NFL21 week8

 NFLは第8週が終わり。例年だとここでほぼ半分の印象があったのだが、今年はまだ折り返しているチームはいない。どうも17試合という微妙なスケジュールにまだ肌感覚がついていっていない印象がある。慣れるまでには数年かかるのかもしれない。
 今週も負傷で欠場したQBが出てきた。NFCでトップシード争いをしているチームだけにここでのPresccott欠場は痛いと思っていたが、控えのCooper Rushが最後に逆転劇を決めて1敗を守るというなかなかドラマチックな展開になった。日本で選挙があったせいか、こんなツイートもあった。
 試合中に負傷して引っ込んだのはSaintsのWinston。急遽試合に出たのはSiemianだったが、これまた昨シーズン優勝のBuccaneers相手にまさかの勝利を収めた。Pick 6がなければもっと僅差の試合だったが、それでも控えQBでこの結果はチームにとっては大満足ではなかろうか。残念ながらWinstonはシーズンエンドになってしまったが。
 あとFlaccoをわざわざトレードしたJetsだったが、今週先発したのは控えのMike White。そして彼は400ヤード超を投げてゲームに勝ってしまった。ターンオーバーレシオでマイナス2という状態も踏まえるならかなりツキに恵まれた結果なのだろう。今シーズン勢いに乗っているBengals相手だけに、チームとしてはほっと一息入れられる勝利かもしれない。ファンからも驚き?喜び?の声が上がっている。
 控えが頑張ったチームとしてはSeahawksもある。Geno Smithは2つのTDパスを決め、高いQBRも記録した。彼がスタートしたゲームを勝利のまま最後まで務めたのは、実は2014シーズンの第17週まで遡るという。むしろこれだけ長く現役にしがみついていた方に驚くべきかもしれない。これでチーム状況が一気に改善するわけではないだろうが、少しばかりの光明だろうか。日曜日はバックアップQBのリベンジデイだった
 TNFでのPackersの勝利で全勝チームは姿を消した。NFCではそのPackersとCardinals、Ramsが7勝1敗で並び、AFCでは6勝2敗のTitansがトップにいる。逆に全敗のLionsは今週も勝てず。1敗で踏ん張っているRamsと比べ、シーズン前のトレードの結果は見事に明暗が分かれている。Lionsに続くのは1勝7敗のDolphinsとTexansで、どちらも現時点で7連敗。なかなか厳しい状況だ。

 ゲーム以外で大きなニュースと言えば、何といってもMillerのトレードだろう。Ramsは2022年の2巡と3巡をBroncosに渡し、代わりに3回1st-Team All-Proに選ばれたEdgeを手に入れた。前々から言われていたが、Ramsはいよいよ今年に全力を投入するつもりらしい。来年以降は視野に入っていないかのような行動に見える。
 Over The CapのFitzgeraldは、こちらのエントリーで32歳のMillerについて、1シーズンまるごと棒に振った後もBroncosが彼を手元に残したのは、トレードに使えるからという狙いもあったのではないかと指摘している。普通のトレードであればMillerの対価に相当するのは5巡か6巡というのがFitzgeraldの見解であり、交換で手に入れる2巡と3巡は「とてつもなく大きなリターン」という評価だ。
 もちろん対価は払う。RamsにはMillerをそのまま受け入れるだけの十分なキャップスペースはない。そのためBroncosは今年の残りサラリーの大半をボーナスに変えて自分たちで負担している。つまりRamsは来年のドラフト権を売って足元のキャップスペースを買い取る、という取引をしたわけだ。こうしたキャップスペースとドラフト権の取引としては、昔あったOsweilerのトレードが有名だが、Fitzgeraldによれば他にも似たような例はあるようだ。
 トレード期限直前にこうした取引が成立した点からは、両チームの現在置かれた状況も関係している様子がうかがえる。Ramsにとって今年は優勝の機会が高そうに見える。であれば将来を犠牲にしてでも、足元のロースター貢献度を高める方に力を入れるべきと判断したのだろう。一方、Broncosは今のところ4勝4敗の勝率5割。プレイオフにたどり着けるかどうかの境界線上にあるため、今年頑張るメリットが薄れつつある。契約最終年のMillerをトレードする最後のチャンスである点も踏まえ、足元より将来を重視したトレードに合意したのだろう。
 一方、Watsonは結局トレードされなかった。こちらもFitzgeraldが指摘していた通り、やはりトレードは簡単ではなかった。あとはHenryが手術をしたのを受け、TitansがPetersonと契約したのが話題になっていた。

 今年のルーキーQBの現時点での実績は引き続き冴えないのだが、QBがNFLでどこまで通用するかを判断するにはどのくらい時間をかければいいのだろうか。この問題はなかなか難しい。基本的には丸2年(32試合)というのがこれまでの判断だったが、Josh Allen(最初の2年はRANY/Aが-10.7)のように、3年目でリーグトップクラス、4年目もトップ10以内という選手もいる。別に彼が特殊というわけでもなく、例えばAikmanの最初の2年はRANY/Aで-1.72とAllenより酷かったし、Elwayだって最初の2年のRANY/Aは-0.54だった。
 もちろん、何事にも数は少ないながら例外はあるわけで、彼らはその例外だったと見なすことも可能。判断を下すには、特定の選手のみに焦点を当てるチェリーピックに頼るのではなく、もっと満遍なくデータを調べた方がいいはずだ。で、そうした面からヒントになりそうなのがBen Baldwinが第7週終了後に行ったこちらのツイートに載っている散布図だ。
 見ての通り、2011-21シーズンにおいて、各QBの「最初の200プレイ)のEfficiencyについてまとめている。X軸はCPOE、つまり期待値と比べた実際のパス成功率であり、Y軸はEPA/Pだ。見ての通り、全体として右肩上がりの分布になっており、パス成功率の高いQBほどEPA/P、つまり1回のパス当たりの得点期待値追加分が高い様子が窺える。右上ほどDAKOTAが高く、左下は低いとも言える。
 散布図に載っているのは、あくまでプロ入り最初の200プレイの実績だ。例えば今シーズンのQBのDAKOTAで見れば左下にいるMillsなどは、この散布図では真ん中より少し右と高い評価になっている。まだ100プレイにも達していないLanceの位置は左側だ。一般的に今年のルーキーQBについてはJones以外は厳しい評価が目立つのだが、このグラフを見るとそこまで極端に左下に集まっているわけではない。
 問題は左側にいるメンツの名前。確かにJosh Allenはこちらにいるのだが、Baldwinは「全てのJosh Allenごとに、10人ものTim Tebow、Mitch Trubisky、Sam Bradford、Josh Rosen、Blaine Baggertなどなどがいる」と指摘している。初期の時点で振るわなかったQBが後から花開く例はないわけではないが、その裏には圧倒的多数の「全く花開かなかった例」があふれている、というわけだ。
 さらにデータを「最初の400プレイ」に増やした事例がこちら。この基準で見てもAllenは左寄りにいるが、極端な左ではない。一方、右側には当たりのQBが多いのは確かだが、Griffin、Kaepernick、Kessler、McCarronなどの外れQBもいる。全体的な印象だが、左下はほぼ外れと見て問題ないのに対し、右側のQBたちは「当たるも八卦当たらぬも八卦」といった感じだ。
 Baldwinは第8週の後にもデータを更新した散布図を載せている。やはり今年のQBたちのうち右上に最も近いのはJonesで、EPA/Pでルーキー平均を上回っているのは彼とLance(ただしこちらはプレイ回数が少ない)。あとCPOEではMillsが頑張っているが、他の面々はルーキー内でも左下に入っている。ルーキーとしてはそれほどひどくはないものの、現時点では豊作年には見えない状況だ。
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