Ryanのキャリアを見るとANY/Aがリーグ平均を下回ったのは2009、2013、そして2019と2021シーズンの4年に限る。MVPを取った2016シーズンのように突出して高いANY/Aを記録したシーズンもそれほど多いわけではないが、基本的に平均よりは上の成績を残すQBだった。だが足元で彼がその能力を失いつつあるのだとしたら、彼をチームにとどめることなくトレードに出すという判断は間違いではないように思える。
そうした結果も含めてだろうか、このトレードの評価を見るとFalcons側が低くなっている。
こちらの記事だとColtsがB+に対してFalconsがC-となっているが、
こちらの記事ならColtsのA+に対してFalconsがFと、ものすごく大きな差がついている。逆に
こちらの記事にはほとんど差が見られないが、それでもColtsがC+に対してFalconsがCとやはりFalconsの評価が低い。
個人的には大して高くないとはいえドラフト権が手に入ったのだから、Falconsにとってこのトレードがそれほど悪かったとは思えない。Ryanのタンクにまだガソリンが残っているのだとしたらもったいないという考えはあるだろうが、その可能性はそれほど高いとは思えないし、それにそもそもFalconsの問題はRyan以外のところにもある。この3年間の累計でFalconsのディフェンスEPA/Pは0.066とリーグで27位に位置しており、またランのEPA/Pは-0.156でリーグ29位に沈んでいた。要するにRyan以外の方が彼自身よりよほど問題だったわけで、この段階で残り時間の短いRyanを使い続けても優勝できる可能性は低い。むしろ彼のキャップヒットを早く消化してチーム全体の再建を図る方を急いだ方がいいように思える。
一方のColtsはこれで3年連続でのQB外部調達となったが、正直こちらについてはあまりいい選択をしたとは思えない。実績あるがキャリア晩年に差し掛かっているQBを手に入れるのはRivers以来だが、彼が移籍直前の3年間に0.136のEPA/Pを記録していたのに対し、RyanのEPA/Pは0.089とかなり低い。同じ高齢のQBを手に入れたように見えるかもしれないが、残念ながらRyanはRiversに比べれば劣化バージョンだ。そろそろQB調達方法について見直しが方がいいように思える。
RyanをトレードしたFalconsは続いて
Mariotaと2年18.75ミリオンの契約を結び、まずはベテランQBを1人押さえる対応をした。といっても記事を見ると2年目はオプション扱いで、実質的には1年契約とされている。RANY/Aで-0.03とほぼリーグ平均並みの彼に今後のフランチャイズを任せるつもりはなく、あくまで目先の穴埋め要因としての対応だろう。しばらくはこうしたつなぎのQBで時間稼ぎをしながら、サラリーキャップの改善をまってチーム全体の底上げを進めていくのが望ましいのではないかと思う。
もう1つ、Watsonに振られたのがSaintsだったが、彼らは
Winstonと2年28ミリオンの契約を締結した。彼は昨シーズンもSaintsにいたが、負傷するまでチームは5勝2敗とそこそこの成績を維持しており、Watsonが取れない場合に彼に声をかけるのは想定内と言えるだろう。WinstonのANY/Aはキャリアで+0.18とさして高くはないが、FAのQBたちの中ではマシな方。Winstonとしても改めて別のチームで別のオフェンスシステムに対応するより、慣れたシステムでプレイする方が楽だろう。
とまあ周囲に色々と波紋を広げたWatsonのトレードだが、最初に伝えられたのとトレードの条件が違っていた、という話を
Schefterがツイートしている。Brownsが差し出したドラフト順位は1巡3つの他に実は2022年の4巡(全体107位)もあり、またTexansがWatsonと一緒に出すのは2024年の5巡ではなく6巡だったらしい。つまり最初の報道よりもBrownsの対価は多く、Texansの対価は少なかったことになる。なぜそうしたずれが生じたのか理由は分からないようだが、
NFLのトランザクションワイヤーに載っていたそうなので、こちらの条件の方が正しいのだろう。
地味な動きもある。
BillsはBrownsからKeenumを手に入れ、対価として7巡を送った。TrubiskyがSteelersと契約したのを受け、控えQBとしてKeenumを呼び寄せた格好。一方のBrownsは控え要員としてBrissettとも契約したようで、これでいよいよMayfieldの居場所がないことははっきりした。後はうまく彼をトレードに出せればいいのだろうが、こちらについてはまだ新しい動きはない。
あと残っているQBたちの中で気になるのはGaroppoloだろう。パス成績的には文句なしであるものの怪我が多いという問題点を抱えている彼だが、オフシーズン開始前の時点では確実にトレードされるQBだと見られていた。その彼がいまだに動いていない理由については
色々な見解が出ているようだが、正直長引かせるほど49ersにとっては条件的に悪くなる可能性が高まる。確かにこのオフは色々と大物が動いたせいもあってGaroppoloが目立たなくなってしまっているが、それにしても49ersにとってはあまりよろしくない展開だろう。
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