NFL21 week11

 いやそれにしても今年は混沌。NFLの第11週は、先週に比べればアップセット度合いは少なかったものの、AFCトップシードとNFCトップシードの双方が敗れるという、これまたなかなか派手な展開になった。また得失点差でリーグトップだったBillsがColts相手に大敗を喫し、気が付けばPatriotsが得失点差でトップになっている有様(ついでにAFC東でもトップ)。シーズン中盤になって、さらにカオスさが増している。
 ゲームとしてもっと驚きだったのはアウェイのTexansがTitans相手に9点差で勝った試合だろう。Texansは久しぶりにTyrod Taylorが先発復活したのが効いた、わけではなく、TitansのTannehillが4インターセプトとやらかしまくったのが原因だ。彼のEPAは-9.2と、彼のプレイだけで得失点差が説明できてしまう状態。4IntはDolphins時代を含めておそらくキャリア初であり、これだけターンオーバーをしてしまえば負けるのも仕方ない。
 Packersの敗北は3点差であり、相手がQB成績はいいCousinsを抱えているチームであることまで踏まえるのなら、そこまで意外感はない。Rodgersのプレイはむしろ好調と言っていいほどで、この試合はCousinsが上回ったと見るべきだろう。というか両者のEPAはRodgersが23.6、Cousinsが25.1とどちらも圧倒的で、むしろ「両チームともパスディフェンスがダメ過ぎた」という方が正しいかもしれない。ちなみにRodgersはつま先を痛めているという。
 トップシードではなかったがBillsの負けっぷりも酷かった。こちらもAllenとTrubisky合わせて3つのインターセプトが効いたように見えるが、EPAで見ればAllenは-0.3とほとんどゼロ近辺であり、そこまで酷くゲームを壊したわけではなさそう。その割に大きな点差がついたのはTaylorにランで12.4ものEPAを稼がれたのが理由。Billsのディフェンスはランでもパスでも強いとの評判だったが、一体何が起きたのやら。
 一方QBの負傷は明暗が分かれた。引き続きMurrayが出られないCardinalsは控えのMcCoyで危なげなく勝利。病気でJacksonが欠場したRavensは控えのHuntleyで際どいながら勝利を得た。一方、彼らの対戦相手だったBearsではFieldsが負傷により交代。Goffの負傷でプロ初先発のBoyleを使うことになったLionsも敗れた
 まだWilsonが戻ってこないJetsはFlaccoを出したが、こちらも敗北した。契約からほとんど間を置かずにPanthersの先発に復帰したNewtonだったが、今週は勝てず。彼自身はそれほど悪くなかったようだが、Heinickeが今週は絶好調だったために及ばなかった。
 そして、ある意味Super Bowlを占うゲームになるのではと期待されたCowboysとChiefsのゲームは、随分と地味な結果に終わった。負けたPrescottのEPAは-14.5、勝ったMahomesも-10.2と、どちらもリーグを代表するQBとしては物足りないを超えて残念なレベルの数字。特に最近になってMVPレースでも有力候補となっていたPrescottがこの状態なのは、今年のカオスっぷりを示す分かりやすい事例と言えよう。

 NFLのアナリティクス関連のうち、EPAについてデータを取る際に使えるサイトとしてはこちらがある。Stats landing pageにはチームやQBのEPAの現状を調べられるページもあるし、個別の試合についてEPAで分析したBox Scoreもチェックできる。逆に伝統的なスタッツについてはほとんど取り上げていない点には注意が必要だ。
 もう一つ、最近見つけたのがNFLfastR Play Indexというサイトで、特にメインとなっているのがIndexというページ。見れば分かる通り、一定の条件を入れて選手やプレイを並べることが可能だ。例えば11月初旬時点の数字だが、第4Qに積み上げたWPAの数値を見ると、トップにHerbert、2番手にJonesという若手QB2人がワンツーで並んでいる。データは1999シーズンまで遡れるようで、こうした色々な切り口で数値を調べるのに役立ちそうだ。ただし、他のサイトと数字が違っているケースもある。
 母数の少ないデータは面白いエピソードにはなり得ても意味がある統計にはなりにくい。第4Qに絞ったデータだとか、3rd downに限ったデータのようなものに過重な意味を持たせるのは間違いだ。ましてWPAは残り時間や点差といった状況の差によって大きな影響を受ける指標。ここで上位に出てくる選手は、単にゲーム終盤までもつれた試合をしがちなチームに属しているに過ぎない、とも言える。大量点差で勝っていることが多いBillsやCardinalsのQBは、このランキングではあまり上位に入ってこない。
 もう少しデータ数の多いものとして、例えばAir EPAなるものを調べることもできる。第10週までの時点で、今シーズンのEPA/P全体で見るとStaffordがトップなのだが、このデータだとStaffordは5位にとどまり、トップはルーキーのFieldsだ(125プレイ以上のQB33人が対象)。Jacksonが3番手、Mayfieldが4番手に入るなど、どのQBたちがロングパスで稼いでいるのかが浮かび上がってくる。逆にGoffやCousinsは下位に沈んでおり、そしてこれまた意外感があるのだがMahomesは29位にとどまっている。
 だがそれより興味深いのは、歴史的なデータを調べられる点だろう。1999シーズンまで遡って見た場合、どのシーズンのどのチームや選手が最も優れたEPAを残したのかが分かるわけで、これは調べてみない手はない。
 まずはQBのEPA/Pが高かったシーズン(250プレイ以上)。歴代最高の0.432を記録したのはやはり2004シーズンのManningだ。それに続くのが2007シーズンのBrady(0.429)、そして2011シーズンのRodgers(0.423)となっており、やはりこの3人は突出したQBであった様子が窺える。一方、最近のQBだと2019シーズンのJackson(0.351)は8位、2018シーズンのMahomes(0.348)は9位にとどまっており、彼らはまだ上の3人に及ぶほどの水準に達していないようだ。
 もちろん変なデータも紛れ込んでくる。2013シーズンのJosh McCownが0.366で5位に入っているのが一例。といっても彼のプレイ回数は256回と下限ギリギリであり、要するに母数が少ないための極端な数字が出たのが理由。下限の数字を少し上げればこの年のトップはManning(0.363)になる。
 個人ではなくチームで見るとどうだろうか。オフェンスのEPA/Pが最高だったのは2007シーズンのPatriots(0.229)であり、次が2004シーズンのColts(0.198)となる。2018シーズンのChiefsは3位(0.194)に入っており、QBの順位とは少し違いが現れている。また5位に2011シーズンのPatriots(0.185)が入っているのは少しばかり意外。それでも全体としてオフェンスが強かったと言われる年のチームが上位に並んでいる印象はある。
 ただしこれがディフェンスになるとかなり話が変わってくる。ディフェンスは数字が小さいほど優秀なのだが、トップに顔を出すのは2019シーズンのPatriots(-0.193)だ。2番手には有名な2000シーズンのRavensが入ってくるのだが、数字は-0.164とかなり1位と引き離されている。EPA/Pで見る限り、Boogeymenはこの20年ちょっとの中で実は最強ディフェンスだったわけだ。
 でもそんな印象はあまりない。2位のRavensのみならず、3位の2006シーズンBears(-0.160)、4位の2002シーズンBuccaneers(-0.152)のように、ディフェンスの力でSuper Bowlまで勝ち上がることができなかったのが理由だろう。5位の2017シーズンJaguars(-0.151)もAFCのChampionshipまではたどり着いたのに、2019Patriotsはプレイオフ初戦で敗退している。やはりプレイオフの結果は実態以上に強い印象を残すと考えられる。
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