NFL22 week20

 NFLはディヴィジョナルプレイオフが終了。-5.5のfavoriteだったBillsがアップセットを食らい、Mahomesが試合途中に捻挫で一時Henneと交代するといった事態はあったものの、全体として予想通りに進んだ格好。いずれにせよBillsの敗北により、史上初のチャンピオンシップ中立地開催(Atlantaが予定されていた)は消えてなくなった。残念。
 BillsではAllenがプレイオフで不調のままだった。もちろんどんなに優秀なQBであっても2試合程度の不調は十分にあり得る話だし、だからプレイオフでは必ずしも強いチームが勝ち上れるとは限らない。Billsはディフェンスまで加味すればSuper Bowl制覇の最有力候補だったと思うが、残念ながら彼らは今年も届かなかったわけだ。逆にシーズン後半に調子を上げてきたBurrowはこの試合もかなりいい成績を残しており、これで2年連続AFCのチャンピオンシップはBengalsとChiefsのゲームになった。
 一方、EaglesはGiantsに完勝。まあ予想通りだ。一番の接戦になると思っていたCowboys @ 49ersは確かに1ドライブ差以内のゲームになったが、こちらは想定とは逆にディフェンスが支配する展開となった。NFCの組み合わせを昨年と比較するとRamsの代わりにEaglesが出てきている形で、要するに4チームのうち3つまでが昨シーズンと同じ顔触れになっている。リーグとしては勢力均衡に反する結果となっており、今頃Goodellは臍を噛んでいるかもしれない。
 ちなみにこの試合に勝利したおかげでReidはプレイオフ20勝を記録。Tom Landryと並んで歴代2位になったそうだ。もちろんトップはBelichickなんだが、こちはら実に31勝も記録しているため、追いつくのはなかなか容易ではない。一方、Reidはこれで2チームで10勝以上をプレイオフで上げたことになり、こちらは他に記録したコーチはいないもよう。Reidの有能さを示すデータと言えよう。
 一方、生き残りレースから脱落したチームでは次々とコーチングスタッフの首が飛んでいる。ChargersはOCのLombardiを解雇。プレイオフは大量リードを逆転されたのだが、追加点が取れなかったことが問題視されたのか、それともHerbertを抱えてなお凡庸に終わったレギュラーシーズンのオフェンス成績が問題になったのか。明白にオフェンスが冴えなかったBucsもOCのLeftwichをクビにした。少し前にはどこかでHCになると言われていたものだが。またRavensのOCであるRomanもチームを去ることになった
 DCを解雇したチームもある。DolphinsはBoyerを解雇。1年目はよかったが時とともに失点の順位が悪化していったのが背景にあるんだろう。VikingsもDCのDonatellを1シーズンでクビにしている。EPA/Pで見れば18位のオフェンスよりは16位のディフェンスの方がマシだったかもしれないが、まあ誇れる数字でないのは事実。勝率は高いがツキに恵まれたおかげであり、安住できる状態ではないという判断は妥当だと思う。
 OCがいなくなったとたんにオフェンスが崩壊したPatriotsはアラバマのO'Brienに声をかけているという。OCもさることながら、こちらはJonesが本当にモノになるかどうかを調べなければならないタイミングに入ってきているんだろう。一方、生き残っているBengalsではこのオフにBurrowとの大型契約延長を図ると報じられている。もちろん5年目オプションを使った後での行動になるが、当然予想できる対応だろう。
 そしてBradyの今後についての記事も出てきている。プレイヤーの多くは彼がもうBucsには戻ってこないだろうと見ているようで、少なくともTampaでのプレイはなくなるのかもしれない。こちらの記事では移る可能性があるQBとして真っ先に彼の名が挙がっており、46歳になってもプレイを続ける可能性はまだあると見られているようだ。

 続いてレギュラーシーズン中のチーム成績について、こちらを使ってランキングしておこう。オフェンスのEPA/PからディフェンスのEPA/Pを差し引いた数字を使って並べており、左からチーム名、EPA/Pの差、オフェンスEPA/P、ディフェンスEPA/Pだ。ディフェンスはマイナスの方がいい数字である点に注意。なおプレイオフチームには*マークを付けている。

Bills 0.167 0.110 -0.057 *
49ers 0.165 0.054 -0.111 *
Eagles 0.122 0.074 -0.048 *
Chiefs 0.121 0.136 0.015 *
Bengals 0.102 0.057 -0.045 *
Cowboys 0.100 0.020 -0.080 *
Jaguars 0.047 0.032 -0.015 *
Ravens 0.036 0.015 -0.021 *
Lions 0.021 0.061 0.040
Patriots 0.014 -0.066 -0.080
Dolphins 0.011 0.029 0.018 *
Seahawks 0.011 0.025 0.014 *
Chargers -0.003 -0.014 -0.011 *
Packers -0.005 0.004 0.009
Browns -0.011 0.002 0.013
Giants -0.013 0.030 0.043 *
Vikings -0.015 -0.013 0.002 *
Saints -0.017 -0.051 -0.034
Commanders -0.017 -0.055 -0.038
Panthers -0.018 -0.030 -0.012
Jets -0.028 -0.086 -0.058
Steelers -0.028 -0.009 0.019
Raiders -0.028 0.001 0.019
Falcons -0.029 0.003 0.032
Buccaneers -0.039 -0.050 -0.011 *
Titans -0.056 -0.059 -0.003
Broncos -0.067 -0.077 -0.010
Rams -0.080 -0.076 0.004
Cardinals -0.098 -0.089 0.009
Colts -0.111 -0.141 -0.030
Texans -0.119 -0.132 -0.013
Bears -0.129 -0.040 0.089

 何より興味深いのはプラスになっているチームが12しかない点だ。20チームはEPA/Pの差がマイナスに落ち込んでいるわけで、得失点差で見ても同じだが、今シーズンは上位陣が強かった一方、中位以下がとても冴えない数字だったことが改めて分かる。結果としてEPA/Pの差がマイナスにもかかわらずプレイオフにたどり着いたチームが4つもあり、しかもワイルドカードでマイナスチーム同士の対戦があったため、カンファレンスのベスト4に弱小チームが紛れ込む事態が生じてしまった。
 ただ、こちらのランキングで見るとプレイオフのワイルドカードは全部実力通りの結果でアップセットはない、という結論になる。ディヴィジョナルに入ってBillsがBengalsに敗れるというアップセットは生じたが、プレイオフ全体としてはあまり波乱が起きていないようだ。もしこのまま順当な流れが続くのなら、Super Bowlは49ersとChiefsという3年前と同じ組み合わせになり、49ersがその時のリベンジを果たし、Purdyは史上初めてルーキーQBでSuper Bowlを先発制覇する、という流れになるかもしれない。
 この可能性、決してあり得なくはない。というのもPurdyが大半のスナップでプレイした13週以降のチームオフェンスを見ると、49ersのEPA/Pは0.146とChiefs(0.130)やEagles(0.093)を上回っているのだ。冗談抜きでPurdyはBrady以来の、Brady以上の掘り出し物になる可能性を秘めている。もちろん現時点では単なる可能性であって、しかもそれが現実になる確率的には決してそう高くはないが、まあ面白半分で語る分には構わないだろう。
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