加えて今は2冊の本を手掛けているそうだ。1つ目は学術的な(つまりHistorical DynamicsやSecular Cycles、Ages of Discordなどと同類の)本で、題名はThe Great Holocene Transformation(完新世の大転換)だとしている。完新世、つまり農業が始まった後の複雑な社会の進化について、Seshatやその他のデータベースを使って各種の理論を系統的に検証する狙いで書かれたものだそうで、要するにこちらなどで雑にまとめている歴史の法則について、もっとアカデミックにまとめるつもりなんだろう。実はTurchinらの研究に合わせてどんな法則が考えられるかについては私自身も文章にまとめているのだが、ロシアのせいでその文章がいつアップできるか分からない状態にある。
ただしこの本は現在査読されている各論文の書き直しなどに合わせて書き直す必要もあるそうで、いったんこちらの執筆は止めるとしている。おそらく自主出版で年末には出したいとしているが、inshallah(アッラーの思し召しのままに)とも言っているので、実際にいつ出てくるかは不明。まあ気長に待つ方がよさそうだ。代わりに今年の前半のうちに仕上げたいとしているのが、一般向けの「近未来史」という本で、ペンギン・ランダムハウスで出版されるそうだが、こちらの本については中身への具体的な言及はない。あくまで個人的な予想だが、Ages of Discordを一般向けに書き直したような内容になるんじゃなかろうか。Turchinの一般向け書物は、例えばWar and Peace and Warはより専門的なHistorical DynamicsやSecular Cyclesを、Ultrasocietyはおそらくこちらで紹介した論文などをわかりやすく説明したものとなっているらしい。であれば次の本の元ネタとして最も考えやすいのはAges of Discordだろう。
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