ドロボー

 シェヘラザードさんのところにマルボが友軍から馬を盗んだ話が載っていた("http://blog.livedoor.jp/sheherazade/archives/51047740.html"参照)。軍隊内での盗みについては旧軍についても聞いたことがある(盗んででも必要な装備の数を揃えることが正しい対応だと思われていたらしい)。組織内での望ましい行為が社会的に見ると犯罪になるというケースはバブル崩壊後の企業社会でも見られたものであり、閉鎖性の高い組織には共通した現象かもしれない。そもそも軍隊の場合、組織の外部も異常事態(戦争)に陥っているのだから、組織内の論理が世間一般の常識とかけ離れているのも珍しくない、とも考えられる。

 友軍同士だけでなく、軍の外部から盗みを働くこともあった。ナポレオン戦争当時の軍隊が現地調達という名の一種の窃盗を働いていたことは否定できないし、革命軍が休戦協定と称して合法的な掠奪をしていたことも、前にこのblogで紹介した。
 対象になったのは他国の政府や住民だけではないらしい。執筆者が王党派寄りの人間なのでそのまま受け取るのは拙いかもしれないが、こちら"http://www.napoleonic-literature.com/WE/FrenchOfficersAccount.html"にはワーテルロー戦役前のフランス軍の行動について以下のように指摘している。

「彼らの不幸な同胞[フランス国内の民間人]にお構いなく(中略)フランス兵は彼らを最も残酷な辛辣さで取り扱い、掠奪を自分たちの最も明白な特権の一つだと見なしていた」

 一方、住民の方も大人しくやられるばかりだった訳ではない。恨みの対象になった兵士たちが窮地に陥ると、農民などは牙を剥いた。ロシア遠征時にフランス兵が農民の手に落ちた時の話を読めば、分かりやすい事例でいっぱいだ。1796年にドイツから退却するサンブル=エ=ムーズ軍の一部などは、逆に農民から掠奪される側になってしまっている。

「農民たちは軍の参謀部と称するものとともに退却していた参謀長のエルヌフに襲い掛かり、護衛の大半を殺し、軍資金を奪い、そこで見つけた金を山分けした」
A Collection of State Papers Relative to the War Against France"http://books.google.com/books?id=OZ4BAAAAMAAJ" p92

 藤木久志氏の描く戦国時代の本でも、食い詰めた農民が掠奪する側に回っていたことが指摘されている。村人は自分たちを守るための施設も備えており、そしてエルヌフがやられたような「落ち武者狩り」が行われていたのもよく知られた話だ。ここでも洋の東西に差はない。
 何にしても、戦争の多い時代というのがろくなものでないことだけはよく分かる。平和な時代に生まれた人間は、それだけでもの凄い幸運に恵まれていると言ってもいいのではないだろうか。

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