NFLの話、とは言い切れないのだが、最近になって改めて話題になっているのがパット・ティルマン"http://en.wikipedia.org/wiki/Pat_Tillman"の死に関する問題だ。ArizonaのSFで、多額の契約を提示されながらもそれを捨てて軍の特殊部隊に入ったティルマンがアフガニスタンで死亡したのは2004年。最初は戦死とされていたのが、後になって味方の誤射による死亡という話が出て一種のスキャンダルになったのは有名だ。
で、この7月になって彼の死に関してさらに別の見方も出てきたらしい。フラッギング"http://en.wikipedia.org/wiki/Frag_(military)"ではないか、というのだ。論拠は彼の死体を見聞した医者の証言。ティルマンの頭部の傷は10ヤードの至近距離からM-16で撃たれたと思われるものであり、敵と間違えて遠くから撃たれた結果の死去であるかどうか疑わしいのだとか"http://www.forbes.com/feeds/ap/2007/07/26/ap3958728.html"。事実だとしたらこれまた衝撃的な話である。
ティルマンは生前、イラク戦争についてかなり批判的な発言をしていたらしい。アフガンから帰国した後には、ブッシュの政策を批判していたチョムスキーと会って話す予定もあったという。そのため、単なる誤射でなく一種の謀殺だったのではとの意見もあるようだ。NFLの契約を捨てて祖国のために軍に入った英雄が、実は時の大統領を非難していたということが明らかになるのを恐れて口封じされた、という訳だ。
さすがにそんな三流ドラマみたいな陰謀論は成り立たないと思う。謀殺がばれた場合のリスクに比べ、利益が余りにも少なすぎるためだ。ブッシュの政策に批判的な有名人はティルマン以外にも大勢いる。軍関係者でも、例えばジェシカ・リンチなどは彼女自身の救出作戦の実態について帰国後にバラしているし、だからといって殺されている訳でもない。ティルマンだけを危険を冒して謀殺しなければならない理由はないだろう。
むしろベトナム戦争でもよく見られた「部下が気に食わない上官を殺した」結果だと考えた方が蓋然性は高そうだ。権力者によって殺されたのではなく、ナポレオン漫画に出てきた「4人に1人」の方である。もっとも、これも裏付けはなさそう。ティルマンが部下に明白に恨まれていたという証言は、どうも見当たらないようだ。事実が明らかになるには、もっと色々と調べる必要があるのだろう。
それにしても事後処理に当たった連中のやり方は明らかに拙かった。おそらく元NFLの英雄が誤射またはフラッギングで死んだという事実にパニクったためだろうが、それにしても情報の隠蔽を図ったのは最悪。リスク管理としてやってはいけないことをやってしまい、結果として謀殺説という陰謀論が飛び交うのを許す土壌を作ってしまった。官僚組織の問題点が表に出た例だろう。
ティルマンのいないNFLではいつものようにシーズンへの準備が進んでいる。New Englandではキャンプで負傷したChad ScottがそのままIR入り。CBのコマ不足が一気に表面化した。今のところはHobbsとGayが先発候補だが、Gayが怪我せずに1シーズンを乗り切る可能性は少ない。Samuelが今年1年だけ真面目にやって来年以降自分を高く売りつけようと考えればともかく、そうでない場合にはディフェンスの弱点になるかもしれない。
他チームではCulpepperがOaklandと契約を結んだ。Russellが莫大な契約を要求して話がこじれているのに対応したものらしいが、正直これはOaklandにとってかなりいい展開ではないだろうか。Culpepperはなぜか皆が過小評価しているが、実績はかなり立派な選手である。少なくともAtlantaで先発になりそうなHarringtonよりはずっといい。昨年の不調はACL断裂の後遺症もあったためと見られるが、2年も経過すればかなり調子は戻っている筈。モビリティを生かすことができるようになっているのではないだろうか。
一方で前に指摘した通り、Russellはbustの可能性が高い。正直そんな新人と無理に高額な契約を結ぶより、一定の成績が期待できるCulpepperを使った方がOaklandにとってはいい結果が期待できるだろう。Oaklandが頑張り、同地区の「タレント集団」San Diegoや「New Englandの天敵」Denverの足を引っ張ってくれれば、私にとってもありがたい。頑張れCulpepper。
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