オプトアウト他

 前にも書いたとおり、今のNFLはあまりニュースの出てこない時期だが、暇つぶし的なネタはいくつかある。今回はそれを紹介しよう。
 1つは相変わらず揉めているPackersとRodgersの関係。特に新しい動きが出ているわけではないのだが、これに関連して興味深いアイデアが出ている。7月2日が締め切りとなっているCovid-19のオプトアウトを使い、問題を1年先延ばしにする、という方法だ。
 この方法は特にPackersにとってメリットが大きい。Over The CapがアップしたThe Benefits of an Aaron Rodgers Opt-Outによれば、今シーズンのRodgersのキャップヒットは36.7ミリオン、来シーズンは40ミリオン弱と、かなりでかい金額になっている。特に問題なのは来シーズンであり、今のままだとPackersのサラリーはキャップを35ミリオンほど超過してしまう恐れがあるそうだ。
 だがRodgersがここでオプトアウトを選択するとどうなるか。まず今シーズンの彼のキャップヒットは6.8ミリオンまで下がり、30ミリオン近いキャップスペースが手に入る。これをそのまま来シーズンまでロールオーバーすれば、サラリーキャップそのものがまず大きく増えることになる。しかもオプトアウト後のRodgersの2022シーズンのキャップヒットは、現在想定されている40ミリオン弱から30.4ミリオンまで低下するわけで、さらに9ミリオン超のキャップヒット節約につながる。トータルとしてPackersのキャップスペースは35ミリオンの赤字から4ミリオン程度の黒字へと転換する計算となり、状況が一気に改善するわけだ。
 昨シーズンはPatriotsが多くのオプトアウトによって戦力低下に見舞われた一方、それまで苦しかったキャップスペースにいきなり余裕ができるという現象が起きた。Rodgersレベルになればたった1人分のオプトアウトでもそれに匹敵もしくは上回るくらいのキャップ改善効果が期待できるわけで、チームにとってメリットなのは間違いない。おまけにこの1年間を利用してLoveが使えるかどうかを調べる余裕ももたらされる。彼が使えるなら翌年のRodgersトレードを本気で考えてもいいし、ダメならRodgersに大型契約延長を申し出るという選択肢もある。
 問題はRodgersにとってのメリットがそこまで大きくないこと。もちろんメリットはある。もしPackersと合意できずに試合出場拒否を続けるような展開になってしまうと、彼は最大13.7ミリオンもの罰金を支払うことになるという。今の状態でプレイしたくはないが、多額の罰金も避けたいと考えるなら、Rodgersにとってもオプトアウトに逃げる選択肢はありだ。だが逃げたところで、1年後の状況は彼よりもPackersが有利になるとOver The Capの記事は指摘している。悩むところだろう。

 2つ目はドラフト絡みの新しいアナリティクス記事だ。Pro Football FocusのUsing Pro-Adjusted Wins Above Average to examine positional value in the NFL Draftでは、NFLにおけるポジション別のバリューについて、いつも彼らが使っているWins Above Replacement(WAR)を使った分析を載せている。
 最初に出てくる表は、ポジション別に見たトップ32選手のWARだ。見ての通り、QBが圧倒的に高く、2番手に出てくるCBの倍ほどの数字を叩きだしている。最も低いCと比べれば実に20倍以上の量のWARを稼ぎ出しており、ポジションによる重要性の高低がこれ以上ないほど露骨に表れている。もちろんQBが1人しかいないのに対しCBは3人、EdgeやTは2人と人数が違うため単純に比較できるものではないが、それでもQBが突出して重要なのは間違いないだろう。
 面白いのはカレッジを対象にWARではなくWins Above Average(WAA)を計算した2番目の表との違いだ。NFLではHBは下から2番目と圧倒的に低い評価だったのに対し、カレッジでは上から4番目とかなり高い評価を維持している。カレッジのフットボールでは今なおRBはかなり重要度が高い、と見ることもできるだろう。3番目の表ではプロの重要性に合わせて修正した数値が出ているが、それでもなおHBは上から4番手の位置に踏みとどまっている。
 つまりこのデータが正しいのなら、大学での評価を受けてそのままドラフトでの指名をすると、プロでの重要度とは異なる順番でポジション指名がなされる可能性があるわけだ。大学ではまだHBが重要であり、あるいはランストップに携わるDIもプロよりは評価が上になっている。でもプロは圧倒的にパスオリエンテッドなオフェンス&ディフェンスになっており、パスを投げるポジションと取るポジション(WR)、そしてパスカバーをするポジション(CBとS)が重要度が高く、HBとオフェンス及びディフェンスのインテリアラインは評価がかなり低くなっている。
 最近はドラフト1巡でRBが指名されるたびに議論になっているが、このデータを見るとそうなるのも無理はない。一方、ドラフトの高評価が割と当然視されているEdgeについては、実は重要度はもっと下げてもいいのかもしれない。そう、この評価を見る限り、以前にも紹介した「パスラッシュよりパスカバーの方が重要」という見解の妥当性が、さらに高まりそうに見えるのだ。
 もしこのポジション別WARを使って上手く指名することを考えるなら、SやLBについてはリーチ気味でもいいから早く指名する、という手が考えられる。逆にEdgeやTについては、スティールと思われるくらいまで待ってそれから指名するのが妥当かもしれない。いろいろと考えさせられるデータだ。

 3つ目はFootball Outsidersに載っていたAnti-Dynasty Rankingsだ。去年紹介したDynasty Rankingsとは逆に、「どの時代のどのチームが最も残念なチームであったか」をまとめたものである。
 どのように計算したかはこちらを見てほしいのだが、正直言ってDynasty Rankingsに比べるとその内容をあまり細かく精査する気力はわかない。というかどのチームのファンであっても、このランキングでどこに位置しているかについて細かく争いたくはないだろう。できるだけ名前が出てこないように祈り、出てきてしまったら肩をすくめて終わり、という対応が関の山。ちなみにPatriotsは1967-75が14位に、1989-95が17位に顔を出している。私が応援を始めた当初のPatriotsはAnti-Dynastyだったことになる。
 既に姿を消したチームが顔を出している例もあるし、同じチームが期間を変えて何度も出てくる例もある(特にCardinals)。今のファンにとっては理解しがたいかもしれないが、Steelersは設立当初はかなり残念なチーム(1933-41が7位に登場)だったし、Title Townと呼ばれるPackersにも酷い時期は存在した。特に上位陣には20年くらいにわたって成績低迷が続いたチームも多く、ファンにとってはなかなかしんどい状況だった様子が窺える。
 その中で「栄えない」1位になったのが新生Browns(1999-2019)だ。奇しくもDynasty RankingsでトップになったPatriotsとほぼ同じ時期に、Anti-Dynastyのトップチームも存在していたことになる。この時期のBrownsがFactory of Sadnessとまで呼ばれるほど残念なフランチャイズであったことは間違いないが、歴史的に見てもこれだけ残念なチームはそれほど存在していなかった。そういうチームを同時代に見ることができた(Browns以外の)ファンにとっては、貴重な体験だったと言えるだろう。
 ちなみにBrownsのAnti-Dynastyが2019シーズンまでとなっているのは、その後も続いているかどうかがまだ判定できないため。確かに彼らは昨シーズンにプレイオフに出場しているが、一方こちらでも指摘した通り、彼らの成績はリーグでも最も幸運だったと見られている。こうしたチームは普通は翌年に成績低下に見舞われるものであり、Brownsもまた成績が下向きになる可能性はある。最も偉大なDynastyは終わりを告げたと見てもいいだろうが、最も残念なAnti-Dynastyは、実はまだ続いているかもしれない。
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