今回もまた1794年イタリア戦役はお休み。
NFLではチケット収入をリーグ全体で共有し、40%はビジターチームの基金に預けられる。Commandersは収入を過少に見せることで、リーグと共有せずに自分たちの手元に収入の一部を残していたわけだ。彼らはそのために帳簿を2種類用意し、一方の収入を過少に載せた帳簿をリーグに提出した一方で、裏帳簿の方には正しい金額を記録していたそうだ。この件はオーナーのSnyderも把握していたそうで、この二重帳簿づくりについてフロントオフィスは「ジュース」と呼んでいたという。要するに粉飾である。
セクハラはもちろんよろしくないが、リーグにとっては社会的な批判を通じて間接的な損害はあり得るとしても、直接的な損失をもたらすものではない。tankingについてもゲームへの信頼が失われる(八百長)という懸念はあるが、最終的にはチームを強くさせる狙いが背景にあるとも考えられ、ファンが一方的に離れて行くとも限らない。だが今回の粉飾はそういったレベルではなく、直接的にリーグと他のオーナーの利益をかすめ取る行為が行われていた、という話になる。営利組織であるNFLにしてみればまさに詐欺行為であり、背任行為であると見なされても仕方ない出来事だ。
もちろんこの話は事実ではなく、辞めさせられた元従業員による意趣返しにすぎないかもしれない。だが一部でも事実であるとしたら、リーグとしてはSnyderを含む経営陣に対して損害賠償を請求してもおかしくない話だろう(金額にもよるが)。さらに
Snyderのオーナーとしての地位が吹っ飛ぶ可能性も十分にある わけで、私がCommandersファンなら文字通り狂喜乱舞する展開となる。Snyderがオーナーになってからのチーム成績(156勝212敗1分)を見ても、彼の人事(Bruce Allenの重用など)を見ても、オーナーが変わる方がチームが強くなる可能性は高そうだからだ。
結果がどう転ぶかは分からないし、すぐに結論が出るのではなく長い時間がかかることも考えられる。
トレードで入手したWentz を使うつもりと見られる2022シーズンにすぐこの事態が影響を及ぼすとは思えない。それでも将来的にCommandersのオーナーが交代する局面が来る確率は以前よりも上がっているだろう。NFC東のチーム運営においては最近ずっとEaglesばかりが目立っていたが、オーナーが変わればまた違う動きが出てくるかもしれない。
フィールド外といえば残念な話だが、
Haskinsが交通事故で亡くなった 。まだ24歳、プロ入りしてたった3年しか経過していないことを踏まえるのなら、まことにもったいないという他にない。正直、彼がNFLでQBとして大成できたかどうかは分からないが、控えとしての仕事ならあり得ただろうし、もしかしたらコーチとしての適性が存在していたかもしれない。もちろんフットボールを離れた人生の可能性もあっただろう。若者の命が失われるのは、基本的に社会全体にとって損失となることが多い。
彼と異なり契約延長がなかなか手に入らないMurrayは、チームを脅すかのように
「新たな契約がなければCardinalsではプレイしない」 と言っている。キャリア3年間のDAKOTAが0.097とCarrよりずっと低く、WinstonやFitzpatrick、Bridgewaterすら下回っている割には随分と強気に出たなという印象があるが、さてどこまで勝算があって言っているのだろうか。もしかしたらMurrayと同じく全体1位指名だが契約延長もないまま
トレード候補になっているMayfieldの不満 を見て、密かに焦っているのかもしれない。
それに今なら強気に出られると思う条件が1つある。今年のドラフトQBたちの実力評価だ。
Football Outsidersが毎年算出しているQBASE を見ても、今年のドラフトQBたちについてはかなり慎重な見方を示している。比較的まともなPickettとCorralでも約半分の確率で、Willis、Ridder、Howellの3人に至っては6割弱の確率でbustになる、というのがその見通しだ。もちろん5人もいれば1人くらいは使い物になるかもしれない(最低1人がエリートになる確率は28%、上位のQBになる確率は68%)。それでもリスクの高い指名にはなりそうであり、実績あるQBの引き合いがそれだけ強くなりそうだ。
なぜパスが早いチームはPBWRで損をするのか。2.5秒以内でパスを投げてしまった場合、このデータではそれを勝ち負けから外して計算している。パスタイミングの早いチームは成功したパスが減らされる一方、プレイアクションのようにパスタイミングが遅いチームはそうした分母の削減が少ない分だけ、結果としてPBWRが上昇するのではないか、との指摘だ。もちろん
平均で2.5秒を割るQBはほとんどいない が、それでも影響の大きなチームとそうでないチームがいるのは否定できない。
要するにアナリティクス系のスタッツは、従来型のものよりはいいかもしれないが、問題が皆無というわけではないことが指摘されているわけだ。データを扱う際には、当然ながらそうしたデータの弱点や問題点も頭に入れたうえで扱う必要があるんだろう。
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