NFLの異議申し立て

 Watsonの出場停止が6試合になった、とエントリーをアップした直後になってリーグがちゃぶ台をひっくり返した。決定に対してリーグとして不服を申し立てたそうだ。どうやらリーグとしては出場停止の期間を定めず、さらに少なくとも2022シーズンは出場できない、という条件を求めているという。加えてミリオン単位の罰金も要求しているらしい。
 これまでの経緯と今後の流れについては、ESPNのNFL appeals ruling that Deshaun Watson of Cleveland Browns should be suspended six gamesという記事でまとめられている。そもそも選手の出場停止については労使協定(CBA)に定められているルールがあり、今回の「6週間」という裁定はそのルールに従ってリーグとNFLPAとが選んだ判事が下したもの。そしてこの結果に対し、リーグやNFLPAが不服を申し立てるルールもある。
 具体的には決定が出た数日以内にまず正式に不服申し立てが行われる。不服申し立てはリーグとNFLPAの両方が行えるが、今回の件についてNFLPAは申し立てをしないという方針を示している。ただどちらかが不服申し立てを行なえば、他方はそれに対する対応をこれまた数日以内に決める必要がある。そしてNFLPAは、もしリーグが正式に不服を申し立てるなら、連邦裁判所に対してリーグを訴えるとの考えを持っているようで、この場合、舞台はCBAから裁判所へと移る可能性が出てくる。
 一度NFLPAが対応を行なえば、その後でコミッショナーがこの不服を聞く人物を決定する。その際にはコミッショナー自身がその役割を果たすことも可能。現時点でGoodellは誰にこの役割を任せるかを決めていないそうだ。そしてその後に実際に話を聞く機会がやってくる。ただしその際には、最初の裁定を下した判事に話した内容以上の訴えは行ってはならない。こうした手続きはできるだけ迅速に行うことになっているが、具体的な行程が決まっているわけではないという。
 こうした流れで物事が進む場合、NFLの不服申し立てに対してNFLPAが連邦裁判所に訴える方法を取るかどうかでややこしさが変わってくる。もし裁判所に話が進んだ場合、以前BradyのDeflate Gateに関する処分決定が1シーズン遅れたように、Watsonの今シーズンの出場停止が決まらないまま時間が経過しシーズンに突入することがあり得る、のだろうか。その場合、Watsonは正式な処分が決まっていないという状態で、結果的に開幕から試合に出場できるのか。
 こちらの記事を信じるのなら、そうはならない。見出しにもある通り、たとえ舞台が法廷に移ったとしても、最初の6試合のWatson出場停止は変わらないのではないか、というのがこの記事の見方だ。実際のところ、この6試合についてはリーグもNFLPAも異議を唱えていない。NFLはもっと長くすべきと言っているだけだし、WatsonもNFLPAも出場停止自体に異論を述べているわけではない。Bradyのケースとは、実はそこが違う。
 今後、リーグとNFLPAが争うことになるとしても、それは7試合目となる@ Ravensのゲーム以降の処分について。この試合が予定されている10月24日までに処分についてケリがつかなければ、その時に初めてWatsonが試合に出られるかどうかが問題となる。この記事では「訴訟が進行している間、選手のプレイを許可する裁判所の命令は簡単には得られない」と指摘しており、第7週までに結果が出ない場合にWatsonが次の試合に出られるかは難しいとの見方を示している。結局、こちらの記事の結論は、NFLが本当にNFLPAとの合意から大きく離れているのでない限り、リーグの不服申し立てが通るはずだ、となっている。
 本当にそうだろうか。もしそうなら、NFLPAは「6試合ならOK」というこれまでの姿勢を変え、「そもそも出場停止は不当」という不服申し立てをすればいいような気もする。ただし、既に「申し立てをしない」と表立って表明しているところから手の平を返すのは、実際は困難だろう。となると少なくとも開幕からの6試合に関しては、Watsonが出場しない確率が高いと見てよさそうだ。
 だがその後のことは不透明だ。まずNFLPAはリーグの申し立てにどう対応するのか、コミッショナーは誰を聞き手に指名するのか、どちらか一方もしくは両者が法廷に持ち込む可能性はあるのか、その場合、法廷での話にはどのくらいの時間がかかるのか、そして結論が出るまでに時間がかかる場合、7週目以降、Watsonの扱いはどうするのが最も公正なのか。どうやらBrownsファンにとってはシーズン序盤から手に汗握る展開が約束されているようである。

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