NFL21 week2

 NFLは第2週が終了。以前はよく「2連勝だとプレイオフ出場確率がいくら」「2連敗だとSuper Bowlに勝つ確率は極めて低い」といった話が出ていたのだが、今年からシーズン17試合に増えた分だけ2試合終了時点での結果は以前よりも小さめに評価すべきだろう。それでももちろんこの話をネタに使う人はいる。というわけでこちらでもネタとして取り上げよう。
 現時点で2連勝しているのはAFCではRaidersとBroncos、NFCではCardinals、Rams、49ers、Panthers、Buccaneersの計7チームだ。正直AFCの2チームはどちらも予想外、NFCでは強豪揃いの西地区とBucsはともかく、Panthersは意外だと思っている人が多いだろう。もちろんこれだけでチームの評価が大きく変わることはなく、例えばESPNのFPIでは上位に1勝1敗のChiefsとBillsが並んでいたりする。現時点での勝率で安易に判断してはならないという意見なのだろう。
 逆に2連敗となったのはAFCがColts、Jaguars、Jets、NFCがFalcons、Vikings、Lions、Giantsとこれまた7チームある。意外感があるのはColtsとVikingsあたりだろうが、前者の第2週は最後になってFGで引き離された際どい敗北だし、後者に至っては2試合での点差が合計たったの4点しかない。実力で負けたというより不運に見舞われた面があるのは確かだろう。ただし、不運だろうが実力だろうが終わってしまえば負けは負けであり、その結果は変えられない。これから盛り返すとしても、スタート地点が後ろに下げられた格好であり、なかなかその点はつらいところだ。
 一方、それ以外の5チームについては想定できる範囲だろう。うち2チームは新人QBが先発をしているくらいであり、現在チーム再建中なのは否定できない。彼らの場合はどこまで予想を覆せるかがこれからの課題なのだが、2試合の得失点差がマイナス49になっているFalconsをはじめ、現状ではなかなか先の展望があるように見えない数字が並んでいる。もちろん母数の少ない2試合時点の数字を過大評価してはいけないが、シーズン前の評価も含めるとあまり明るい気分にはなれないところ。
 EPA/Pで見ると事態はもう少し複雑だ。2連勝チームの中では特にBroncosとRamsが傑出しており、1敗チームの中ではChiefsもさることながらEaglesの内容がいい。逆に連敗は免れているが内容がかなり悪いのはDolphins。連敗したJaguars、Jets、Lionsあたりよりも悪い数字になっており、彼らより下にいるのはFalconsだけだ。

 母数云々とは関係なく、明白にマイナスと言えるのは怪我だ。本人にとってもチームにとっても怪我は痛い。特に今年のNFLでは新天地で再起をかけるベテランが相次いでシーズン序盤から負傷に見舞われている。
 開幕週で臀部に怪我をしたFitzpatrickはIRに入った。どうやら手術は行わず、リハビリで復帰を試みるそうで、復帰には8週間ほどかかるとされている。とりあえず今週は控えのHeinickeで勝つことはできたが、彼の成績次第ではFitzpatrickの復活が待ち望まれることだろう。
 次に負傷したのはDalton。前半に膝の怪我で引っ込んだ彼は、試合には戻ってこなかった。代わって出場したルーキーのFieldsの数字ははっきり言ってDaltonより悪かったが、それでも試合はBearsの勝利。彼らのディフェンスの方がBengalsのディフェンスより良かったのが勝因であり、正直Fieldsのおかげで勝ったようには見えない。チームは健康であればDaltonを先発させるつもりだという。
 同じく復活を図るベテランTaylorも、ハムストリングの怪我で早々にゲームから去った。さすがに控えのDavis Millsでは厳しかったのか、Texansはこのゲームに敗北。明らかに冴えないDaltonとは異なり、Taylorは絶好調だっただけに悔しいところだろう。彼は数週間は試合に出られず、IR入りする可能性もあるという。
 ColtzのWentzは第4Qの終盤で足首を捻り、試合から退いた。3点差を追いかける展開だったColtsは昨年ドラフトのJacob Easonを投入したが、インターセプトを食らって万事休す。対戦相手のStaffordに比べればWentzの成績も冴えない状態だったため、彼がプレイを続けて勝てたかどうかは分からないが、これで2連敗となっただけにこちらも残念なところだ。第3週に出場できるかどうかは不明
 ベテランとは言い難いが2年目のTagovailoaも負傷した。こちらは第1Qの出来事で、骨折はしていないが痛みが厳しいそうで月曜日にMRIで調べるという。代わって出てきたのはColtsから来たBrissettだが、成績は惨憺たるもので試合は一方的な敗北。正直Tagovailoaの数字は昨シーズンからずっと冴えないままだが、Brissettも大した実績があるわけではなく、チームにとってはつらい場面だ。

 それ以外の「今シーズンに新天地での再起をかけたQBたち」の成績を見ると、期待以上に頑張っている連中が割と多い。代表例の1つがBroncosのBridgewaterだ。2試合で実に77%ものパス成功率を記録し、ANY/Aでもトップ10に顔を出している。Broncosの2連勝にはディフェンスの貢献度がかなり大きいのは確かだが、それでもBridgewaterが勝利に寄与しているのは間違いないだろう。
 そのBridgewaterをトレードで放出し、Darnoldに賭けたPanthersも現時点で2連勝。このトレードについてはシーズン前に疑問符をつけておいたのだが、今のところDarnoldはいい意味で期待を裏切っている。ただしPanthersの勝利もまたリーグ最少失点を記録しているディフェンスに頼っている面は否定できない。
 同じくトレードでQBを交換した2チームは、これまた対照的な成績になっている。Ramsが2連勝でStaffordがANY/Aでもリーグトップクラスの成績を残しているのに対し、Lionsは2連敗となりGoffの数字はリーグ平均にとどかない水準だ。もっともこの結果が予想外という人はあまりいないだろう。Ramsの方がたくさんのドラフト権を付けて交換したのだから、このくらいの結果を出してくれないと困ると思う。
 そして厳密には「新天地」ではないが、今年からSaintsで先発の座に座ったWinstonは、1試合目と2試合目で対照的な成績となった。成績の変動が激しい点こそ彼の特徴だし、その意味ではのっけから彼らしさ満開のシーズンとなっているのだが、チームとしてはもっと安定してもらわなければ困るところ。新天地でプレイしているベテランとは、言い方を変えれば「崖っぷちで最後の勝負に出ているQB」とも言えるわけで、この不安定さが続くようだとよくてFitzpatrickコースだろう。
 それでも活躍を期待されるベテランQBがこれだけいるシーズンってのもなかなか珍しい。ほとんどの場合、よそから連れてきたベテランが先発するのは「いいQBがドラフトできなかったので仕方なく」というケースが多いのだが、足元では以前より積極的にルーキーQBを上位指名し、かつ早めに彼らを試す流れが強まっているため、そこそこのベテランが余りやすくなったのだろう。なにしろいまだにNewtonが次の仕事をもらえないレベルだ。さすがに今週の怪我人続出で、本来なら先発に値しないQBの緊急登板も増えると思うが、こればっかりは仕方ない。
 もしかしたら今後も、少なくともシーズン開幕時点では、それなりのベテランによってQB需要がある程度は満たされる流れが続くのではなかろうか。どのチームもルーキーを試すことにためらいがなくなりつつあり、一方で平均レベルのQBを早々に見切るチームも増えている。ドラフトでQBを指名できそうにない場合は、リーグ平均並みのQBをどこかから拾ってきて投入するのが以前より簡単になっている。こうした市場の変化は、チーム作りの在り方にも影響を及ぼすかもしれない。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント