週が終わったのだが、その前に複数のQBがシーズンエンドとなった。まずは先週時点で足首を痛めたと伝えられていたWatsonだが、その後になって実は利き腕側の肩を負傷していたことが明らかになり、手術のためシーズンエンドになることが報じられた。結果、Brownsの第11週の先発は第4週と同じくルーキーのDorian Thompson-Robinsonになったのだが、ゲームは僅差でBrownsが勝利した
 これでWatsonは2年連続6試合しか先発しないことになる。その前のシーズンは訴訟問題で1試合もプレイしていないため、彼はこの3年間に1年分にも満たないほどの試合しかしていない。より問題なのはその数少ないプレイの結果で、この2年間のANY/Aはそれぞれ4.79、5.27とリーグ平均を下回る水準しか残していない。DAKOTAで言えばTexans時代の0.144がBrownsに来てからは0.033まで急低下した形で、出場できる試合数の少なさも含めBrownsにとってはかなり落胆するしかない数字となっている。
 問題はそれだけにとどまらず、彼との契約がさらにBrownsにのしかかっている。Deshaun Watson injury: Contract fallout, future for Brownsという記事で指摘されているが、彼は2022年に1巡3つ(来年の分も残っている)などと交換でTexansからBrownsにトレードされた。その際に彼はBrownsと5年230ミリオンの契約を全額保証で手に入れており、つまりBrownsはこの契約条件を引き継ぐチームとの間でトレードが成立しない限り、この全額をWatsonに支払わねばならない義務を負う。
 従ってBrownsはこの契約から逃れられないと考えるべき状態にある。おまけにBrownsは今シーズン前に契約リストラをしており、つまりそれだけ来年以降のキャップヒットが増える。具体的には来年から3シーズン連続で64ミリオン弱のキャップヒットとなっており、それらはおそらくキャップ全体の2割を超える。これらが全額保証となっているのだから、解雇しても負担は減らない。例えば来年6月1日より前にカットした場合、デッドマネーは200ミリオンを超えてしまうわけで、当然ながらそんなのは不可能だ(記事中の言葉を借りるならhell noだ)。
 最善のケースでも2024年にWatsonの成績が復活し、シーズン終了後に他チームが彼の高額契約を含むトレードを受け入れてくれる場合くらいで、それでも45ミリオンほどのデッドマネーは生じる(彼が残る場合の64ミリオンよりはマシだが)。だが実際に自分がトレード相手なら、間違いなくWatsonの契約の一部をBrownsが引き受けない限りトレードには応じないだろう。つまり2025年になればWatsonと縁が切れるとは思わない方がよさそう。5年契約を全うするか、残り1年の時点で多額のデッドマネーを背負う覚悟で切り捨てるくらいしかないと思われる。
 最後にこの記事が指摘しているのは、今後QBの契約で全額保証はほぼないだろう、というものだ。Watsonの後に大型契約を結んだQBたち(Murray、Wilson、Hurts、Jackson、Burrow、Herbert)は誰一人として全額保証していない。そもそも彼より前にもCousinsくらいしか全額保証の例はないし、その時も契約期間は3年にとどまった。Watsonレベルの高い成績を残していたQBでもその後に成績急落があると考えると、そりゃ全額保証は難しいと考えるチームも増えるだろう。怪我の多いこのスポーツで、特に長期にわたる全額保証には、やはり無理がある。
 続いて今週のTNFではBurrowが手首を負傷した。ゲームは控えのJake Browningが引き継いだが、結果は地区首位を走るRavens相手に敗北。そしてBurrowの負傷は右手首の靱帯損傷であることが判明し、シーズンエンドとなった。強豪ぞろいのAFC北地区の中でBengalsは現状最下位にとどまっており、Borrowが出場できなくなるとここから勝ち上がってプレイオフにたどり着くのはかなり難しそうに思える。なおTNFではJacksonがRandall Cunninghamのキャリアのラッシュヤードを超えた
 そもそもBurrowの今シーズンの成績は冴えなかった。第5週の時点でまとめたランキングを見ると、ANY/AでもDAKOTAでもリーグのボトム5に入るほどのひどい有様だった。さすがにその後になって復調の兆しを見せ,最近は中の中から中の下くらいまで盛り返していたものの、前回も書いた通りこのままだとおそらくルーキー年以来のベスト10圏外になりそうだ。BurrowはこれまでのところPeyton Manning以来の全体1位指名大当たりQBになりそうな感じがあったのだが、Peytonは2年目以降は負傷で全試合欠場した2011シーズンまで1回もトップ10から外れたことはなく、それに比べるとBurrowは一歩出遅れた格好になる。
 なおこれでチームの本来の先発QBがシーズンエンドとなったのは6人。開幕戦のRodgersに続き、RichardsonCousinsDaniel Jonesが既に怪我でシーズンが終わっていたわけで、なかなかハードな展開になっている。今シーズンは全体にパス成績が低いのだが、ここまで先発の負傷が重なるとさらに成績が下がる可能性も考えた方がいいかもしれない。
 逆に開幕からずっとプレイできていなかったCardinalsのMurrayが、今週ようやく復帰した。WatsonもBurrowも大型契約QBだがMurrayも同じであり、そう考えるとシーズン半分が経過するまで復帰できなかったのはチームにとっては痛いところ。しかも彼にとっての開幕戦はルーキーQB相手の敗戦に終わった。相手のStroudもさして好調ではなかった(EPA/Pは0.1)が、Murrayはさらにその下(-0.07)にとどまっており、少なくともこの試合については期待外れだったと言えよう。
 Murrayの契約はWatsonとは異なり、途中で離脱するのはそれほど難しくはない。何なら6月1日以降の解雇を使えば来年にもカットしてキャップヒットを減らすことは可能で(金額は微々たるものだが)、もしチームが彼の将来をそうそうに見切るつもりなら今シーズン限りで縁を切ることはできる。これまでの彼のキャリアDAKOTAは0.086とそれほど魅力的な数字ではなく、サンクコストにこだわるより来年のドラフトにおける高い指名順が確保できるならそちらを使ってQB指名に踏み切る方が合理的だ、とチームが考える可能性もあるだろう。
 同じく負傷していたBearsのFieldsも今週は出場できそうと事前に報じられ、実際にゲームにも出た。試合には負けたものの、彼自身はEPA/Pで0.23となかなかいい数字を出した。またRamsのStaffordも復帰し、そしてこちらは地区ライバルのSeahawks相手に勝利した(ただしEPA/Pは-0.01だった)。一方、byeだったSaintsのCarrは引き続き脳震盪プロトコルにあり、同じくbyeのFalconsは負傷したHeinickeに代わって来週はまたRidderが先発する見通しだ。
 今週のゲームで発生した怪我を見ると、ゲーム中に肘を負傷したSeahawksのSmithは試合の最後には復帰しており、HCのCarrollは感謝祭の49ers戦でもプレイできる見通しだと話している。QB以外だとその49ersのSであるHufangaがACL断裂でシーズンエンドになってしまった。またRavensのTE、Andrewsが足首を負傷。当初はシーズンエンドではないかと報じられたが、HCのHarbaughはそれほど悪くないと述べている
 怪我以外の選手の入れ替えとしては、RaidersがPatriotsを解雇されたCBのJonesをウェイバーで手に入れたほか、BrownsがFlaccoをプラクティス・スクワッドに入れたあたりが目立つ。こんなベテラン選手でもPSに入れることができるとは知らなかった。そしてついにゲーム中にベンチに戻されてしまったのがJetsのWilson。代わりにプレイしたBoyleもゲームには勝てなかったが、来週は先発もBoyleになる見通しと報じられている。Jetsファンの中には今シーズンはもとより、Rodgersが40代となる来シーズンも厳しいのではという声も出ており、もしかしたら彼らも来年のドラフトでQBを狙うかもしれない。
 選手以外で目立った動きとしては、何といってもBillsのOCであったDorseyの解雇だろう。直近4試合のうち3試合で負けたことが原因だと思われるが、その効果があったのか今週は第4週以来となる30点以上を記録して勝利した。AllenのEPA/Pも0.32と好調。本当にDorseyが問題だったかどうかは不明だが、とりあえず今週のところは解雇がプラスに働いた格好である。なおAllenはこのゲームでプロ入り最初の6年間に記録したランとパスのTD数でMahomesを超え、NFL記録も打ち立てた。
 なお今週の最大の山場はもちろんSuper Bowlの再戦となったMNF。ゲーム自体は際どい点差でEaglesが逆転に成功するというそこそこ盛り上がる展開だったが、EPA/Pで見るとHurtsが-0.02、Mahomesが-0.07とリーグを代表するQB同士の一戦としてはかなりしょぼい数字に終わっている。HurtsはTDゼロに5サックというあまり褒められない成績になったし、MahomesはY/Aがたったの4.1ヤードと実に彼らしくない。寂しいパス成績が続いている今シーズンをある意味で象徴するゲームとなってしまった。
 最後に、過去にサイドラインリポートをしていたジャーナリストが作り話をしていたという報道があった。当然ながらこの話はかなり物議を醸しているという。原則としてやってはいけないことなのは間違いないんだろうが、一方でNFLが単なるエンタメであることを考えるなら、絶対にダメと言えるのかどうか悩む話でもある。プロレスのように作り話を売り物にしている興行もあることを踏まえるなら、NFLで無条件に作り話が許されないと断言していいのかどうか、私には判断がつかない。
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