ウクライナの戦争はザポリージャ州西部、ではなく東部バフムート周辺で大きな動きがあった。バフムート南部で明確にウクライナ側が押し込んでいるようで、ISWの
17日の報告ではクリシチウカを奪還したことが報じられている。その前の
15日の報告ではクリシチウカ南方のアンドリフカも陥落しており、この方面ではウクライナの優勢が続いているようだ。
もちろん南方(ザポリージャ州西部)でもウクライナは攻撃を続けているもよう。
16日の報告ではロシア側の再配置が続けられている一方でウクライナがロボティネの突破口を広げていることが伝えられた。南部に増援として投入された
ロシアの第76師団には大きな損害が出ているそうで、ウクライナ軍が引き続きロシア側の損失を増やす攻撃を続けているらしい様子が分かる。中には大勢のロシア兵が戦死した
「死の道」なるものも出てきているらしい。
もう一つ話題になっていたのは、もちろんプーチンと金正恩との会談だ。ISWの17日の報告で韓国大統領が批判している通り、国連の制裁対象となっている北朝鮮を相手に常任理事国が合意を破って軍事協力に踏み切っているわけで、正直ロシアがかなりやけくそになっている様子が窺える。以前から
ロシアが大きな北朝鮮と化すとの見通しは語られていたが、少なくとも
本家本元相手に媚びを売るところまで落ちぶれたのは事実なんだろう。
この会談では北朝鮮が武器の支援を、ロシアが北朝鮮に対する宇宙技術や食料の援助を行うことで合意したそうだが、軍事アナリストによれば武器支援は戦況を変えることはなく
「消尽しつつある装備品の補給につながるだけ」だとか。極東から戦場まで運ぶための兵站上の負担も大きそうだし、無事に届いたとして既に北朝鮮の砲弾を使っているウクライナによると
「たまに変なところに飛ぶ」らしい。
もちろんウクライナにとっても事態は明るいばかりではない。10日には、
泥の季節を考えるならウクライナの攻勢に残された時間は30~45日という報道もあったように、戦争がさらに長期化する可能性は高い。ISWの
12日の報告はまだ2度目の予備役動員についてクレムリンは合意していないと伝えているが、一方で前線の損害が積み上がるようなら背に腹は代えられないと判断する可能性もある。もちろんそれはロシアの国内政情不安を一段と高めるものだが、もし動員に成功してその兵が前線に送られれば、戦争はさらに長引くことも考えられる。
そして引き続き中国経済の先行きへの懸念も強い。
こちらの記事では、中国が日本化したくないのならバブルを崩壊させず負債の増大を政府が支え続ける方法もあるのだが、そうすると「働きが悪い社員」に高給を払い続けるようなもので、結果として格差の拡大と中所得国の罠が待っている、と指摘している。
中国は過去に円借款の返済を欠かさなかったという実績を持っており、実は借金踏み倒しを繰り返している南米諸国よりは信用できる取引相手かもしれないのだが、現状が悩ましいのは間違いない。
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