出場停止延長

 Watsonの出場停止試合数が最終決定したようだ。最初の「6試合の出場停止で罰金なし」という判定に対してはリーグの異議申し立てもあり、改めて元ニュージャージー州司法長官を申し立ての聞き手として選んだ手続きを進めることになっていたが、そうなる前に一転リーグとNFLPAがWatsonの処分で妥協することになったようだ。どうやらこのタイミングで司法への訴えなどが始まると話がややこしくなると考えたらしい。
 出場試合数は当初より5試合増えて11試合となり、Watsonは第13週の@ Texansから試合に参加できるようになる。また彼は5ミリオンの罰金を科され、それにリーグとBrownsがそれぞれ1ミリオンの資金を加えて性的不祥事や暴行を防ぐための7ミリオンの基金を設立することになったという。出場できない試合数は増えたものの、最低1シーズンの期間未定出場停止をもくろんでいたリーグ側にとっては一定の譲歩を強いられた格好なんだろう。
 これで今シーズンWatsonが出場できるのは最大でも6試合となる。ESPNのFPIで見ると、この6試合の対戦相手の平均FPIは-2.9とかなり低い。逆に彼が出場しない冒頭11試合は-1.0となっており、当初とは異なりむしろWatsonが出場しない時期の方がスケジュールは厳しくなっている。とはいえ全体の3分の1強しか出場しない状況でBrownsがどこまで勝ち抜けるかは難しいところだろう。BillsやBuccaneersといった強力な対戦相手に控えQBでプレイすることになるのは、勝敗もさることながらリーグとしてはゲームの質の低下が一番気になるところかもしれない。
 出場停止1年未満という今回の決定に対しては、さっそく「全ての決断は、いつものことだが全員が最も多額の金を生み出せるかどうかという観点で行われている」という指摘がなされている。実際、リーグは罰則を科すうえでWatsonが不品行に及んだとの判断を前提に置いている。本人は否定しているし、少なくとも刑事訴訟はされていないのだから、彼は推定無罪だという主張もあるが、リーグの事件に関する判断と罰則のバランスが取れていないという批判は成り立ち得る。
 もちろんリーグは社会正義を追求するために存在するのではないし、司法の代わりを務める組織でもない。彼らの目的ははっきり言えば金儲け。建前的にはスポーツ振興ということになるんだろうが、集まってきている連中が金を目的としているのは全く否定できない。それに彼らに金を落とす面々(ファン)の中には、Watsonの不品行を気にしない者が一定数いる。もしどうしてもWatsonをリーグから排除したいのなら、リーグやBrownsのスポンサー企業に対して不買運動でも始めるのが最も手っ取り早いと思う。少なくともRedskinsという名称はそれが理由で変更された
 今回、そこまで事態は紛糾するだろうか。難しそうな気がする。例えばBrownsのスタジアムで命名権を得ているFirstEnergy Corporationは地元オハイオ州の企業であり、Redskinsのスタジアム命名権を持っていたFedExのような全国(というかグローバル)企業とは異なる。彼らに対する不買運動を展開するのはそもそも困難があるだろうし、地元企業は地元ファンの意向の方を優先するだろう。また前回は大統領選もあってそうした運動が盛り上がっているタイミングだった。今年は中間選挙の年だが、大統領選ほどの盛り上がりを期待するのは難しいだろう。
 リーグとしては自分たちの金儲けに対する悪影響が最も少ない形で終わらせるのが理想だし、シーズン開始後までごたごたが続くのを避けたければこのあたりで妥協するのが適当、といったところが理由なんだろう。それでも昔に比べてリーグがこうした不品行に対して厳しい姿勢を示すようになっているのは確かだ。最初の6試合という罰則は、過去の事例と辻褄を合わせるために出てきた数字だそうで、要するに昔はもっと選手に対して甘い措置を下していたことになる。有名選手に対する治外法権的措置が許されない時代が迫ってきているのは確かだろう。

 Watsonのニュースが伝わった後に報じられたのが、BrownsはGaroppoloのトレードに応じないであろうとの話。Watsonが出場しない間、Brissettに任せるのではなくGaroppoloを呼び寄せるのではないか、という話は、特にWatsonが1シーズン丸ごと出場停止となった場合のオプションとして噂が出回っていた。だがシーズン途中で帰ってくると分かっている場合、わざわざ対価を出してGaroppoloを取りに行く必要はないという判断だ。
 Brownsの控えのBrissett自身も自分が出ることになる前提で話をしているもよう。彼は過去にこういう形で出場したことがやたらと多く(Patriots、Colts、Dolphinsなど)、いわば手慣れた仕事になっている。一連の報道を見ても、BrownsはWatson不在中はBrissettに任せるつもりらしい様子は窺える。実際、11試合のためにドラフト権と20ミリオン超のサラリーキャップを使うのに躊躇するのは理解できる。
 もしBrownsが本当にトレードしないと結論を出したのなら、いよいよ49ersにとって「この問題に対する唯一の答え」を選ばざるを得ない時が近づいているのかもしれない。つまりカットだ。Garoppoloをカットした場合、Seahawksが彼と契約を結ぶ可能性があるため、49ersにとっては本当は避けたい手段のはず。だが個人的にそんなことをするくらいならGaroppoloをあと1年引っ張った方がよかったんじゃないかと思うが、キャンプ開幕時点で彼を構想外としてしまっている以上、その手は難しいだろう。
 だがファンの中にはまだ最後の大逆転を期待する向きもある。Buccaneersとのトレードだ。実はBucsではBradyが「個人的な理由」でキャンプを離れ、いつ復帰するのか分からない状態になっている。彼は本当はBucsではなくDolphinsのSean Paytonの下でプレイしたがっているそうで、フロリダの別チームではもうプレイしたくない、のではないかという話だ。と言っても彼は今年いっぱいはBucsと契約済み。チームが彼をトレードに出すとも思えず、もう一度引退しても復帰時点での契約の権限はBucsにある。
 もしBradyが何らかの理由でゲームに出てこない場合、今度こそGaroppoloのトレード先が見つかるのではないか、というのが49ersにとってのラストリゾートになる、かもしれないわけだ。でも話はそう簡単ではない。Brownsと違ってBucsのキャップスペースは10ミリオンほどしかなく、この時期に多額のリストラをするのはなかなか大変だ。可能性がないとは言わないが、かなり厳しい条件に見える。

 個別ニュースは別として、現在はプレシーズンゲームが行われている最中。もちろんこの時期の勝ち負けには意味はなく、見ておくべきなのはロースター当落線上の選手のプレイと、それに伴って誰がカットされるかくらいなんだが、こちらも現時点ではまだ先発クラスや大物が消える局面ではない。一応、Cuts Trackerは掲載されているので、そちらをざっと見ておけば十分だろう。
 それ以外には、まずBroncosの売却先が決まったとの報道があった。購入額は2018年にPanthersが購入された時の倍以上。まあBroncosは歴史の浅いPanthersに比べて実績が多く、地元人気もおそらく比べ物にならないんだろう。今シーズンはWilsonをトレードで手に入れ、チーム成績向上への期待も高まっているわけで、価格が高騰するのも無理はない。あとはインフレの影響もあるかもしれない。
 QBたちの中ではJetsのWilsonが負傷していたのが話題となっていた。ただし手術はうまく行ったようで、おそらくレギュラーシーズンには間に合うだろうと見られている。一応、JetsのHCは控えのFlaccoを信用していると述べているが、よほどけがからの回復が遅れない限り開幕からWilsonが使われるだろう。
 私はZach Wilsonの1年目の成績に懸念を抱いている。正直言ってRANY/Aが-2.2のWilsonよりも-0.3のFlaccoを投入する方が、目先の成績的にはマシではないかと思っているくらい。今のところWilsonにあるのは若さと将来性くらいで、他にFlaccoに勝てるところはない。もちろんFlaccoが長期的な回答にならないことは分かっているし、Wilsonがそうなるかどうかを調べるためには彼を試合に出す必要があることも自明の理だ。ただWilsonの怪我に少しでも懸念があるのなら、無理に慌てて出場させることはないとも思う。何の問題もないならともかく、1~2試合程度の休みなら大した影響はないだろう。
 後はPatriotsのJames Whiteが引退を表明した。記事中ではSuper Bowlのプレイが紹介されているが、全体としてみるとランよりレシーブで貢献した選手だった。彼がプレイした2014~21シーズンの累計で見たランのEPAは-44.8、レシーブだと+97.4と、明らかにレシーブの方がいい結果を残している。もちろんランの場合は累計EPAを見るよりSRを見た方が貢献度が測れるとの意見もあるだろう。こちらで見た場合、Whiteは0.369となっており、例えばNajee Harris(0.367)と比べてもそう遜色はない。
 とはいえPatriotsの中でも彼より高い数値を同期間に達成したRBはいる。例えばDamien Harris(0.453)や、TitansでもプレイしたDion Lewis(0.448)、そして1巡指名だったが外れとしてトレードされたSony Michel(0.407)あたりと比べても、Whiteのランは大したことはない。だがレシーブならGronk、Edelman、Hoganに続いて高い数字を記録しており、やはりそう考えると貢献度は大きい。Patsファンにとっては重要な選手と言える。お疲れ様。
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