W杯まとめ

 アメフトワールドカップについて続きを。今回は主にスタッツ関連。まず決勝で日本が敗れた模様は、各クォーターごとの米国のランプレイを見ればよく分かる。

(クォーター、回数、ヤード、YPC)
1Q 4  6 (1.5)
2Q 7 24 (3.4)
3Q 6 29 (4.8)
4Q 7 57 (8.1)

 時間が進むにつれて米国のランが進みはじめ、第4Qに至って日本のランディフェンスが崩れ去った様子がよく分かる数字だ。海外のblog"http://ifafworldcup.blogspot.com/2007/07/united-states-outlast-japan-for-ifaf.html"には"size DID matter"との書き込みがあったが、全くもってその通りと言わざるを得ない。

 大会全体を通じてトータルオフェンストップだったのは日本(計1091ヤード)だが、総得点では米国(計134点)が上回った。パスオフェンスは日本がぶっちぎりのトップ(625ヤード)、レーティングも140.5で日本がトップ、YPAも7.9ヤードで日本がトップ、パス成功率も60.8%でやっぱり日本がトップ。とにかくパスオフェンスでは日本のみが目立っていた。
 ランオフェンスは米国(467ヤード)と日本(466ヤード)がほぼ拮抗していた。ただYPCでは米国5.4ヤード、日本5.0ヤードと差がつく。ランでロスしたヤードも21ヤードの米国が最も少ない。逆にロスが最も多かったのはドイツで125ヤード。韓国は73回のランプレイでゲイン3ヤードにとどまった。オフェンスのプレイ数は日本が173回と圧倒的、2位はドイツ(145回)。オフェンス1プレイあたりの平均獲得ヤードも日本が6.3でトップを占めた。
 オフェンスの時間が最も長かったのはスウェーデンで、3試合合計のタイムオブポゼッションは76分49秒。逆に最も少ないのは米国の60分54秒だ。ほとんどのチームが70分以上攻撃している中で米国の少なさが目立つ。オフェンスのプレイ数自体は全体の3位なので、短い時間にさっさとプレイを始めていたことになる。ただ、1プレイあたりにかけた平均時間という視点で見ると米国(26.5秒)より日本(25.8秒)の方が少なく、最もハリーアップなオフェンスを展開していたのは実は日本だった。他の国は軒並み30秒以上かけており、韓国に至っては39.9秒だ。
 3rd down convは日本(16/32)と米国(12/24)がいずれも5割でトップ。この面でも他国に比べてこの2国が突出していることが分かる。最も低いのは韓国(3/32)だった。
 トータルディフェンスのトップは米国(計375ヤード)だが、総失点では日本(23点)の方が米国(27点)より少ない。パスディフェンスはドイツ(248ヤード)と日本(249ヤード)が拮抗。ディフェンス側から見たレーティングではドイツが62.7とトップで、次は米国(67.5)だった。ドイツの対戦相手のうち最も強かったアメリカのパスオフェンス不調がこうした数値に反映されているのだろう。YPAは3.8ヤードで米国が、パス成功率は38.9%でドイツがトップになった。
 ランディフェンスのトップはこれまた米国。3試合で97ヤードと驚異的な数値を達成した。YPCも1.2ヤードと日本(2.3ヤード)を大きく離して首位だ。相手にロスさせたヤードは実に120ヤードに達しており、アグレッシブさが目立つ。そして、ディフェンスのプレイ数が最も少なかったのはドイツ(117回)だが、最も多かったのは米国(154回)。1プレイあたりの平均喪失ヤードも当然ながら米国が2.4ヤードで最も少なく、次が日本(3.1ヤード)だった。
 ディフェンスの時間はオフェンスと逆で米国が最も長い。ディフェンス1プレイあたりの平均時間は韓国(30.0秒)をはじめ大半のチームが30秒台で、ドイツ(34.6秒)が一番長い。オフェンスと違ってディフェンスは受身になるため、あまり差が出ないのだろう。3rd down convを最も許さなかったのはドイツ(5/29)で、最もダウン更新されていたのは韓国(15/25)。
 ペナルティが最も多かったのはフランス(28回226ヤード)、ファンブルが最も多かったのもフランス(10回)でロストが最多だったのは米国(6回)だ。ターンオーバーレシオは日本と韓国がプラス3でトップ、最下位はフランスのマイナス4。パント回数は最少の米国(5回)と最多の韓国(24回)の間に5倍近い差がある。ドライブ開始地点では米国がほぼ50ヤードと驚愕の数値を叩き出す一方、最も悪いフランスは25ヤード地点だった。

 あとは個人成績。トップクラスの選手だけ紹介しよう。
 まずランではドイツのガイガーが48キャリーで301ヤードを稼いでリーディングラッシャーになった。決勝戦でMVPになった米国のキャスパーバウアーは29キャリーの192ヤードで3TD。トップ10の中に米国選手が3人入り、ランオフェンストップの実力を見せている。
 パス(10試投以上)では日本の冨澤がレーティング156.1でぶっちぎりのトップ。53試投33成功435ヤード、4TDに0intと文句のつけようがない成績である。以下の選手はヤードでも233ヤード(ドイツのウーリッヒ)、レーティングでも106.9(米国のバラード)と冨澤からかなり離されている。
 レシーブで健闘したのはフランスのスマー。14レシーブ177ヤード1TDでリーディングレシーバーになった。ミスの多かったフランスオフェンス陣の中で孤軍奮闘していたと言っていいだろう。こちらは上位10人のうち日本の選手が5人入った。
 トータルスコアは米国のコフィンが29点でトップ、2位に日本の金親(22点)が入っている。パントでは19回蹴って793ヤード、平均飛距離41.7ヤードを稼いだスウェーデンのアルネヴィークがトップで、2位にコフィンが入っている。パントリターン(3回以上)では米国のオドムが3回95ヤード、平均31.7ヤードで、キックオフリターン(同)では米国のオーリーが3回166ヤード、平均55.3ヤードでトップ。米国のSTがどれほど強かったかを示す結果になった。
 サックは1回のみという選手が大勢いるのでパス。インターセプトはドイツのヴァイル、フレミングと米国のキュービアックがいずれも2回記録した。タックルでは日本の東、スウェーデンのルーゲランド、韓国のガン・シンパクとキム・テボンがそれぞれ16回でトップ。ディフェンスプレイの機会が最も多かった筈の米国の選手がタックルの数値でトップに出てこないのが不思議と言えば不思議である。

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