ロシアとウクライナ間では
停戦交渉が行われている。といっても先行きはまだ不透明だそうで、これで戦火がやむかどうかは分からない。既に開戦から1ヶ月以上が過ぎているが、さらに戦争が長引く可能性だってまだある。そうなるとどうなるだろうか。
ただしコムギやトウモロコシの生産量で見ると、輸出ほど大きな比率ではない。コムギなら両国合わせて14%弱になるし、トウモロコシに至っては5%ほどだ。その点に注目し、あまりコムギ不足を心配しすぎるのも問題だ、と主張しているのが
こちらのツイート。世界のコムギ輸出の25%を両国で占めるというのはミスリーディングな表現であり、「実際に戦争で失われるのは1%未満」、というのがその主張だ。
ロシアの侵略によって失われる輸出量は700万トンだが、世界のコムギ生産は実は7億7800万トンもある。だから失われるのは1%未満にとどまる計算。加えて、最近進んでいたインフレの影響を受け、例えばインドでは既にコムギの生産を増やしているそうで、
最近になってエジプトへのコムギ輸出を始めるといった話が報じられている。他にも米国、オーストラリア、カナダ、アルゼンチン、南アフリカ、ブラジルといったところも増産の動きを見せている。ただしMENA(中東・北アフリカ)のようにウクライナからの輸入が多い地域では本当の問題が生じる、との指摘だ。
もちろん、だからと言って安心していいわけではない。
こちらの記事では足元の懸念点をいくつかまとめている。例えばロシアとウクライナのコムギ輸出は特に夏から秋にかけて増える傾向があり、その時期だけに限れば両国で実に世界の4割を占めるという。彼らのコムギ輸出は従来の予想に比べて9~17%下回るという数字も出ており、シェアの大きな時期にその影響が出れば年間トータルの数字よりも事態は深刻になり得る。
また在庫問題についても書かれている。世界の中でコムギの在庫を高水準で抱えているのは中国くらいであり、それ以外の地域では低水準の在庫しかない。FAO(国連食糧農業機関)の試算によるとコムギ価格はさらに2割上昇し、OECDによれば世界の経済成長率を1%超押し下げる可能性もあるそうだ。一方で物価上昇率は2.5ポイント上がるそうで、まさにスタグフレーションの到来、になるかもしれない。
世界的な影響を及ぼしかねないこの戦争だが、目下のところロシア側がやめようとする様子はないと
米国防総省は見ている。キーウ付近で動きが止まっているのは、あくまで再配置が目的、もしくは
目標をずらして苦戦を取り繕う試みだと分析しているようで、「キエフへの軍事攻撃を突然減らすという主張や、全軍を撤退させるという報道には、誰も騙されてはいけない」と厳しい見方を変えていない。一方で
英国防省の分析にあるように、ロシア軍は「複数正面での前進を維持するのが難しい」状態にあると考えられる。
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