NFLではWildcard Playoffが終了。それにしても3日間に分けて試合をするのには今一つ慣れない。それに土曜日にゲームをしたチームと月曜日にゲームをしたチームがDivisionalで対戦することになるのは、いささかバランスが悪いのではなかろうか。1日の差ならまだ許容範囲だと思うが、今シーズンの場合は中7日の49ersが中5日のCowboysと対戦することになるわけで、シーズン中ならまだしもプレイオフという一発勝負の世界ではちょっとどうなのかという気もする。まあシーズン中の成績がいい方が余裕を持たせてもらっているのだから問題ないという指摘もあるだろうけど。
こちらのサイトで今週のゲームを見ると、最もEPA/Pが良かったQBはPrescott(0.74)で悪かったのはAllenとThompson(-0.17)だ。他にPurdyもかなりの数字(0.72)を残しており、この調子が続けば次戦のCowboys @ 49ersはかなりの見ものとなりそう。逆にAllenはちょっと心配したくなる数字だが、対戦相手のBurrowも今週は大した成績ではなかった(0.11)ので、まだどちらに転ぶかは分からない。そしてBradyは-0.05と、ある意味今シーズンを象徴するような成績で終えた。一度宣言した引退を取り消して臨んだシーズンだったが、NFC南でなければそもそもプレイオフにすらたどり着けなかっただろうことを考えると、Bucsもそろそろ体制の見直しを考える必要があるのかもしれない。
来週はシード1位が登場してくるが、それぞれ対戦相手は1勝しかしていないチームであり、その意味では楽にチャンピオンシップを目指したいところだろう。もちろんそんなことを言っていると足元をすくわれる例は過去にいくつもあるが、彼らの対戦相手が残った中で1番弱いと考えられるのは確かだ。
あとMVPレースだが、
有力候補と見られているのはMahomes。確かに成績面でも、あるいは怪我せず出場し続けた点からも、現状では彼が1番の候補だろう。シーズン途中ではTagovailoaの声もあったが、13試合しか出られなかったのではいささか厳しいかもしれない。Hurtsもいい成績だが、こちらも2試合出場しなかったことが影響しそうだ。とはいえAlabama出身のQBが2人も有力候補に入ったあたりは驚きといえる。
レギュラーシーズンが終わったところで、
毎年恒例のRANY/Aの計算も紹介しておこう。サックのデータが揃っている時期以降の選手たちのうちドロップバック数1000以上の選手たちが対象だ。まずは上位陣。
Patrick Mahomes 1.89
Steve Young 1.69
Roger Staubach 1.68
Peyton Manning 1.62
Joe Montana 1.55
Dan Marino 1.42
Aaron Rodgers 1.33
Kurt Warner 1.29
Drew Brees 1.27
Dan Fouts 1.25
Tony Romo 1.24
Tom Brady 1.23
Ken Anderson 1.11
Jimmy Garoppolo 1.10
以上がRANY/Aで1以上のQBたちだ。驚いたことにGaroppoloがエリート中のエリートとも言えるこのポジションに入り込んできてしまった。彼は今シーズンもまた負傷によってシーズンエンドとなったし、後を継いだPurdyが今のところ期待以上の大活躍なので49ers自身は困っていないように見えるが、それにしてもこれだけのキャリアを積んでいるQBが来シーズンどこに行くか不透明というのはかなり驚きの結果と言えるだろう。
BradyとRodgersという2人の超ベテランは、いずれも今シーズンの不振を象徴するかのように成績が低下。特にBradyは気が付くとBreesどころかRomoにすら抜かれてしまっている。Mahomesが調子を取り戻して再び数字を上げているのと比べると、この2人にはキャリアの晩年感が漂う状況。特に45歳のBradyは果たしてどうするつもりなんだろうか。苦闘しながらなおリーグ平均だけは上回ったところは年齢を考えると見事ではあるのだが。
彼ら以外だとPrescott(0.82)がWatson(0.81)を抜いたのも目立つ。前者が比較的好調な数字を積み重ねたのに対し、後者が少ない試合数だったとはいえ残念な数字を残したのが要因だ。Russell Wilsonも0.75まで数字を下げており、Cousins(0.72)とあまり変わらない水準になってしまった。母数が小さいため数字が動きやすい若手の中ではBurrowが0.65と、Herbert(0.54)を追い抜いているのも目立つ。というかHerbertはTagovailoa(0.54)にも微妙に抜かれている。
続いて下位だが、残念な数字を積み上げまくっているZach Wilson(-1.73)やFields(-1.54)あたりはまだ1000ドロップバックに届いていないので対象外だ。現状、下位に目新しい顔ぶれはなく、Darnoldは終盤の活躍でむしろ成績が改善している(-1.19)。2年目のQBでプレイ数が上限に届いたのはJones(-0.18)とLawrence(-0.42)の2人だけで、どちらも見ての通り残念な数字。今のところ豊作と言われた2021ドラフト組で文句なしのスターは生まれていない。
次はValue、つまり累積のRANYの数字だ。上位は以下の通り。
Peyton Manning 15653
Tom Brady 15493
Drew Brees 13896
Dan Marino 12243
Aaron Rodgers 10609
Manningを追い抜くと思っていたBradyがまさかの足踏み。彼が今シーズン苦戦していた様子が一番はっきりと分かる数字かもしれない。もし「時の翁」がBradyに追いついてしまったのだとしたら、Manningの数字が乗り越えることのできない壁としてさらに長く君臨する可能性も出てきた。なおMahomesのValueは現状5886。今の状態を後10年続ければほぼ確実にManningを抜けるのだが、その時のMahomesは37歳になる計算。Manningのように1年怪我で棒に振れば38歳となるが、決して追い抜けない数字ではなさそうに見える。問題はただでさえ異様に高い水準をそこまで長く維持できるかどうかだが。
一方、こちらも下位に目新しい名前はない。昔に比べてダメQBは早々に見切るチームが増えてきたし、ドラフト上位で着実にマイナスを積み上げていたDaniel Jonesは今シーズンは例年より活躍したためむしろ数字は改善傾向(-1308)。せいぜいWentzが-1013とマイナス1000の大台に乗せたのがちょっと目に留まったくらいか。
なお最近はEPAで見ることも多いので、
こちらのデータを使ってEPAの累計も調べておこう。実はこちらの数字だとBradyが2781で既にPeyton Manning(2437)を超えている。ただしこのデータは1999シーズンまでしか遡れず、Manningのルーキー年の成績は反映されていない。まあルーキー年のManningの成績は正直冴えなかったのでそれを加えてもBradyが上だとは思う。なおBreesは2190、Rodgersは2023だ。
EPA/Pの方が将来の予測に役立つ数値だと言われているが、一方でそのデータはなかなか古くまで遡れない。本来ならこの4人に匹敵するほどの累計値を叩き出しているMarinoなどは、従ってその実績は不明だ。RANYとの比較で行くならBrees並みの数字は残していてもおかしくないはずだが、21世紀のQBたちと単純な比較は無理なんだろう。もったいないと言うべきか、残念と言うべきか。
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