個人的には怪我などを理由に多くの選手が参加しなくなっているPro Bowlをお祭り色で染める方針に違和感はない。ビジネス的に見るのなら要は客が注目してくれればいいわけで、Manning兄弟を使えば見る人が増えるとの判断ならそういうコーチの選び方も妥当なんだろう。それにしてもManning兄弟、選手としてもさることながらエンターテイナーとしてここまで有能だとは。いやまあ
現役時代からその片鱗は見せていたが、引退後もここまでリーグの収益に貢献してくれるのだから、Goodellは彼らに足を向けて寝られないだろう。
お祭りの一方でSuper Bowl出場チームを除いた30チームは来シーズンに向けて既に動いている。まずはBlack Mondayでいくつか空席が発生したコーチだが、
そのかなりの部分は既に埋まってきた。HCが空席になっていたのはCardinals、Panthers、Broncos、Texans、Coltsの5チームだったが、うち3チームで新HCが決まっている。
Texansは49ersでDCを務めていたDeMeco RyansをHCとした。機能不全に陥っているフランチャイズの代表として語られることも多いTexansだが、49ers時代のRyansの実績はかなり高い数字を残しており、その意味では結構いいコーチを引っ張ってこられたと言えなくもない。一方、RyansのDCの実績はたった2年しかなく、ましてHCとしての能力がどのくらいあるのかは不明だ。O'Brien時代の末期からチームの立て直し優先に見えたこのチームも、そろそろ勝負に出ようとしているのかもしれない。
コーチングスタッフが固まってくれば次は選手の入れ替えだ。まだ具体的な動きが広まっているわけではないが、これからどうなりそうかについて言及した記事が既に現れている。一つは
ESPNが例年やっているシミュレーション。Bradyの引退表明(この件は後で触れる)前に行なわれたものだが、それでも面白いので簡単に紹介しよう。
それによるとまずCarrのトレードをJetsとSaintsが申し出、RaidersはSaintsを好んだがCarrはそれを拒否した結果、トレードは不成立。Carrは結局FAとなるという予想だ。またTannehillのトレードをJetsが要望するが、Titansはそれを拒否する。またRavensはJacksonにタグを貼り、GiantsはDaniel Jonesと年30ミリオンを超えるくらいで契約を延長する、という。
カットされると見られるのはCarr、Wentz、Winston、Ryan、Mariotaなど。Carrは5チームのオファーを受けたうえでJetsと契約するという見通しだ。JetsについてはRodgersを狙いに行くという話もあり、こちらがどうなるかも気になるところではある。CarrがいなくったRaidersは
Garoppoloと契約を結ぶという予想で、こちらは違和感はない。他のQBたち(Smith、Heinicke、Winston、Dalton、Darnold、Gabbert)については今いるチームと再契約し、BrissettはFalconsのオファーを受けるも様子見にとどまる、という展開だ。
最後にドラフト1巡でQBを指名すると見られているのがTexans、Colts、Panthers、Buccaneersの4チーム。また2巡でSaintsもQBを指名するのではないかという。このあたりまで来るとコンバイン前の現時点では「当たるも八卦」だと思うが、基本的にこのオフのベテランQB市場が昨年ほど派手にならないだろうとの見方には同意する。最大の目玉がCarrという時点で、そりゃ地味にならざるを得ない。個人的に本当の目玉はGaroppoloだと思っているけど。
またBarnwellは
ベテランQBが不足しそうなチームの中でどこが魅力的かというランク付けをしている。対象は13チームだが、その中で最も低評価なのがColtsで、さらにTexans、TitansといったAFC南のチームが並んでいる。現時点でリーグ内でも最も評価の低い地区かもしれない。その次はPanthers、Commanders、GiantsというNFCのチームが並んでいる。プレイオフには出たものの、Giantsの評価は決して高くないようだ。
Jetsは思ったほど評価が高くなく7位。新たに雇ったHackettに対する懸念が指摘されている。Saintsはその次で、こちらの問題はもちろんサラリーキャップだ。Bradyの引退表明によってベテランQBが必要になったBuccaneersは5位に、Seahawksは4位に顔を出している。思ったより高いのは3位のFalcons。若いレシーバーが育ち、地区的にも恵まれているといった点が評価対象で、この数年苦しんでいたキャップも改善してきたそうだ。
2位のRaidersと1位の49ersは、しかしベテランQBにとっては対照的なポジションになる点に注意。Raidersでは間違いなく先発候補として迎えられるわけで、腕の振るいどころと言える。一方で地区内に異様に強いチームが揃っているため、サバイバルは大変だ。逆に49ersではPurdyが怪我から復帰できれば控えの仕事になってしまうだろう。それも下手したらLanceのさらに後だ。ただしチーム力で言えば間違いなくこの13チームで最も優れているのは確か。Garoppoloは控えに甘んじる契約を結んだおかげで今シーズンも実績を積み上げることができ、次への道筋が見えてきた。その意味ではベテランにとって望ましいチームだという指摘にも一理ある。
正直、引退を取り消して臨んだ2022シーズンの成績は凡庸だった。ANY/Aは6.13とBrissettの下でリーグ14位、EPA/Pは0.090とリーグ15位だった。一応、リーグ平均は上回っているあたりは大したものであるが、Bucsに移籍した後の数字として見れば最低だし、Patriotsでの最終年の数字すら下回っている。QBRで見ると52.5とデータが揃っている2006シーズン以降で最低の数字となっており、リーグでも18位と半分より下に位置している。Manning兄のような急落ではないが、評価としては厳しくならざるを得ない。
それでもBucsがプレイオフにたどり着いてしまったあたり、彼の幸運は相変わらずとも言える。NFC南でなければプレイオフには行けなかっただろうが、おかげで本人は14年連続のプレイオフ出場を成し遂げ、キャリアトータルでは48試合もしたことになる。一般的にQBのキャリアの終盤と言われる38歳を過ぎてからもプレイオフで17ゲーム、つまり1シーズン分プレイしているわけで、まあなかなかできることではない。彼が築き上げた多数の記録が破られるまでには、それなりの時間が必要だろう。
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