続・2021ドラフト

 NFLではドラフトの残りや落穂ひろいを。まず今年は全体1位から7位まで連続でオフェンス選手が選ばれたのだが、これは初めての出来事だったらしい。前回も取り上げた1999年ドラフトは6位までオフェンス選手が選ばれており、過去においてはこれが最多だったようだが、今回は8人目のHorn(CB)が選ばれるまでずっとオフェンス選手が続いた。
 リーグがオフェンス偏重になってきているのは否定しがたい。1試合あたりの平均得点は昨シーズンは24.8点。10年前の2010シーズンにおけるこの数字は22.0点だったし、さらに10年前の2000シーズンになると20.7点まで数字は低くなる。Bradyがドラフトされた年と、彼が7度目の優勝を果たした年の間に、1試合平均で4点ほど得点力が高まったわけだ。だとすればオフェンスがドラフト上位指名を独占しても不思議はない、と考えたくなるのだが、それだけだろうか。
 昨シーズンはNFLでもカレッジでもCovid-19の影響が大きく出た。特にキャンプやプレシーズンゲームが例年に比べて不足していたのは間違いなく、そのためにチームとしてのプレイの習熟に時間がかかっていた可能性はある。オフェンスは予め決められたプレイをするのが主な役割なので、選手間の細かい調節ができずともある程度はプレイを回せただろう。一方、ディフェンスはオフェンスに対するリアクションが中心となり、その際にチーム内でうまく連携が取れなければ穴も生じやすい。Covid-19がオフェンスよりディフェンスに影響を与えた可能性は十分にある。
 もしそうだとしたら、今年ドラフトされた選手たちの大学時代の成績はオフェンス側が過大に、ディフェンス側が過小に出ていると考えられる。その影響でドラフトでもオフェンス選手が先に指名され、ディフェンス選手が後回しになった、ということはあり得ないだろうか。実際のところはこれからの彼らのプレイで判断するしかないが、もしそうした影響があったのだとすれば、今年のドラフトでは優先してディフェンス選手を指名した方がいいドラフトをした可能性も出てくる。
 また、前に紹介したFitzgeraldの「ポジション別トップ15選手」のドラフト順位を見ると、上位指名が適当なポジションやそうでないポジションが分かる。オフェンスではQBが、ディフェンスではCBが真っ先に指名されたのも、この分析を見れば当然であることが窺えるし、CやSが1巡で全く指名されていない理由も明白だ。
 問題なのは下位とはいえ1巡で指名されている2人のRBと、中位で指名されたGあたりか。前者についてはBrian BurkeがSteelersのRB指名について色々と疑問を呈している。最大の問題はOLにあるのに、そちらを後回しにしてRBを真っ先に指名するのはいかがなものかという指摘だ。既に有能なRBをUDFAで手に入れているJaguarsがRBを指名した件についても同様。それに比べればJetsのG指名は、Tもプレイできる選手ということでまだ正当化できそうに見える。
 ただJetsの場合はトレードアップしてGを指名したところが問題。今回のドラフトにおけるトレードについてはこちらがOver The Capのvalue chartを使ってどのくらいのコストをかけているか一つ一つ調べているのだが、それによるとJetsはこのトレードで29%分のドラフト資源を毀損している。これが例えばQBを指名するためのトレードなら、多少の損失は仕方ないと言えるが、Gが目的となると疑問も生じる。
 でもJetsのトレードはまだまし。2日目のPatriotsによるトレードアップはドラフト資源を実に42%も失った計算であり、どう見ても採算は悪い。他にもDolphinsが31%を、Saintsが37%を、Packersが36%を、49ersが34%を、そしてTexansが実に50%を失うトレードをするなど、今年も「残念なトレードアップ」が相次いでいるようだ。
 なおトレード全体については大本営にもページがある。例年ならトレードしまくりのPatriotsだが、今年は妙におとなしかったことが分かる。あとドラフトされた選手に関する身体能力についてざっとまとめたページも発見した。

 ちなみにPatriotsの今年の指名はこんな感じ。全部で8人指名。このうちMac Jonesについてはトレードアップなしで1巡相当のQBを手に入れられたのだから御の字だろう。彼については肩の弱さを問題視する向きが多いのだが、私は正直言って肩の強さを重視していない。むしろこの記事でも評価されているパスの正確さの方が重要だと思っている。
 だがQBにとって何より重要なのはディフェンスを読む能力だろう。BradyやManningが優れていたのはこの部分であり、Belichickもその点を指摘している例がある。Jonesが、というか彼に限らずプロ入りしたQBたちがどこまで成功するかを見るうえで、この能力がどのくらいあるかはかなり大切だと思われる。残念ながらJonesの能力について現時点では私には判断しかねるのだが。
 2巡で指名したChristian Barmoreについては、上にも述べた通りかなりコスト高なトレードアップをした選手であり、その意味でこの指名はあまり評価できない。彼に投じたドラフト資源は実際には全体15位(Football Perspective)もしくは5~6位(Over The Cap)に相当するほどのものであり、だとすれば少なくともVince Wilfork並みの活躍をしてもらわないと採算が取れない。たった8つ順位を上げるために2つの指名権を犠牲にするのはやりすぎだったと思う。
 3巡のRonnie Perkinsについては、ローテーションプレイヤーとして活躍してもらえればありがたいところ。Pro Football FocusのBig Boardでは全体43位にランクされている選手であり、悪くない。ただしFootball OutsidersのSackSEERの評価はかなり低く、UDFA相当となっている。後者が正しいとするとこれはかなり厳しいところだ。
 3日目の指名はRB、LB、CB、OT、WRとなった。トータルではオフェンス、ディフェンスの人数が各4人。今年はQBを除けばかなりFAで補充済みのためか、特定のポジションに偏ることなく、バランスよく指名した印象がある。正直、このあたりの選手になると先発に定着すれば万々歳だし、そこまで行かずともチームで生き残れば悪くない結果と言える。
 今回のドラフトについてPFFのDraft Trackerにおける評価を見ると、以下のようになる。

15 Mac Jones (Elite)
38 Christian Barmore (Very Good)
96 Ronnie Perkins (Very Good)
120 Rhamondre Stevenson (Average)
177 Cameron McGrone (Very Good)
188 Joshuah Bledsoe (Poor)
197 William Sherman (Below Average)
242 Tre Nixon (Average)

 上位指名の評価が高く、下位指名は今一つといった感じ。必要性が高いのが上位指名陣だと考えれば、そう悪い結果ではないと言えるのだろう。こちらのドラフト評価まとめを見ても、Patriotsはかなり上位にいる。とはいえ、そもそもドラフトはcrap shootであり、これらの予想もどこまで当たるかは現時点では分からない。いずれにせよ賽は投げられた。後は結果を待つばかりだ。
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