2023NFL week2

 NFLでは第2週が終了。残念ながら先週のRodgersに続き2週目もMNFでシーズンエンドの大怪我が発生した。BrownsのChubbが第2Qのランプレイで膝に酷い怪我を負ってしまいおそらく手術を受けることになるという。アウェイにもかかわらず観客が送るChubbコールの中、彼はカートで運び出された。彼は大学時代にも左膝のPCL、MCL、LCLを断裂しているそうだが、今回も同じ場所を負傷したことになる。高給取りRBの中でも最もそれにふさわしい活躍をしていた選手がシーズンから姿を消してしまうのは実に残念だ。
 Rodgersについては負傷した翌日にはアキレス腱断裂が確認され、シーズンが終わった。この怪我は「治療開始後4ヵ月程で軽い運動は可能となりますが、全力でのスポーツ活動ができるのには短くても6ヵ月はかかります」とされており、NFLの場合は来シーズンまで待つことになると考えてほぼ間違いない。またこれでPackersが来年の2巡ドラフト権を手に入れることも確定したと言えよう。
 シーズンハイライトがスタジアムへの入場シーンになってしまったRodgersだったが、本人はインスタに「夜明け前が一番暗い。俺はまた立ち上がる」と投稿したそうで、まだ引退するつもりはなさそう。前も書いたが彼は契約見直しを通じて2年はJetsでプレイする姿勢を見せていたので、これは予想通り。ただし来シーズン中に41歳になる彼が実際にどのレベルでプレイできるかは必ずしも明確ではない。確かにBradyは40代半ばまでハイレベルのプレイを続けたが、彼はあくまで例外と見た方が安全だろう。
 高齢QBの一方で、個人的にヤバいと思いつつあるのが今年が勝負のはずの3年目ドラフト1巡QBたち。開幕週にプレイした4人は揃ってEPA/Pがマイナスだったが、今週も状況はあまり改善せず、Mac Jonesが辛うじて水面上に顔を出しただけにとどまった。DAKOTAで見てもリーグ上位は1人もおらず、プレイしている4人中3人がボトム5位に顔を並べている。Adjusted EPA/PでもプラスはJonesのみ(ただしこちらも下から数えた方がいい成績)と、とにかく褒めるところがない。
 わかりやすいスタッツとして指摘されていたのが、サックもパス失敗に含めた場合のパス成功率だ。過去3年分の数字を見ると、FieldsとWilsonはほぼ5割ほどしかパスを成功していない計算で、Lawrenceも下位にとどまっている状態。こちらも辛うじてJonesがそこそこの数字を残しているが、先ほどのEPA/Pとの比較で考えるならそのJonesですらせいぜいAlex SmithレベルのQBに見えてくる。
 この年のドラフトQBたちがいかに残念であるかは、こちらで2021シーズン以降の累計QB EPAを見るとはっきりわかる。33試合先発したJonesの数字(56.2)はこの期間中に16試合しか先発していないBridgewater(71.8)を大きく下回り、たった7ゲームしか先発していないPurdy(54.1)にすぐにでも追い抜かれそうだ。Jonesは2021ドラフト1巡QBたちの中では最も多いQB EPAを記録している選手なのに、である。
 そういう状況もあって、特にシーズン前にやたらと期待値を上げられていたFieldsに対してはかなりキツいツイート出てくるようになっている。今シーズン全賭けに近い状態にあるJaguarsファンのLawrenceに対する発言も厳しくなってきている。事前評価が低かったJonesに関しては批判ツイートもあるがまだ手加減した印象。確かにPatriotsのPBWRなどが低すぎるのは事実だが、一般的にQBの成績にOLの能力はそれほど影響しないことを考えると、どこまで擁護すべきかは微妙だ。
 思い起こせば彼らの大学での最終年はCovid-19によってゲームが大幅に減らされたり、チームによってはまったく行われなかった年だ。普通、ドラフト1巡がここまで外れだらけになるとドラフトでの能力予想を行っているGMを含めた専門家たちが「どれだけ無能なんだよ」と批判を浴びそうな気もするんだが、そういう特殊な年だったからこそ外れが増えている、のかもしれない。

 さて、前回のエントリーではBurrowの契約延長についてまだデータを更新していなかったOverTheCapだが、その後できちんと契約延長後のデータが掲載された。2024シーズンまでは既に5年目オプションで契約をしていたため、新規の分は2025~2029年までの5年間となる。さらに3年分のvoid yearも入っているが、そこまで均等配分が残っているのは9ミリオンにすぎないため、あまり気にする必要はないだろう。
 契約の価値を見る場合、一般的には年平均額をチェックする。ただしNFLの契約では実際に満了になるまで契約が続くことは決して多くない。これまたよく紹介される「保証額」にしても、契約から時間が経って初めて保証される金額も含んでおり、それ以前に解雇されてしまえばもらえない金額だ。途中で契約がなくなることも考えたうえで、年ごとにどのくらいのサラリーが選手に支払われるかを見る方が、より実態に近い感覚がつかめる。
 それを示しているのが、Herbertの契約延長の際に書いた「契約延長初年度からの累計支払額を年ごとに並べ」た数字だ。3年目以降を見るとHerbertとJacksonは似たような数字になっているが、1~2年目はJacksonに比べてHerbertが手に入れられる金額がかなり多い。選手にとってはそれだけ有利、チームにとっては不利な契約であり、実際に大型契約を結んだ選手が短期間で使い物にならないことがばれた時にはこの差が意味を持つ。
 というわけで上記の2人に今回のBurrow、そして3年目QBの中で真っ先に契約延長を勝ち取ったHurtsの数字を同じように比べてみよう。ただし表ではなくより分かりやすくするためグラフにしてみる。

burrow_contract_2023.jpg

 見ての通り、実はHurts、Jackson、Herbertの3人は3年目以降にほとんど差がない。彼らの大きな違いは1~2年目にあり、つまりこの大型契約が失敗だとわかった時にサンクコストとして諦めねばならない金額にそれだけ差があることを意味する。真っ先に契約を結んだEaglesはサンクコストのリスクが最も低く、Herbertは最も高いわけで、改めてRosemanのえげつないチーム運営手法が見事に炸裂した印象だ。逆にQBが成功した場合に最も得をするのはHurtsやJacksonと比べてもそれほど高くない値でHerbertを5年間引っ張れるChargers。ある意味で契約の遅かったチームほど選手を信じている、と解釈できるグラフだ。
 そして彼ら3人とはかなり違うグラフを描いているのがBurrowだ。見ての通り、1~2年目だけでなく3年目以降も彼だけは目立って大きな金額をもらうことになっている。最終的な金額をもっとHerbertらに近づける手もあったんじゃないかと思うが、そうはせずここまで大胆に市場水準を引き上げる決断をしたということは、おそらくチームのBurrowに対する信頼度がそれだけ高いのだろう。実際、過去3年のうち2回Championshipに進んでいることを踏まえるなら、この数字も不思議ではないように見える。
 だがBurrowをそこまで信じて本当にいいのだろうか。いかにドラフト全体1位指名の「期待のエース」だとしても、結局のところ彼は3年しかプレイしていない。そして契約延長直後の開幕戦ではリーグでも最低レベルの成績しか残せず、2試合目もチームを勝利に導けなかった。もちろん2試合で結論を出すわけにはいかないが、チームの信頼が本当に正しかったかどうかは、実はこれから問われると考えた方がいいのだろう。
 そしてこうした動きに対応するようにMahomesも契約を修正しより前倒しで支払いを受けられるようにしたもよう。こちらについてもまた詳細が出てきたら確認してみたい。現役で間違いなくベストのQBだけに、彼がいくらもらうかは今後のQB市場にも影響を及ぼすだろう。

 最後に、こちらのツイートが4th and 1について面白い指摘をしていた。go for itを選んだチームは、実はそうでないチームよりもFDまでの距離が短かったという話である。いったいどこからこんなマニアックなデータを引っ張り出してくるのかと感心してしまう。
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