NFL22 week3

 NFLは第3週が終了。今週も怪我人が出ている。PatriotsのJonesは捻挫により、しばらく試合に出られない模様。検査結果次第ではIR入りもあり得るという。ゲームでは3インターセプトを食らったうえにこの結果であり、チームにとっては踏んだり蹴ったりだろう。今シーズンのPatriotsはここまでオフェンスにはコーチングの不安を抱え、ディフェンスは凡庸と苦労しているようだが、この分だと先行きはもっと厳しくなりそうだ。
 ゲーム後にX線撮影を行ったBillsのAllenについては、今のところ問題はないと伝えられている。むしろ彼らと対戦して勝利を収めたDolphinsのTagovailoaの方にちょっとしたトラブルが生じている。彼は前半に頭部の怪我で引き下がり、後半から戻って来たのだが、これが脳震盪プロトコルに反しているかどうかNFLPAが調べるそうだ。医者がプロトコルには当たらないケースと判断したらしいので、問題はなさそうだが、それとは別にTagovailoaは背中と足首にも痛みを抱えているという。
 他にはChargersのOT、Slaterがシーズンエンドとなり、EdgeのBosaもしばらく試合に出られない可能性があるといった報道も気になるところ。さらにゲームとは無関係だが、BrownsのEdge、Garrettが交通事故に遭ったそうだ。命に別状はないようだが、どのくらいの怪我なのだろうか。
 それにしても今シーズン、あくまでも現時点ではだが、全体として見るとそれほど怪我人が大きな影響を及ぼしているようには見えない。大物の脱落と言えるのはPrescottくらいで、それ以外では開幕時から欠場しているZach Wilsonに続いてLanceとMac Jonesという、いずれも2年目QBの欠場があった程度。しかも後者3人のここまでの成績は平均かそれ以下レベルで、ゲームへのインパクトは限定的(49ersの場合はむしろプラス?)と見られる。
 一方で地味なQBたちもいまだに踏ん張っている。SteelersのTrubiskyは連敗となったが、HCはまだ彼を交代させるつもりはないようだ。SeahawksのGeno Smithも2敗目となったが、こちらはそもそも適当な交代要員がいるわけでもない。彼らと対戦したFalconsのMariotaは初勝利を飾った格好で、とりあえずホッと一息といったところか。敗北したSaintsも、Winstonの交代は考えていないという。

 むしろ今週の見せ場はアップセット。全16試合のうち半数超の9試合でunderdogが勝利しており、なかなか波乱に富んだ週だった。個人的に特にびっくりしたのはAFC2強と思っていたBillsとChiefsが相次いで負けたこと。Billsは2点差、Chiefsは3点差だからそんなに悲観する状況ではないとは思うが、まとめて負けるとはなかなかに予想外だ。あとオッズ的に見れば最大の驚きだったのは-7.0のChargersがJaguarsに敗れた試合。しかも僅差で負けるなら「Chargersのお家芸」とも言えただろうが、28点差は結構シャレにならない数字だ。
 両者の差はそのままこの試合におけるQBの差と言える。Lawrenceがドラフト全体1位の実力を遺憾なく発揮してEPA/Pで0.39を記録したのに対し、Herbertは-0.2と惨敗。おまけにランでもJaguarsのEPA/Pが0.06だったのに対してChargersは-0.66とお話にならない数字だった。要するに得失点差の通り完敗。第3Qの途中からはほとんど見るべきところがなくなっていたと思われる。特に4th downで決めたRobinsonの50ヤード独走TDは、EPAでもWPAでも+6.6を記録し、このゲーム最大の見せ場となっていた。
 彼らに比べるとBillsは踏みとどまった方だろう。確かにTagovailoaのEPA/Pが0.43だったのに対してAllenは0.14にすぎなかったが、一応はプラスだ。ランのSuccess RateはBillsが42に対してDolphinsが33とむしろ上回っているくらい。もっと惜しかったのはChiefsで、実はMahomesのEPA/Pは0.25とColtsのRyan(-0.05)より良かったくらい。全プレイのEPA/PもChiefsの0.05に対してColtsが-0.16となっており、この状況でよくColtsは1ドライブ差以上つけられることなく踏ん張ったものだと感心してもいいのかもしれない。
 他にfavoriteながら敗北したのはSaints、Raiders、Seahawks、Buccaneers、49ers、そしてGiantsだ。この6チームの中では、オッズ的に言うとPanthersに負けたSaintsとFalconsに負けたSeahawksあたりが厳しく見られるのかもしれないが、これで3連敗となってしまったRaidersや、せっかく先発の座に戻れた瞬間に早速1点差で敗れたGaroppolo、そして控えQBに負けてしまったGiantsあたりはかなり悔しいかもしれない。あとRodgersとBradyの対戦という、知名度的には最も面白そうなゲームが両チーム合計26点で終わった展開は、チームよりもファンとかテレビ局にとっての悲劇だったと思われる。どっちもオフェンスプレイのSuccess Rateが低すぎ(Packersは41、Bucsは42)。
 アップセット続出の結果、第3週にして早くも全勝は2チーム、全敗は1チームに絞り込まれた。序盤からもつれまくりという意味では楽しいシーズンを期待させる始まり方と言っていいだろう。全勝チームはDolphinsとEaglesであり、もちろんどちらも事前予想ではここまで頑張るとは思われていなかったところだ。Alabama出身のQBが揃って活躍している(TagovailoaのEPAトータルは41.6、Hurtsは39.3)あたりも興味深いが、レシーバーでDolphinsのWaddleのEPAが24.6(リーグ3位)、EaglesのBrownが19.4(同5位)を記録しているのも見事だ。
 で、このレシーバーのEPAでリーグ2位に顔を出しているのが、現在3連敗となっているRaidersのHollinsだ。Carrの成績はリーグ中位あたりなので、要するにHollinsだけが突出していると考えられる。もちろんたった3試合の結果にすぎず、今後もこの活躍が続く保証はどこにもないが、過去にシーズン最多で226ヤードしかゲインできなかった選手が今年は3試合で240ヤードを記録しているのだから、今年が彼にとって当たり年なのは間違いない。
 それにしてもここまでのRaidersはとことんツイていない。オフェンスEPAはリーグ10位、ディフェンスは26位と、いい成績ではないがそれほど悪い成績でもない。少ない試合数だとこのように運不運が極端に偏りやすいことを分かりやすく示している事例とも言える。ただもう1試合経過し、4試合ほどの数字が重なると、特にパッサーの上位や下位の動向はかなり固まってくるのがこれまでの経験則だ。今シーズンに希望をつなぎたいのなら、そろそろいい数字を残したいところ、とMcDanielsあたりも思っているんじゃなかろうか。

 今週のゲームでちょっと目に留まったのは、Jetsがスタジアムにウクライナの国旗を掲示していたこと。彼らはヘルメットにもウクライナ国旗のデカールを貼って試合に臨んだようだ。この手の社会貢献的活動はNFLではさして珍しくないのだが、国外の問題がテーマになるのはあまり見た記憶がない。Jetsは過去にウクライナの人々を助けるために100万ドルの寄付も行っており、この問題には熱心に取り組んでいるのかもしれない。
 NFLはアメリカのプロスポーツでもかなりドメスティックな性格を持っている。北米以外でアメリカンフットボールがここまで人気を博している地域は存在しないし、そもそもスポーツの裾野を支えるハイスクール以下のチームがこんなに多い国は他には存在しないだろう。世界的に見ればフットボール=サッカーが大半であり、だから米紙の翻訳をする際に間違える人も出てくる。その社会では当たり前の知識となっているが、他の社会に行くと意味不明になる典型例が、米国で言えばアメフト絡みの用語なんだろう。
 スパイクの意味を「ボールを地面に叩きつける」と「靴の滑り止め」とで取り違えるくらいなら笑い話で済むが、センシティブな話題でそういった言葉遣いの違いがあり、それと知らずに使ってしまってトラブルが起きる、といった現象は人間社会ではおそらく珍しくない。それでもヒトのように言葉でやり取りできる動物は、それすらない生物よりはまだコミュニケーションのハードルが低いだろう。もし我々が今になっても言葉を持つように進化していなかったら、自分の人生はどうなっていただろうか。正直、想像もつかない。
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