Allen契約

 BillsがJosh Allenと大型の契約延長を行った。6年258ミリオン、1年平均だと43ミリオンの契約で、うち保証額は150ミリオン、契約署名時に100ミリオンは完全に保証されているという。契約最終年は2028年となり、Billsが完全に彼にコミットする方針であることがこれで明らかになった。
 契約の詳細はこちらのツイートなどを参照。興味深いのは2022年のオプションボーナスで、サイニングボーナス同様にキャップ上はこちらも5年に分けて均等配分する仕組みとなっている。配分開始は2022年からだが、契約署名時点でこちらのボーナスも完全に保証されており、実質的にはにサイニングボーナスのキャップ負荷を少しでも先延ばしするための手法なのだろう。
 Over The Capに載っている彼の契約を見れば、2025年あたりがこの契約における1つの境界線になっている様子が分かる。キャップヒットが最大になる年であり、一方でこの年から解雇に伴うキャップヒット削減効果が一気に大きくなる。2024年まででAllenとの契約を終えた場合、Allenがもらえるキャッシュはおよそ125ミリオン、年平均なら31ミリオン強になるわけで、期待外れなら4年経ったところで解雇すれば実はそれほど高い契約ではない、ようにも見える。もちろん、そんな都合のいい計算は成り立たない。
 実際にはAllenのルーキー契約&5年目オプションが計44ミリオン強だったことを考える必要がある。このうち最初の3年で彼がもらった18ミリオン弱を引くと、2021-22シーズンは24ミリオン強で契約できた計算。もしAllenを2024シーズンいっぱいでクビにした場合、2年の契約延長を100ミリオンで買い取ったことになる。コスト的にはむしろ割高という計算だ。しかし、彼との契約がもっと長続きすれば、今度はそれだけチームにとってプラスが増える。
 Over The Capに載っているThoughts on Josh Allen’s Monster Contract with the Billsによると、この契約は全体としてチームにとって上手く働くものだそうだ。Allenが32歳になるまで彼を手元に置くことが可能になったわけで、QBがキャリアのピークを迎える前に再度、サラリー交渉をする必要がなくなるからだ。だが一方で「事態がうまく行かなかった場合、Billsには多大な負担がのしかかる」とも書いている。目下のところ、心配すべきなのはまず後者だろう。

 そう、この契約はBillsにとってギャンブルだ。以前Wentzの契約について指摘した時と、状況はあまり変わらない。Allenの3年間の成績を見ると、DAKOTAは0.095(750プレイ以上のQB35人中20位)、EPA/Pは0.131(20位)、CPOEは0.5(16位)であり、RANY/Aは-0.04とまさにリーグ平均並みだ。この3年間におけるプレイ回数2026はリーグでも8番目に多く、それだけこれらの数字は素の実力を示している可能性が高い。以前こちらでも指摘した通り、5年目オプションにとどめる方が適切に見える数字だ。
 とはいえ、Wentz相手にEaglesが大型契約を結んだ時よりはマシに見えるのも確かだ。Wentzは明らかに再現性の乏しいデータに基づく数字を根拠に契約延長を勝ち取っていた。AllenはWentzよりこのあたりの数字はまともに見える。加えてWentzが高い成績を残したのがキャリア2年目だったのに対し、Allenは3年目。その分だけ、順調に成長を続けた結果として足元の数字があると主張しやすい。
 それでも私はこの契約延長がハイリスクだと思う。何より、彼の年平均43ミリオンという数字は、キャップに占める比率が実に23.6%と、Mahomesの契約を超えて過去最高に達しているのが問題。もちろん今シーズンのキャップは特殊要因によって減っているため、この数字を額面通りに受け取るのは拙いが、それでもかなりキャップに対して負担の大きい契約なのは間違いない。この数字がでかい現役QBは彼以外にMahomes、Prescott、Watsonがいるのだが、この4者の中で実績が最も劣るのはもちろんAllenである。
 昨シーズン、Allenがレギュラーシーズン16試合中に対戦相手の平均ディフェンスANY/Aを下回るパスしか残せなかった試合は、実は7試合もあった。彼の成績は一部のチームを相手に極端に高い成績を残すことで達成できた面があり、安定して高い数字を残したわけではない。ちなみにMahomesは15試合中、相手の平均ディフェンスANY/Aを下回ったのは2試合しかない。Mahomesに比べるとずっと安定感に欠ける選手に、Mahomesより高い割合のキャップヒットを投入するわけで、これがハイリスクでないわけがない。
 Billsは母数の大きな過去3年の実績ではなく、昨シーズン1年だけの実績にそれだけの資源を投入する決断をしたわけだ。もちろんこれが当たりになる可能性はある。でもその可能性の方が高いかと言われれば、正直そうは思えない。彼が一流のQBになるのと同じくらい、彼が昨シーズンのWentzのようなダメQBになる確率はあると思う。もしWentz同様に5年目終了時にトレードせざるを得なくなった場合、彼のデッドマネーは55ミリオンを超えてしまう。
 だがそれよりも可能性が高いのは、Allenが平均的なQBとしての成績を残す可能性だろう。この場合Billsは、Staffordに延々高額のサラリーを払い続けたLionsと同じ道筋を歩むリスクを抱え込むことになる。むしろこのケースこそチームにとっては最悪だろう。凡庸なQBに一流QBのサラリーを支払うことで他のポジションの強化ができなくなり、チーム成績は5割前後をうろうろする。そういったQB purgatoryに足を踏み入れようとする直前、なのかもしれない。
 私がBillsファンなら、今のフロントを速攻でクビにした方がいいんじゃないかと思うだろう。契約を1年遅らせるよりは安く上がると想定しての契約延長だろうが、リスクの大きさに比べて得られるメリットが釣り合わないように見える。こうした行動を取る場合、おそらくGMがこれまでの実績から尊大になっている可能性がある。自分は決して判断を間違えない、という傲慢な考えがその脳裏を占めつつあるのだろう。そういうGMに任せていては、むしろ将来に禍根を残す。後はとにかく神に祈る。Allenが当たりなら、GMが勘違い野郎であっても何とかなるだろうからだ。とにかくすべてはAllenにかかっている。怖い賭けだ。

 そのAllenの前のギャンブル事例であったWentzは足の手術を決断した。当初は手術はせず、リハビリで何とかするとの報道があったのだが、結局はシーズンに間に合わないリスクを冒してでもきちんと治すことにしたようだ。
 復帰が先延ばしになれば、来年のEaglesに渡すドラフト権が1巡になる可能性がそれだけ低下する。一方で今のColtsのQBデプスを見ると、Wentz以外は彼より実績の乏しい選手ばかりであり、今シーズンのColtsの成績が落ち込むリスクがそれだけ高まる(この点はEaglesにとってはプラス)。正直、ColtsはさっさとRiversに復帰を要請した方がいいような気もするんだが、そうなるとWentzの復帰後にQBをどうするかという問題が生じそう。個人的には今でもRiversの方がWentzよりマシなQBだと思っているが、本当にそうならColtsにとってはややこしくなりそうだ。
 一方で2年ぶりとなるプレシーズンゲームが始まった。もちろんプレシーズンは個々の選手の力を見る場所であり、勝ち負けに意味はない。その個々の選手にしても、プレイ回数が少ないため私のような素人にとっては実力を見定めるには程遠い。プロのコーチたちにとって参考になるとしても、外野からはどうでもいい要素が強すぎる。
 ちなみに昨シーズンまではプレシーズンゲームは主に4試合行われ、うち2試合ほどに先発QBが出場するのが通例だった。だが今年はプレシーズンが3試合になる。となると先発QBは1試合くらいしか出てこないかもしれない。昨シーズンほどではないとしても、シーズン序盤は色々とどのフランチャイズもチーム作りが間に合わないケースが出てくることも予想した方がよさそうだ。
 あと、昨シーズンに続く動きだが、Football Teamがファンに対してネイティブアメリカンのヘッドドレスやフェイスペイントを禁止したこの手のファッションはもはやスタジアムでは見られなくなる。ただ、Hogsが禁止対象になるかどうかはよくわからない。
 それにしてもWashingtonの新しい愛称はいつ決まるのだろうか。このままだと2021シーズンもFootball Teamのままになりそうな勢いだが。
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