NFLでは新年度入り直前のタンパリング期間に入った。早速FAの契約やトレードに動くチームが出てきているが、注目を集めているのはまだ正式にはリストに挙がっていない人物。Jetsにトレードされるという噂のあったRodgersについて、
ESPNは彼が「ほしい選手リスト」をJetsに提示したと報じている。具体的にはWRのLazardとCobb、TEのLewis、さらにOBJの名前もそこに入っているという。
LazardはPackersでEPA/Pで0.472、Success Rateで0.599と悪くない成績を残している。プレイ数が少ない(272)という問題はあるが、Jetsがすぐ契約に踏み切ったのも分からなくはない成績だ。一方、Cobbは既に30代。EPA/Pは0.397とOBJ(0.299)よりはマシなんだが、QBに恵まれていた選手の成績だと考えると少し割り引いて見た方がいいかもしれない。Lewisに至っては38歳だ。JetsにはOROYを取った若いWilsonがおり、EPA/Pは0.267にとどまっているがダメQBと組んでいたことを考えるなら十分。もしかしたらRodgersは彼以外のJetsのレシーバーは当てにならないと思っているのかもしれない。
もちろん正式なトレードが可能になるのは新年度を迎えてからであり、
それまでは心配してもあまり意味はない。RodgersがどこまでJetsのロースターに手を突っ込むつもりなのか、それがないと本当にトレードは成立しないのか、トレード不成立の場合にJetsはどうするのか、Rodgersは引退するのか、それともPackersでプレイを続けるのか、といった問題について考えるのは、その後になるのかもしれない。
そもそもなぜRodgersはトレードされようとしているのか。Fitzgeraldが
こちらの動画でサラリーキャップの観点から説明している。Packersにとっては来年以降になるとデッドマネーがとんでもない数字になってしまう、というか今年の時点でもカットすればとんでもない額になるわけで、トレードによる40ミリオンのデッドマネーが最もマシな数字だから、Packersがトレードに積極的になっている、というのが理由だ。彼がMVPレベルのプレイを続けていたならまた違う考えもあったのかもしれないが、リーグ平均なみの選手にこの金額を払い続けるのは難しいと思ったようだ。
問題はJets。期待した若手がダメそうだという時点で次の手を打つこと自体は正しいと思うが、気になるのは投資額(キャップヒットではない)である。トレードで彼を手に入れる場合、Jetsは今年60ミリオン弱を支払う必要性が出てくる。さらに来年2月(つまり新年度入りの前)にはオプションボーナスが確定するため49ミリオンを追加することになる。彼が活躍できる残り年数を考えた場合、例えば1年しか活躍できない選手に60ミリオンを投じるのはおかしいし、2年使う場合の投資額は100ミリオンを超える。要するにこの時点でRodgersを手に入れるとは、今後1~2年にサラリーを大量投入し、その後は2年ほどキャップダメージの再建に費やすリスクを冒すのと同義なのだそうだ。
この数年のドラフトでの成功を踏まえ、Jetsが何とか優勝に近づきたいと考えるのは分からなくもない。だがそうした短い期間の窓を大きくするチーム作り戦略はリスクと隣り合わせ。Ramsが優勝の翌年に大幅負け越したのと同じ道を進もうとしているように見える。それでもRodgersがMVPレベルの活躍をし、優勝に手が届くなら十分におつりがくるという判断かもしれないが、本当にRodgersのタンクにそれだけのガソリンが残っているかどうかはおそらく誰にも分からない。トレードが成立するかどうかは不明だが、もしかしたらJetsは大きなギャンブルに出ることになるかもしれない。
それ以外、FA序盤で大きな動きを見せている例としては
こちらのページなどが参考になるだろう。といっても現チームと契約した選手もこのデータには含まれているため、上位チームがみんな外から派手に取っているとは限らない。GiantsやSeahawksあたりは自前QBとの契約延長が大きな要因を占めている。
個々の動きを一覧でまとめているのは大本営の
こちら。FA trackerとあるがトレードの選手も入っているので全貌は大体つかめる。
前回紹介したCarrとSmith、Jones、フランチャイズタグを貼られたJacksonなどもこちらに載っている。
以降の動きで目立っているのは、裏の目玉とでも言うべき
GaroppoloのRaidersとの契約だ。3年で73ミリオン弱の金額は先発としては低すぎるが、彼の年齢と過去の怪我の経歴とが彼のサラリーをJonesやCarrよりも低くしているのだろう。何度も書いている通り、プレイしている時の彼はリーグでもエリートクラスの成績を残しているが、そもそもプレイ回数自体が少ないことがサラリーを下げた理由。プレイしない一流QBよりは出場できる二流QBの方が偉いということだろう。
それでもGaroppoloがきちんとMcDanielsの下で活躍できれば、オフェンス力が増すと期待するのは十分に可能だろう。結果、AFC西は王者Mahomesに裏の目玉Garoppolo、いずれ大型契約があると見られるHerbertに、新たなコーチ陣の下で復活を期すWilsonという、なかなか凄いメンツが並んだことになる。彼らが揃って実力を発揮する場合、同地区のディフェンスにとってはまさに悪夢となる。DC受難地区とでも呼ぶとしようか。
一方、
RyanはColtsから解雇された。これでColtsは2017シーズン以降、2年連続で先発を続けるQBが現れない状況が続くことになる。まあシーズン中に先発からおろされていたのを見ても想定の範囲ではあるし、そろそろRyanも引退の時期かもしれない。
OverTheCapでは
FA契約について色々と評価をしている。その中で高い評価を受けているのが
SeahawksとSmithの契約。年平均25ミリオンという契約はともかく、2年目以降に保証サラリーがなく、必要ならその時点で彼と袂を分かつことができる状態になっている。逆に彼が2022シーズン並みの活躍をしても30ミリオンちょっとのキャップヒットで翌年以降も契約を続けられるわけであり、今年指名するかもしれない若手QBのメンターとして使うという手も残されている。昨オフにWilsonと別れた時にはずいぶんと思い切ったもんだと考えたのだが、今のところはむしろ巧妙に立ち回っている印象。
逆に評価が低いのは
GiantsとJonesの契約延長。今後2年間に年平均41ミリオンの金額を投入するのは、彼がbustだった場合にはかなり高くつくのではないかとの見解だ。一応、来年時点でもトレード相手が見つかればデッドマネーを抑制しつつ彼と縁を切ることは可能だが、カットする場合は2年に分けるとしても45ミリオンのデッドマネーを計上することになるようで、そう考えると彼とこれから後2年は付き合うつもりに見える。でも過去最も良かった今シーズンもリーグ平均並みにとどまったJonesとさらに後2年付き合うという判断は、果たして妥当なのだろうか。
最後に、
契約絡みでJacksonが行っていたツイートが話題になっていた。詳細は不明だが、3年133ミリオンの全額保証を提示する代わりに代理人を雇えと言われたっぽい。Jacksonは拒絶したようだが、代理人不在がいかにチームにとって面倒くさいかを示す一例と考えればいいんだろう。Ravensにとっても頭の痛い所じゃなかろうか。
スポンサーサイト
コメント