ターチン関連エントリーまとめ

 Jack Goldstoneが見つけ出し、Peter Turchinが広めたStructural-Demographic Theory(構造的人口動態理論、SDT)について、これまでさみだれ式に紹介してきた。様々な時代の色々な国で「エリート過剰生産」をきっかけに周期的に社会政治的不安定性が増す「永年サイクル」が発生する、というSDTの主張については、先進国において社会的分断が激しさを増すであろうというTurchinの予測が的中したこともあり、注目を集める度合いが高まった。
 ただ、当blogでSDTに対して言及しているエントリーの量が増えた結果として、blog内のどこにその情報があるのか分かりづらくなっている面もある。というわけでちょっとリンクをまとめ直してみた。割と基本的な情報に絞って載せたつもりだが、それでもちと量が多いかもしれない。またTurchinらの議論のうち他の歴史理論についての言及はできるだけカットし、あくまでSDTに絞り込んだリストとしている。

 まずはTurchinが記した本や、彼の書いた文章について言及したエントリーだ。

 TurchinのHistorical Dynamicsを翻訳した「国家興亡の方程式」を紹介
 Turchinがblogやメディアに書いたSDTに関連する記述をまとめて紹介
 TurchinのWar and Peace and Warの内容について紹介
 TurchinのAges of Discordについて紹介
 同上
 TurchinがSDTに基づく定量的な予測をしたblogを紹介
 SDTと父―息子サイクルを使った社会政治的不安定性の予測モデル論文について
 TurchinのEnd Timesについてのいくつかの感想
 上記の定量的予測に対しての中間経過として不安定性イベントのデータを検証
 US Political Violence Databaseを使った定量的予測の中間経過について

 またSDTの生みの親であるGoldstoneの本についても以下で紹介している。

 GoldstoneのRevolution and Rebellion in the Early Modern Worldについて紹介

 Turchinらが注目を集めたのは、上にも述べた通り彼らが主張した理論から予測される周期的な「永年サイクル」の動きが現代社会で実際に起きているからだ。特に米国は彼らが予想した通りの社会政治的不安定性に向かっているように見えるが、その流れは別に米国だけにとどまっているわけでもない。実際にSDTの観点から見た最近の動向については、以下の記事で言及している。

 トランプ政権誕生時のエントリーで、Goldstoneが唱えた政治ストレス指数を説明
 新型コロナウイルスの感染拡大時に、疫病とSDTとの関係について説明
 ブラック・ライブズ・マターが拡大していた時期にTurchinが記したblogについて
 2020年にかけての政治ストレス指数の変化を記したプレプリントの紹介
 上記のプレプリントについてさらに詳しく記した
 政治ストレス指数を中国に適用した記事について紹介
 SDTの代理変数ともなっている寿命と犯罪が足元でどうなっているかを記した
 政治ストレス指数をロシアに適用する試み
 別の代理変数を使ったロシアPSIの試算とその問題点について
 永年サイクルの中で中間層が下へと追いやられている現状について

 SDTにおいて社会政治的不安定性をもたらす重要な要因とされているのが「エリート過剰生産」。これについての言及は以下の記事などがある。

 アカデミックな世界でなぜリベラル化が急速に進んでいるかを記した記事の紹介
 メリトクラシーの中で進むエリート内競争について
 中国で進んでいる可能性のあるエリート内競争について
 エリートに占める女性の割合増加がもたらす影響について
 エリート過剰生産と高等教育の増加との関係について
 米国の大学で起きている人文系への学士比率低下について
 過剰エリートのために仕事を作るルンペンブルジョワジーについて
 エリート過剰生産のデータ分析や見解などをいくつか紹介

 SDTから予測される不安定性は社会的、政治的な分野にのみ及ぶわけではない。「永年サイクル」が経済面にどのような現象を引き起こすかについては、以下のエントリーで触れている。

 社会政治的不安定性が増す時代には資本の生産性が低下するという議論を紹介
 不和の時代に入ってくるとともにマネーの流れが変わったとの主張を紹介

 こうした変化は現代に特有のものではない。もともとGoldstoneもTurchinも、歴史の分析を通じてSDTを組み上げてきた。過去の歴史におけるSDT絡みの話についても、以下の記事などで紹介している。

 中世末期と近代初期イングランドの2つの内戦とその位置づけについて
 フス戦争についてSDT的な視点で見た記事
 ローマ帝国末期についてSDTの視点から見た分析を紹介
 ローマ時代の鉛汚染データを使ったSDT的な分析を紹介
 新石器時代のウクライナの遺跡についての記事
 歴史上の疫病とSDTとの関連について記した
 主に三十年戦争の時期における経済動向をSDT的に見た記事
 危機局面の深刻度が低かった歴史上の4事例を調べた研究を紹介
 中世末期から近代までのポーランドの永年サイクルに関する記事紹介
 中世から近代初期のイングランド永年サイクルの理論的分析を紹介
 完新世中期の欧州における人口増減をもたらした原因についての研究
 清朝の永年サイクルについての研究
 歴史上の危機局面と気候変動との関係性を分析した研究

 さらにSDTに関連する他の理論についてもいくつか紹介している。

 Fischerの唱えた価格革命論とSDTの持つ共通点を紹介
 ScheidelのThe Great Leveler(邦題は『暴力と不平等の人類史』)の紹介
 エネルギー消費の推測値を使って帝国の興亡を調べた記事の紹介
 TainterのThe Collapse of Complex Societiesについて紹介
 同上
 Tainderの理論をモデル化し実際の事例と比較した論文の紹介
 Pikettyがエリート内競争を分析したBrahmin Left vs Marchant Rightについて紹介
 PikettyのChanging Political Cleavages in 21 Western Democraciesを紹介
 国際通貨制度の変化についての一説を紹介
 Google English corpusを使った米国のイデオロギーの推移についての研究
 マネージャーたちが支配する資本主義とWokenessとの関係について
 複雑な社会の崩壊と永年サイクルの解体トレンド
 脆弱国家指数(FSI)など他のデータを紹介

 これら以外に経済学101に掲載されているPeter Turchin関連の記事には、彼のblogから翻訳した文章がいくつかある。これらもSDTを理解するうえで役に立つだろう。
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