NFL21 week13

 NFLは第13週が終了。今週最大の注目だったMNFは、酷い強風のせいで21世紀のゲームとは思えないレベルのスタッツ(Jonesのパス3回)でPatriotsが勝った。かくてAFCの第1シードはPatriotsに。まあここはこんな極端なプレーコールをしたPatsのコーチ陣、そして「孫子に学べ」と語っていたBelichickを素直に褒めるべきだろう。
 他のゲームでちょっと関心を集めていたのが、Ravensがゲームの最後にTDで1点差に迫ったところで選んだtwo point conversion。SteelersのTomlinが「アナリティクスが理由」という推測を述べていたが、一方でアナリティクス系の分析だとむしろキックを推奨していたところが目立っていたようで、いったいどんな理由でこのプレイが選ばれたのかと少しばかり話題になった。結論は「怪我でCBがいなくなったから」という、アナリティクスとはおよそ関係ない要因。どうやら「早く終わらせたい」という事情の方が大きかったようだ。
 他には相変わらずちょくちょく発生しているQBの負傷。今週はGiantsのJomesが数週間は試合に出られないと報じられたほか、EaglesのHurtsが欠場してMinshewが代わりに出たり、TNFで負けたSaintsのHillが指を怪我したり。正直、それほど調子のいいQBばかりでもないため、チームへの影響は微妙なところか。
 フィールド外で話題になっていたのはAntonio Brownらに下された出場停止処分だ。どうやら偽のワクチン接種カードを手に入れたそうで、さっそくツイッター上でネタになっていた。Brownのキャリアは正直「トラブルの宝庫」となっており、今回の件ではBucs側が彼との関係を継続するかどうかが不透明になったとの報道も出てきている。
 あっさり袂を分かつことにしたのはPanthersで、OCのJoe Bradyがシーズン途中でカットされた。シーズンもここまで進んでくるとこうした話題が増えてくるのは仕方ない。もちろんシーズン終了時点ではHCやGMでもカットされる人が出てくるだろう。ただ今シーズンはプレイオフ争いが結構もつれているため、早い段階でのカットはあまり多くないかもしれない。
 あとはマニアックな話で、来シーズンのキャップが208ミリオンになりそうだとの報道があった。今シーズンはCovid-19の影響でキャップが減るというかつてない事態が生じたが、これで常態へと復帰するわけだ。いくつかのチームはキャップの調整に酷く苦労していたが、これで一息つける……とは限らないところもあるようだが。

 昨シーズンずっと取り上げてきたが、ルーキー契約QBとの契約延長をどうするかについては、3年目と4年目が終わったところがそれぞれ判断の節目となる。今シーズンもほぼ4分の3が終わったところで、3年目と4年目のQBに関するこれまでの累計実績を改めて見てみよう。まずは4年目である2018年組について、現時点での成績を確認する。数字は左からANY/A、EPA/P、CPOE、DAKOTAだ。

Lamar Jackson 6.79 +0.193 +0.8 +0.120
Josh Allen 6.41 +0.147 +1.5 +0.107
Baker Mayfield 6.31 +0.114 +0.1 +0.087
Sam Darnold 4.92 -0.026 -2.4 +0.024
Josh Rosen 3.04 -0.275 -9.9 -0.026

 彼らのうちRosenは既にルーキー契約が終わっており、ただのFA契約となっている。本人の立場も控えのジャーニーマンであることが確定しているし、成績を見てもそれ以上を期待することはできないだろう。Allenについては前にも述べた通り大型の延長を勝ち取り済み。この時は契約への懸念を述べたが、どうやら今年の成績を見る限りいい意味で期待を裏切ったもよう。トータルで見ても気が付けばJacksonに次いで同期で2番目にいい成績まで伸びてきた。
 問題はまだルーキー契約が続いているJackson、Mayfield、Darnoldだ。このうちJacksonは一見するとWatsonと似たような水準を維持しており、であれば普通に契約延長に踏み切っても問題なさそうに見える。懸念材料は彼のANY/Aが2年目以降、低下を続けている点。Watsonはキャリアを通じて毎シーズン、リーグ平均を上回るANY/Aを残しているのだが、Jacksonは違う。同じような数字であっても、シーズンによっては(今シーズンも含め)平均以下のQBとなっている。実に悩ましい状況だが、それでもこの成績なら契約延長しても違和感はない。変動の激しいQBかもしれないが、当たり年にはMVPを狙えるような選手を手元に残すのは、そうおかしな判断でもないだろう。
 Darnoldはそもそもいまだに先発を張っているのがおかしいので、契約延長はなくて当たり前。5年目オプションを使ってしまったPanthersはご愁傷様だ。そしてMayfieldだが、彼の4年目成績はWinstonよりは下で、およそMariotaの前後といったところ。彼ら両名が5年目限りでチームを去ったことを考えるのなら、Mayfieldについても慌てて契約延長をする必要はあるまい。平均レベルのQBってのはBrowns的には珍しい存在かもしれないが、優勝を目指すのなら最も嵌ってはいけない「煉獄QB」なのだから。
 続いて3年目である2019年組だ。

Kyler Murray 6.38 +0.140 +1.9 +0.106
Gardner Minshew 6.47 +0.065 +0.1 +0.069
Drew Lock 5.33 +0.031 -4.4 +0.031
Daniel Jones 5.28 +0.014 -1.7 +0.040
Dwayne Haskins 4.20 -0.117 -5.1 -0.004

 実はこれらのうちHaskinsは既にルーキー契約が終わり、新たにSteelersと契約しているため、先行きに悩む必要はない。成績的にもそうだろう。Minshewも既にEaglesにトレード済みであり、しかも1巡指名でないため5年目オプションについて考える必要もない。ANY/Aは高いがEPA関連の成績は地味の一言であり、単純に控えとしての契約延長をするかどうかだけ考えればいい。
 2巡のLockもオプションを考える必要はないし、既に先発の座をBridgewaterに奪われているため、普通にルーキー契約が終わればさよならか、あるいは控えとしての契約にとどめて終わりだろう。そのLockよりもさらに低空飛行を続けているJones(1巡)についても、そろそろ本気で見直しが必要な気がする。少なくとも5年目オプションの行使は論外だ。売れるものならDarnoldのように他のチームにトレードで差し出し、少しでもドラフト権を回収するのに力を入れたほうがいいんじゃなかろうか。
 というわけでこの年のドラフトでまともに契約延長を考える必要があるのはMurrayのみ。彼の現時点での成績は実はWinston程度だが、Allenの3年目終了時点とも似ている数字であり、またAllen同様に3年目で花開いたことまで考えるなら、普通に5年目オプション行使まではやっておくべきだろう。ただし今年のMurrayの成績を見ると実は3rd down以降の数字が傑出している一方、1st, 2nd downはそこまで素晴らしい数字ではない。Allenに比べるとツキの要素が強いため、Allenのように3年目終了時点で長期契約まで突き進むのは控えた方がいいように見える。
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