週記NFL開幕直前版

 日記ならぬ週記である。

 アメフト漫画早売りネタバレは試合がなかったのでパス。という訳で今回はNFLの話。JacksonvilleがLeftwichの放出を決定した。先発で行くと言っていたQBを、よりによってシーズン開幕直前にクビにしたのである。この報道でパニックに陥ったのがFootball Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/2007/08/31/extra-points/5419/#comments"。Leftwich先発を前提に各選手の今シーズン成績予想を(fantasy footballのために)出していたため、それの全面見直しを強いられたようだ。驚愕のあまり、一度はこれでIndianapolisが地区優勝すると口走ってしまったほど(後で表現を弱めているが)。Pro Football Prospectus 2007の予想ではJaxの11.8勝に対しIndyは8.9勝。QBが代わってもディフェンスに影響はないのだから3勝差がそうそう簡単に埋まるはずもない。
 JacksonvilleのHCはプレシーズンでLeftwichの成績が振るわなかったことを理由にこの決断を下したそうだが、本気だとしたら正気を疑う。味方も相手も調整中で、おまけにしばしば控えレベルの選手が顔を出すプレシーズンだぞ。Garrardの成績が良かったのも確かだが、それは二線級や三線級のディフェンスを相手に稼いだ数字。それを引き比べてGarrardの方が先発に相応しいと判断した時点でおかしい。百歩譲ってGarrardの状態がいいのは確かだとしても、なぜLeftwichを放出する必要がある。単に先発を入れ替えればいいだけだ。Leftwichが先発でないならチームを出て行くとごねたとしか思えない。いずれにせよ地区優勝の可能性まで取りざたされていたチームにしてはみっともない動きだ。
 ちなみにLeftwichの成績は44試合先発の1344試投789成功9042ヤード。成功率は58.7%、YPA6.7、QBレーティング80.5となっている。被サックは76回362ヤード。ランに関しては120回364ヤード、YPC3.0、TD8となる。ファンブル26回というのが目立つ。Garrardは18試合先発で539試投313成功3543ヤード。成功率58.1%YPA6.6レート78.9。被サック41回239ヤード。ランに関しては115回637ヤードYPC5.5TD6。ファンブルは9回。いずれも微妙な数値だが全体としては僅かにLeftwichの方が上。Garrardはプレイ回数が少ない割にサックとランが多く、Leftwichに比べてポケットでの我慢が足りない様子が窺える。
 その他のニュースとしてはRodney Harrisonが成長ホルモンの違法な利用で4試合の出場停止を強いられることになった模様。マジかよ。この2年ほど、New Englandのディフェンスが振るわなかった大きな一因として彼の負傷による不在が上げられるのだが、これが事実ならまたしんどいことになりそう。Samuelがようやく契約して戻ってきたのはいいが、このチームにとって最も重要なのはCBよりS。また不安定なディフェンスを見せられることになりそうだ。

 次にPro Football Prospectus 2007を読んで最もびっくりした話を紹介しておこう。Tampa Bayのセクションに書いてあったのが、ショットガンを利用した時とそうでない時のオフェンス成績の差。何と、圧倒的にショットガンの方が優れているらしい。それもほとんどあらゆるシチュエーションで。通常隊形の方がよかったのは3rd downでのランプレイ(除くスクランブル)のみであり、他のケースではパスでもランでもショットガンの方が成績が良かったのである。個別のQBで見ても一部の例外(その例外にLeftwichが含まれているが)を除いてショットガンの方が成績がいい。
 チーム別に見るとショットガンの占める比率が5割を超えているのはMiami、Indianapolis、New England、Pittsburgh、Green Bay、New York Giantsの6チームで、いずれもショットガンの方がパス成績は良かった。一方、ショットガンの比率が10%未満だったのはTampa Bay、Houston、Chicago、Seattle、Oaklandの5チームで、このうち3チームはショットガンの方がパス成績は悪かったが、おそらく母数が小さすぎるので軽々には判断できない。重要なのはこの5チームのパスDVOAがいずれもマイナスであるのに対し、ショットガンの多いチームにはパスDVOAの高いIndy、New Englandが含まれていること。
 正直、ショットガンオフェンスは見ていてあまり面白いものではない。特にラインの動きは単調になりがちで、注目点はDEとOTのマッチアップくらいということも珍しくない。それでも、これだけ結果に差が出るのであれば、そりゃショットガンの利用も増えるだろう。ただでさえ日本国内がショットガンばかりになり、米国でも大学あたりでは猛威を振るっている状態で、このうえNFLまでショットガン全盛期を迎えるようになったりしたらどうなることやら。
 ちなみにスナップを受ける選手がセンターから離れた位置にセットするという点ではショットガンはsingle-wingと同じ。single-wing好きの中には今でもsingle-wingはショットガンという名で生き延びていると主張する人もいる。実際、日本のようにパスだけでなくランでも有能な選手をショットガンQBに使うシステムは、発想法としては正直single-wingとほとんど変わらない。NFLにそういう形でのショットガンが根付くことはないだろうが、ショットガンはパスプレイにとっても使い勝手のいいものであるため、パスハッピーなNFLで利用が増えるのは必然だろう。1940年代に姿を消したsingle-wingが、すっかり衣替えしたうえでNFLに戻ってきたということかもしれない。

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