Watson出場停止

 Watsonの出場停止試合数が決まった。一部で報じられていたような1シーズン丸ごとの出場停止にはならず、開幕からの6試合を欠場するだけで済むことになる。この6試合という数字が多いか少ないかは正直私には判断しかねるが、昨シーズンのNFLの賭けにベットしたCalvin Ridleyが少なくとも今シーズンいっぱいは出場停止を食らっているのに比べると、かなりバランスを欠いた判断だという批判が出ているのは興味深いところだ。
 いずれにせよ、Brownsは最初の6試合を控えのBrissettで戦うことになる彼らのスケジュールを見ると、具体的にはアウェイのPanthers、ホームのJetsとSteelers、アウェイのFalcons、そしてホームのChargers、Patriotsだ。なおESPNのFPIを使って計算すると、この6試合の対戦相手の平均FPIは-5.2、残る11試合は+0.2となる。また序盤6試合はうちホームが4試合を占めているのも特徴の一つ。今シーズンのAFCはホームが8試合しかないため、地元ファンはWatsonを半分のゲームでしか見ることができず、Watsonは11試合のうち7試合をアウェイで戦う羽目に陥る。
 これは有利なのか、それとも不利なのか。考えようによっては、Brissettで戦わなければならない相手が比較的弱いのは歓迎されるところだが、一方で確実に勝てそうな相手でいくつか取りこぼしが出てくる可能性が高まったとも考えられる。コップに水が「半分も」あるのか「半分しか」ないのか、という話みたいだが、個人的にはBrownsにとって残念な展開、と見てもいいんじゃないかと思う。強敵相手の勝負はツキの影響に左右されるが、弱い相手なら力で踏みつぶせる確率は高い。求められるのは勝率なんだから、確実に勝てる相手が確実と言えなくなるのはやはりマイナスだろう。
 個人的には第1週のゲームでMayfield(Panthers)がBrownsを相手にリベンジするチャンスが高まったあたりに注目したい。もちろんWatsonを相手に勝てばこれほど美味しい話はないだろうが、MayfieldとWatson個人の間に具体的な因縁があるというより、あくまでBrownsというチームの判断にMayfieldが振り回されたと考えるのが妥当なのだから、相手のQBが誰であれMayfieldがBrownsに勝てるかどうかがキモだと思う。なおこの試合のオッズを見るとほぼ五分五分と見られているもようで、面白い試合が増えることは何より歓迎できる。
 QBがらみではMurrayの契約に関連してRapoportが面白いツイートをしていたのも話題になっていた。大型の契約延長を手に入れたMurrayだが、その条項の中に「チームが渡した素材を使って毎週必ず4時間の自主的な勉強をするように」というルールがあったという。しかもご丁寧なことに、この素材をタブレットなどで流している最中に「テレビを見たりビデオゲームをしたりインターネットを見たり」している場合は自主的な勉強とは見なさない、という注意書きまで付け加えられている有様だ。
 まるでコロナ禍で自宅学習をすることになった小学生を相手に先生が行う注意みたいな文章であり、当然ながらSNSで色々とバズっていた。Murrayにしてみれば恥をかかされた格好で、結局はチーム側がこの「自主的な勉強」条項を契約から外すことになったもよう。とはいえシーズン前の暇な時期だけに、この手の話題は色々茶化されていた。
 個人的には、後に契約から消えたとはいえ、こういう条項をチームが入れようとしていた時点で、Murrayとの大型契約はやはり拙かったのではないかとの疑いが強まっている。NFLレベルになると身体能力が一定レベルに達している選手ばかりであり、それに加えてどこまで努力を積み重ねられるかが成功者とそうでないものを分けるラインになることがしばしばあるように思えるからだ。例えば若くしてSuper Bowlを制したRussell Wilsonは、フィルムルームの主と化すほどにフィルムスタディーを熱心に行う選手で、深夜に警備員に引きずり出されるまでフィルムを見ていたという話もある。Murrayとは真逆だ。
 もちろんMurrayが心を入れ替え、条項がなくても熱心に勉強するようになるかもしれないので、現時点で彼の将来が絶望だと断言することはできない。でも今までのキャリアを見る限りリーグ平均並みのQBで、なおかつwork ethicに疑問符が付くと言われると、個人的にはあまりその将来にベットしたいとは思わない。彼がこの汚名を返上できるかどうかも、ある意味今シーズンの注目点かもしれない。
 他にも細かい契約の動きがある。まずはSeahawksのMetcalfが3年72ミリオンの契約延長を勝ち取ったという話。年平均で見るとWRとしてはDiggsと同じリーグ6位タイと、なかなかにいい数字となっている。キャリアの3年間に積み上げたEPAは122、リーグ全体で19番目という位置づけを考えるなら、それほどおかしな契約でもないのだろう。Wilsonという有能なQBがいなくなったところで彼がどこまでやれるかには注意した方がいいのだろうが、それよりもまずは実績に報いた、というところか。
 Metcalfに比べると地味なのがJulio JonesがBuccaneersと1年契約を結んだ件。金額は6ミリオンで、とても一流の水準とは言えない。実は直近3年間の数字ならJonesのEPAは145とリーグ14位に位置しており、Metcalfと比べても決して劣ってはいない。だが実はその大半が「過去の栄光」で、2021シーズンだけで見ればたったの15.5しか稼いでいない。既に30代でもある彼については、さすがにそろそろ「ガス欠」と見なされたがためのこの地味な契約だろう。
 一方、今もって行き先が見えてこないのがGaroppolo。49ersのキャンプが始まり、健康状態に問題はないことは分かったが、チームは完全にLance先発へと動いているため、Garoppoloの居場所はもはや存在しないもよう。一応、フィールドの隅っこで一人で走っていたりするようだが、全体練習には加わっていないという。
 今なお彼をGiantsにトレードするという噂は流れているが、それに対する反論も出ているようで、内容が固まったとも思えない状態。カットの可能性について言及する記事もあるくらいで、要するにいまだ先行きは不透明と見ていいんだろう。正直、彼より劣るスターターを抱えているチームはかなり多いと思うが、このタイミングで彼を入れられるだけのキャップスペースを持ち、なおかつ大量のドラフト権を対価に差し出そうと考えるチームがどこまでいるかと言われれば、そりゃ疑問しかない。
 それでも彼にはまだチャンスが与えられるべきだと思う。少なくとも実績を見る限り、彼を使わないのはゲーム全体にとって損失だろう。正直ここまでくるとさっさと49ersに諦めてもらい、カットに踏み切ってもらうのが一番いいような気がしてきた。

 一方、フィールド外ではCommandersのオーナーを巡る下院委員会の動きがどうも竜頭蛇尾になりつつある、ように見える。一応、当初予定通り28日に証言は行われたようだが、その際にはリモートでの発言が行われたようで、下院が狙っていた「召喚状付き」の証言にはならなかったもよう。委員会は実に11時間近くにわたって開催され、Snyderはかなりとうとうとしゃべりまくったらしいのだが、その後の続報は特に出てきていない。Commanders側はきちんと説明したとステートメントを出しており、委員会側はノーコメントとしているようで、現時点では何となくSnyderの判定勝ちっぽく見える。
 この問題をきっかけにSnyderがオーナー権を手放すような事態になればこれは相当に面白いし、そうなるかもしれないと当初は見ていた。でも現状を見る限り、Snyderに詰め腹を切らせる力を持っているたのオーナーたちの動きは鈍そうに見える。オーナーたちはこうした外部からの介入で自分たちの一員の地位が脅かされる方をむしろ嫌っている、ようにも見える。確かにCommandersはリーグと他チームから利益をかすめ取っていたかもしれないが、何か不適切な行為をするとオーナーの地位を容易に奪われてしまうような前例が増えてしまうのは、かえって自分たちの不利益になるという判断だろうか。
 前にも書いた通り、私がCommandersファンならまさに「長蛇を逸す」と臍を噛んでのたうち回っていたところ。でもそうではないからそこまで残念だとは思わない。それにそもそも本当にSnyder一党が有罪なのかどうかも私個人には分からないし、推定無罪という原則を踏まえるならこの委員会証言を最後に話が立ち消えになるとしても仕方ない面もある。考えようによってはいかにもオフらしい、ゲームのない時期の紙面のにぎやかしネタとして消費されて終わる、のだろうか?
 そう考えるのは尚早だろう。というのもSnyderの件の前に起きたFloresの訴えに関連したリーグの処分が、その後に発表されたからだ。事前に問題視されていたタンキングの件もさることながら、むしろ大ごとになっているのはBradyと元SaintsのHC、Paytonに対してタンパリングを行なっていた件だ。Dolphinsは来年のドラフト1巡と再来年の同3巡を剥奪され、オーナーのRossと幹部の1人は罰金及びリーグの会合などへの参加禁止の処分を受けた。
 Dolphinsのタンパリングはかなり大掛かりだったようで、Goodellによれば、このような「複数の他のクラブの不利益になり得るスター選手とHCに対する数年にわたる違反」も、それに「オーナーが直接かかわっていた事例」も、聞いたことがないという。正直、Commandersの事例とは異なり、金よりもチームに勝たせるためのルール違反という点でチームのファンにとってはそこまで厳しく批判するようなネタには見えないだろうが、逆に言えばこういったゲームの結果に直接影響を及ぼす話に対してリーグは厳しい姿勢を見せるという証拠なんだろう。
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