NFLは第10週が終わり。いよいよ後半戦に本格突入したわけだが、引き続きアップセットが多い。TNFでは
2勝のDolphinsが2敗のRavensを相手にダブルスコアで勝利。怪我でバックアップに回っていたTagovailoaが先発Brissettの負傷でプレイを引き継ぎ、チームを勝利に導いた格好だ。ただしQBRを見る限りそれほど大活躍した印象はない。むしろRavensのオフェンス不振の方が目立っている。
他にも細かいアップセットがいくつかあり、結果として今週もまたアナリティクス系ランキングで大きな変動があった。
FiveThirtyEightのEloではついにTitansがトップ、Packersが2番手と、なかなか予想外な並びになっている。上位にいたCardsやBucs、Rams、Ravens、Chargersなどが大幅に評価を下げた一方、大勝したChiefsとPatriotsがそろってトップ10に顔を出すなど、激しい入れ替わりが生じている。一方、
ESPNのFPIではCardsやBucs、Ramsなどはそこまでランクを落としてはいない。ただRavensは3つランクを下げているし、実は
Wilson復活にも関わらず完封負けだったSeahawksの下げの方が大きい。上げが目立っているのはPatriotsだ。
彼のEPAを調べるとルーキー年だった2014シーズンは66.9でレシーバーとしてはリーグ6位、その翌年は96.3でリーグトップと、間違いなくエリートWRだった。2016シーズンにも46.2で18位とトップクラスの成績を残したものの、これが現時点では彼の全盛期の最後だった。この後、彼がトップ100以内に入れたのは2018シーズンの35.9(34位)だけで、あとは冴えない成績にとどまっている。特に2020シーズンは162位、今シーズンは第9週時点で165位と、かなり凡庸な数字にとどまっている。
もっと重要なのはEPA/Pだ。こちらで見るとBeckhamの全盛期はさらに短く、2015シーズンまでとなる。ルーキー年のEPA/Pは0.475でリーグ10位(80プレイ以上)、翌年は0.557でリーグ4位になったのだが、2016シーズンにこの数字は0.253で39位に低下。2017シーズンは80プレイに達していないが、数字的には39位と40位の間にあり、2018シーズンは0.268の34位となっている。
それでもGiants時代はまだマシ。Browns時代になると2019シーズンが0.084の63位、プレイ回数の少ない2020シーズンが59位相当で、2021シーズンも同じくプレイ回数は少ないが65位か66位のあたりに位置している。2014シーズンからの累計では0.247となり、500プレイ以上のレシーバー52人中34位にとどまっている。具体的に言えばKyle Rudolphの下でNelson Agholorの上というポジションだ。Jones(0.460の5位)やThomas(0.451の6位)といった本当の一流WRたちに比べれば、これまた凡庸な数字である。というか実のところ、Ramsに解雇されたJackson(0.398の9位)よりもかなり低い。
キャリアトータルだけでない。今シーズン(第9週まで)の数字を見ても、JacksonのEPA/Pは0.636あるのに対し、Beckhamは0.116と大きく下回っている。もちろん半シーズンの数字だと母数が小さすぎてあまり参考にはならないが、それにしてもJacksonを切り捨ててBeckhamを取りに行った狙いは正直よく分からない。Ramsの選択はこれで正しかったのだろうか?
Beckhamは基本的には凡庸なWRであるか、さもなくば早々に燃え尽きてしまった選手なのだろう。最初の2~3年がたまたまよかったのか、もしくは当時はそれが実力だったがその後ですぐに衰えてしまったのか、そのどちらかだと思われる。
派手なハイライトリールのおかげで過大評価されているが、実力はもっと下なのではなかろうか。だとすれば
2年前のGettlemanの判断は正しかったわけだ。
なおBeckhamは第10週のMNFに早速参加したが、EPAはトータル-1.0と地味な数字で終了。1試合で結論を出すわけにはいかないが、現時点では予想通りの結果だ。そりゃ
こうやって煽られるのも仕方ない。
それでも、以前のNewtonの契約よりは安い金額で、まだ32歳で実績があるQBを手に入れることができたと考えれば、シーズン途中の緊急事態対応としては悪くない。Newtonにしても
ワクチンを打ったかいがあったというものだ。ただどちらにしても、シーズンが終わった後にはきちんと方向性を見直す必要があるんだろう。
スポンサーサイト
コメント