正直この点は何とも判断しがたい。PSIにおけるSFDは、構造的な問題のツケを押しつけられ、最後に決壊する局面を指し示す指標と位置付けられていることが多い。Goldstoneも破綻にまでいたらなかった19世紀の事例を取り上げる際に、SFDを除いたPSIを計算している(Revolution and Rebellion in the Early Modern World, Figure 12、13)。その意味では実際に革命や内乱が起きる分かりやすいメルクマールではあった。しかし、足元の経済情勢を踏まえたうえで、果たしてGDP比政府負債からそうした動向が読み取れるかというと、そう簡単ではない。
そうした懸念が出ているのは、ドンバスでの戦闘激化もあって引き続きロシア側の損害が増えていることも背景にあるのだろう。例えばロシア軍の戦死者が2万5000人を超えたとの会話が傍受されている。死者でこの数なら負傷者も含めた損害は多くて10万人近くに達している可能性すらある。当初投入したと言われている19万人のうち半数がHors de combat(戦闘不能)になっているかもしれないわけで、そりゃ戦力不足の懸念も強まるだろう。
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