NFLは
ドラフト前の膠着状態に突入しており、目新しいニュースが出てこないタイミングとなっている。最近、そこそこ話題になった選手の動きとしては、
OBJがRavensと1年契約を結んだ件くらいだろう。
こちらを見るとチームの支払総額は15ミリオン、うち保証額が11.65ミリオンで、1年契約にしては随分と奮発した印象だ。なお契約は実に4年分のVoid Yearsを含んでおり、このまま契約が終わると来シーズンに11ミリオンのデッドマネーを計上する計算となっている。
とはいえRodgersにせよJacksonにせよ、次に動きが出てくるとすればドラフト時点だろうし、OBJだけでその動向が決まるとも思えない。結果、
大本営をはじめ多くのサイトではモックドラフトをはじめとしたドラフトネタでつないでいる状態。4月末のドラフト本番になれば再び盛り上がるとは思うが、それまでは雌伏状態だ。改めてドラフトがオフシーズンにおける大きなイベントと化している様子がうかがえる。
Elwayの功績としてはManningを引っ張ってきた点が挙げられるのだろう。2012-15シーズンに彼を迎えた結果、チームはSuper Bowlに2回出場し、1回は優勝できた(優勝はManningのおかげとは言い難いが)。Elwayにとってはかつて自身が手に入れたのに続くRingの奪取であり、これを成し遂げただけでも誇れる成果だとは思う。ただし、それを除くとQBについてはずっと苦労し続けていた印象がある。実際、Manningがいなかった8年間はほぼ毎年のように先発QBを差し替える事態に迫られており、Manning並みに多大な投資をして迎えたWilsonも1年目ははっきりと期待外れだった。ディフェンスがそこそこの水準を維持し続けているだけに、オフェンスの苦戦続きは問題なんだろう。
もう一つ、最近になって報じられたのがCommandersのチーム売却の可能性だ。Ian Rapoportによると
Snyderがチーム売却でJosh Harrisの率いるグループと合意したという。ただしまだ契約が締結されたわけではなく、NFLの同意も得られていない状態らしいが、もし順当に進めばNBAの76ersやNHLのDevilsを所有しているHarrisが、今度はNFLのチームのオーナーにもなる格好だ。
なおSnyderがWashingtonのオーナーとなったのは1999シーズンから。以後、チームの成績は164勝220敗2分という残念な成績になっている。彼がオーナーシップを手に入れた時点ではWashingtonはトータルで勝ち越していたが、
現時点では僅かながら負け越しに転じており、要するにSnyder時代はチームの歴史においても割と暗黒時代であった、と考えられそうな状態だ。
この期間中のWashingtonの成績を
こちらで調べると、オフェンスのEPA/Pはリーグ21位の-0.031、ディフェンスは同21位の0.000となる。中の下という位置づけは、もっとひどかったところ(BrownsやLions、Raiders、Bearsなど)に比べればかなりマシに見えるが、1990年代の初頭までSuper Bowlにもちょくちょく勝っていたチームとしてはこの状態は我慢ならないだろう。何より同時期に地区内のライバルたち(Eagles、Cowboys、Giants)がWashingtonよりはいい成績を収めていた点も、ファンとしてはおそらく不満の募るところ。オーナーの良しあしは組織作りへの影響が大きいと考えるなら、Snyderが変わってくれるのはかなりありがたいように見える。
問題は新オーナーであるHarrisの実力。彼は2011年に76ersを、2013年にDevilsを購入したそうだが、それぞれのチームの累計成績は76ersが444勝505敗、Devilsが333勝338敗と、どちらも微妙な成績にとどまっている。ただし76ersは直近6年間はずっとプレイオフに出場しており、もしかしたら時間をかければいいチームを作ることができるオーナー、なのかもしれない(残念ながらDevilsではそうした傾向は見られない)。
リーグとしては不祥事を起こさないオーナーであることが最大の要求事項かもしれないが、ファンにとって重要なのは勝てるチームを作れるか否か。今回の売却がうまくまとまり、Broncosを上回る6ビリオン超の巨額買収が成立したとして、問題はそれからとなる。Commandersファンにとってはまだしばらくやきもきが続くだろう。
後はOverTheCapが今年のFA動向についてのまとめと、ドラフトに備えて2012年から17年までのドラフト振り返りをやっているので、そのあたりを紹介しておこう。まず
2023 Free Agency Recapでまとめているのは、FAで手に入れた選手の1年当たり契約額、及び失った方の契約額だ。追加額の多いのはキャップスペースが大幅に余っていたBearsと、それに続くのがBroncos、Texans、Raidersなど。後者2チームは追加人数で見ると最多の16人を記録している。逆に高額契約が多かったのはFalconsだ。意外なチームはキャップ不足に苦しんでいたはずのSaintsで、こちらはCarrと契約したのが大きかった。
逆に少なかったのはBucs、Chargers、Jaguarsなど。昨年までFAに大量の資金を投入してきたチームの中に、今年は地味になったところがあるようだ。この記事ではRavensも入っているが、上に述べたOBJの契約を含めればおそらく順位はかなり変わるだろう。そしてこれまでとにかくベテラン補充ばかりをやってきたRamsも、今年はついに種銭が尽きたのか、追加選手の少ない方に顔を出すことになった。
逆に喪失が多いのはGaroppoloのいなくなった49ers、ディフェンス選手がごっそり抜けたEagles、CarrがいくなったRaidersなど。やはりQBが入れ替わると喪失額は大きくなりがちだ。Chiefsも喪失は多く、Saintsはキャップ調整の必要もあってこちらの金額も大きくなっている。一方、少ないのはChargers、Seahawks、Falconsといったあたりだ。
両者の差額は分布図にまとめられているが、それを見るとネットのゲインが最も大きいのはBearsで、以下FalconsやTexans、Broncosなどが続く。逆にネットのロスが多いのはEaglesであり、Ramsや49ersもかなりの金額となっている。また一覧表もあるが、チームごとに結構格差があることが見て取れる。
さらにこの記事では2024シーズンのキャップヒットの変化についても調べている。キャップヒットの変化額がプラスで、一方キャップスペースの小さいチーム(分布図だと右下)ほど今シーズンに「オールイン」しているチームだと見られ、その代表はSaintsとなっている。というかSaintsは現状、毎年のようにオールインを迫られているわけで、どちらかというとキャップ地獄でのたうち回っている印象の方が強い。他にDolphins、Broncosあたりも今年が勝負の年に見える。
逆にチーム作りよりキャップスペース作りにシフトしたかに見えるのがRamsとTitans。うち前者は当然の結果だと思うが、Titansがここまで地味な動きになっているのも「本来は昨シーズンに始めなければならなかった再建をスタートした」ためだそうだ。HenryとTannehillのトレードなり何なりが本格的に考慮の対象になっているのだろう。一方、Super Bowlに出た2チームのうちChiefsは追加額が多い一方でキャップスペースもそこそこあり、チーム作りがうまく回っている印象。少なくともEaglesよりは楽な状況に見える。
もちろん、たった2年分の数字から結論を出すのは早急に過ぎるだろう。今後OverTheCapで公開される他の年の状況も見ながらドラフトの到来を待つ、というのが正しい見方だと思う。
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